PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
Motor Fan トヨタ MIRAI号
市販EVベースの車両を中心に、コンバートEVやレース専用EV、FCVやレンジエクステンダーEVまで入り交じって、全国各地のサーキットで開催される「EV-GP」シリーズ。全6戦が行われる今シーズンの初戦を飾るのが、「モーターファンフェスタ2019 in 富士スピードウェイ」内で開催された、第1戦の「全日本富士EV40kmレース大会」だ。
このEVレースにモーターファンは、編集部所有のトヨタ・ミライを持ち込み、「Motor Fan トヨタ MIRAI号」としてエントリー。そのドライバーはなんと、元F1ドライバーの井出有治選手! しかしながらこの「Motor Fan トヨタ MIRAI」、スポンサーステッカーこそ貼られているものの、中身は完全にフルノーマル。予選のベストラップは2分33秒111で15台中11番手。
決勝開始前の井出有治選手
井出選手も決勝開始前、「まわりは何かしら改造しているクルマが多いなかで、自分は市販車のままのミライなので、まずはこのレースがどんな雰囲気か、そしてどの程度走れるかを見てみたいですね」とコメント。上位を狙うよりも先に状況把握から、という様子だった。
決勝が始まっても他車のペースに乱されることなく、フルノーマルのミライが最も速く走れるペースを維持。最後の最後に周回遅れとなり、全9周のうち8周を走った段階でチェッカーフラッグを受けたものの、順位を2つ上げて9位でフィニッシュした。
決勝終了後の燃料・バッテリー残量計 レース終了後、井出選手に聞くと、「予選の時に、どのくらいでパワーセーブの制御が入るかは分かっていたので、決勝レース中は常にギリギリの所で走り続け、一回も制御を入れずに走りきることができました。でも周回遅れにならずに走りきれなかったのは悔しいですね」と、残念そうな表情。 そして、FCVでのレースと通常のガソリン車でのレースとの違いについて聞くと、「もう全然違いますね。例えばコーナーの進入ではかなり手前から、引きずるようにして緩くブレーキを踏み、少しでも多く回生させます。そしてストレートでも、パワーセーブが入らないよう、我慢しながら加速する必要があります」とのこと。 目一杯の走る・曲がる・止まるではなく、バッテリーの充電やパワーセーブの回避に配慮しながらクレバーな走りに徹することが、結果的に速さへとつながることを教えてくれた。 「もしチャンスがあれば、ぜひまたレースしたいですね」という井出選手。その勇姿をEV-GPでもう一度見られる日は近い!?