相続対策は、富裕層や関係が良好ではない家族が行うイメージがあるかもしれません。

しかし一般のご家庭でも相続対策は必要ですし、家族仲が良いほど相続対策を行わないと、相続でもめた際に話し合いが長期化することもあるので要注意です。

相続税の「申告書作成」税理士に依頼した方がいいケースとは

仲がいい家族でも相続財産をめぐっての争いは発生する

相続トラブルは、どの家庭でも発生する可能性があります

不仲な家族の場合、相続前から「争続」であることが予期されるため、最初から弁護士などを通じて話し合いを行うなど対策を講じます。

そのため相続手続きに時間を要したとしても、おおごとにならずに済むケースも多いです。

一方、関係が良好であった家族は、トラブルなく相続手続きが完了することもありますが、相続財産をめぐって争いになることも珍しくはありません

たとえば、

  • 実家や相続人の自宅の敷地など、特定の財産を取得したい相続人もいますし、
  • 生前に亡くなった人を世話していた相続人は、寄与分を主張する

ことも考えられます。

また、仲が良い家族ほど相続によるもめごとが発生することを想定しないため、トラブルが起こった際の対応が後手に回り、相続手続きが長引いてしまうこともあります。

相続税の課税対象になる人は意外と多い

相続税には基礎控除額があり、相続財産の総額が基礎控除額以内であれば相続税は無税です。

相続税の基礎控除額の計算式

3,000万円+600万円×法定相続人の人数=相続税の基礎控除額

亡くなった人のうち、相続税の課税対象となる割合は8%台で推移していますので、12人に1人は相続税の申告手続きを行うことになります。

相続税の対象となるのは本人が築いた財産だけでなく、田舎の土地など、亡くなった人が相続により取得した財産も含まれます。

相続財産を後から発見した場合、遺産分割協議を再度しなければなりませんし、税務署から無申告や財産の計上漏れを指摘されれば、加算税・延滞税といった罰金を支払うことになるので注意してください。

相続人の家族が分割協議に口を出すと話がこじれる

遺産分割協議は相続人全員が同意して成立する書類ですので、法定相続分の財産を取得する権利を主張する人が妥協しないと、いつまでも協議がまとまらないこともあります。

一般的な相続のケースにおいて、相続人に該当するのは配偶者と子です。

子は実子と養子縁組をした人に限られ、子の配偶者(義理の子)に相続権はありません。

民法上の法定相続分は、配偶者は2分の1、子は2分の1となっていますが、不動産などの分けにくい財産もありますので、相続財産を法定相続分通りに分割するのは困難です。

また子の配偶者や子の子は、子が亡くなった際に財産を相続することになりますので、相続財産を多く取得してほしいと考える人もいます。

相続人同士の仲が良くても、相続人の配偶者同士の仲が悪いと話し合いがまとまらないこともあるため、当事者だけで分割協議をするなどの対策も必要です。

相続対策は相続が発生する前に行うこと

相続が発生してから対策できることは限られているため、相続対策は生前から講じるのがポイントです。

たとえば未利用の土地は売却し、現金化することで相続人が相続財産を分けやすくする方法もあります。

また贈与税の110万円控除を利用すれば、生前に無税で財産を贈与することもできますし、特例制度を活用すれば1,000万円を非課税で渡すことも可能です。

配偶者や子が知らない財産は意外と存在しますので、相続対策として元気な間に相続人が相続財産を把握しやすいよう、財産を整理することも検討してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 家族関係が良好でも、相続対策はしなければならない理由