FIRマイクロボロメータ・センサを使用する新しいカメラは、対象物の温度を検出する。Viperは、高度運転支援システム(ADAS)ソリューションにおいて、Convolutional Neural Networks(畳み込みニューラル・ネットワーク)に基づく独自のアルゴリズムにより障害物を分類し、コックピット・ディスプレイに表示してドライバに早期に警告する。この警告は、従来の可視波長を使用したセンサよりも数秒早く発することができるほか、人間が目視で把握するよりも高速だ。
AdaSkyのハードウェア担当バイスプレジデントであるAmotz Kats氏は、次のようにコメントしている。「STの協力により、当社は初の自動運転車向け高分解能サーマル・カメラを、最小サイズ、最軽量、最低消費電力で、かつ可動部品を用いることなく製造することができました。超低消費電力設計や車載アプリケーションに最適なIP、そして28nm FD-SOI技術など、STならではの専門知識や技術があってこそ、センサの性能に課された厳しい消費電力の制約を満たすことができました。当社は、自動運転車市場を革新する飛躍的なソリューションを提供する立場にあり、STの車載用半導体に関する習熟した技能と、強力な製造サプライチェーンに支えられています。このSTのサプライチェーンにより、自動車メーカーは生産を続ける限り、信頼性、長期的サポート、および事業継続性という恩恵を受けることができます」
STのグループ・バイスプレジデント 兼 自動運転デジタル部門ジェネラル・マネージャであるFabio Marchio氏は、次のようにコメントしている。「AdaSkyは、赤外線ベースの強力な視覚センサと、優れたアルゴリズムを開発しました。これにより、非常に有用な補完的インフォメーション・レイヤが既存のセンサ群に追加され、自動運転車の実現は目前に迫っています。真の『常時オン』、つまり24時間いつでも走行可能な自動運転車の実現に残された最大の課題のひとつである、運転が困難な状況への対応に取り組むことで、AdaSkyはドライバレスなシステムを実現に貢献しています」
Viperは、ST独自の28nm FD-SOI製造技術で設計され、車載アプリケーションに最適なSTのIPを使用している。2020年の量産開始を目標に、自動車メーカー各社にて試作品を評価中だ。
(1)Fully Depleted Silicon On Insulator(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)