4月も半ばを過ぎ、桜の散った地域では日ごとに緑が増えている様子が見られますね。この頃は気温も上がり、体感的には初夏を感じますが、まだ三春でいう「晩春」の時季。

「春深し」「行く春」「春惜しむ」などの季語もあり、二十四節季では4月20日からの「穀雨(穀物を育てる雨)」を経て、ゴールデンウィーク中の5月6日「立夏」の前日までが春になります。

さて、今年のゴールデンウィークは平成31年4月30日の「ご退位の日」、令和元年5月1日の「ご即位の日」が祝日になったため10連休となります。過去にない最長の連休とのことですが、なぜゴールデンウィークと呼ぶのか? 祝日の意味は?など、ゴールデンウィークに関して調べてみました。


ゴールデンウィークの祝日の本当の意味を知ろう!

そもそもゴールデンウィークという言葉はどのようにできたのでしょうか?

ゴールデンウィークの語源は、昭和26(1951)年に現在のゴールデンウィークにあたる期間に上映したところ、正月や盆より映画の興行成績(観客動員数)がよかったことから、映画関係者の造語として誕生した。

あるいは、聴取率のよかったラジオのゴールデンタイムに習い、「黄金週間」を「ゴールデンウィーク」に変えた。この二つの説が有力なのだそう。

ちなみにNHKでは「大型連休」と呼ぶことが義務付けられているそうで、GWは新聞などの文字の簡略化として使われるようになったそうですよ。

では、ゴールデンウィークの中の祝日はどのように制定されたのか、季語の意味とともに見て行きましょう。

「昭和の日」「みどりの日」(季語:春)

4月29日は、国民の祝日であり昭和天皇の誕生日です。この日はもともと植物に造詣が深い昭和天皇にちなんで、1948年に制定された“自然に親しみ豊かな心を育む日”としての国民の祝日「みどりの日」でした。

しかし、1989年の昭和天皇崩御により、この日を「昭和の日」、2007年から5月4日を「みどりの日」として法改正されました。昭和の日を残した理由として『激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす』が趣旨だったそうです。

ちなみに、祝日となっている天皇の生誕日は「昭和の日」と「文化の日」の二日間だけ。“自由と平和を愛し文化をすすめる日”としての 11月3日は明治天皇の誕生日です。

「憲法記念日」(季語:春)

5月3日の国民の祝日。1947(昭和22)年に日本国憲法が施行された記念として、翌1948年に制定されました。実は2月11日の神武天皇の即位の日である「建国記念日」にならい、もともとあった11月3日の祝日「明治節(明治天皇生誕の日)」を記念日にする予定でしたが、GHQの反対により11月3日を文化の日、5月3日を憲法記念日としたそうです。

「こどもの日」「端午の節句」(季語:夏)

5月5日の国民の祝日で1948(昭和23)年に制定されました。かつての「端午の節句」であり、『こどもの人格を重んじ、その幸福を図る』が趣旨とのこと。「端午の節句」は、もともと中国の詩人“屈原(くつげん)”が亡くなった日を弔った中国の風習が伝わり、日本でも平安朝以来、宮中で節句の祝いが行われ、強壮解毒作用を持つ菖蒲が邪気除けに使われたことから「菖蒲の節句」と呼ばれてきました。

ちなみに屈原の弔いのために川に投げ入れたのが、現在の「粽(ちまき)」=関東では「柏餅」であり、そのため節句に飾られるようになったそうです。

武家政権からは、武をたっとぶ「尚武」の男児の祝いとなり、戦後は成長を祈願する行事になりました。しかし、古くから農村地域では、邪気を払う菖蒲を葺いた家に住み、田植えをする早乙女を迎える行事との説もあります。立夏はだいたい5月5日または6日になるのですが、旧暦5月の行事だったため、夏の季語となっています。

同じく端午の節句に立てる「幟(のぼり)」や「鯉幟(こいのぼり)」は江戸時代がルーツ。初めは紙で作った幟や鯉に絵を描いたものが飾られていたそう。また、鯉は出世魚なので、男児の節句に用いられたそうです。

(参照:俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫/入門歳時記 大野林火・著 角川学芸出版/広辞苑/語源辞典)


さようなら平成時代

今回調べた国民の祝日には70年以上前に制定されたものもありましたし、その意味にも奥深いものがありましたね。

──言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。

平成天皇は平成を「戦争のない平和な時代」とお言葉を残されました。そんな平和なひとつの時代が終わろうとしています。今回のゴールデンウィークは、長さも思いも特別なゴールデンウィークになりそうですね。

どうぞ楽しいゴールデンウィークをお過ごしください。

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 「知って得する季語」──平成と「春」を惜しむ