10日の中国本土市場は値上がり。主要指標の上海総合指数は、前日比12.52ポイント(0.44%)高の2827.63ポイントと3日続伸した。上海A株指数も上昇し、13.12ポイント(0.44%)高の2961.30ポイントで取引を終えている。

人民元安の不安後退が買い安心感を誘う流れ。中国人民銀行(中央銀行)は朝方、人民元レートの対米ドル基準値を前日に比べ元高方向に設定した。上海外国為替市場では、対米ドルの元相場が先月下旬レベルにまで戻している。中国景気の先行きも楽観。朝方発表された6月の中国物価統計では、企業活動環境の指標となる生産者物価指数(PPI)が前年同月比で4.7%上昇し、市場予想(4.5%)を上回る伸びとなったことが明らかにされた。「中国経済のファンダメンタルズは良好」との見方が広がっている。前日に急伸した反動で売られる場面がみられたものの、終盤に入り、指数は再びプラスに転じた。

業種別では、不動産株がしっかり。華夏幸福(600340/SH)が9.7%高、保利地産(600048/SH)が1.3%高で引けた。不動産各社はドル建て債券を多く発行しているだけに、人民元高によって実質負担がやや軽減すると期待されている。紙パルプ株や空運株も物色された。福建省青山紙業(600103/SH)が2.1%高、中国南方航空(600029/SH)が2.6%高と上昇。紙製品各社は原料を輸入し、空運各社はドル建て債務の比率が高いため、元高メリットが意識された。

非鉄や鉄鋼など景気動向に敏感な素材株も上げが目立つ。洛陽モリブデン(603993/SH)が7.1%、安徽海螺セメント(600585/SH)が2.7%、新余鋼鉄(600782/SH)が3.5%ずつ値を上げている。このほか医薬株、自動車株、証券株、インフラ関連株なども買われた。

半面、時価総額上位の金融株はさえない。中国農業銀行(601288/SH)が0.6%安、中国平安保険(601318/SH)が1.2%安とそろって反落した。ハイテク関連株や消費関連株もさえない。

一方、外貨建てB株の相場はまちまち。上海B株指数が0.88ポイント(0.30%)高の291.90ポイント、深センB株指数が4.09ポイント(0.39%)安の1055.17ポイントで終了した。


【亜州IR】




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情報提供元: FISCO
記事名:「 10日の中国本土市場概況:上海総合0.4%高で3日続伸、不動産セクターしっかり