12日の日本株市場は、買い先行で始まった後は、こう着感の強い相場展開になりそうだ。2月の米雇用統計は、賃金増が抑制されながらも経済が好調を維持したことが示され、利上げペースを加速させるとの懸念が和らいだことが好感され、週末のNYダウは440ドル高となった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比345円高となり、週明けの日本株市場もこの流れを引き継ぐ格好から、買い先行の展開が期待される。

 また、トランプ米大統領による関税計画の影響は見極めが必要だが、カナダとメキシコに加え、オーストラリアも適用除外とする考えを明らかにした。強くて軽い高品質の鉄鋼製品など、課税すると米製造業にとってマイナスとなる特殊な製品についても除外する方針と伝えられており、過度な警戒感は後退しそうである。そのため、米雇用統計が通過しVIX指数も低位安定のなか、市場は落ち着きをみせてくるだろう。地政学リスクについても、5月までは小康状態といったところである。

 一方で、森友学園への国有地売却をめぐり、国内政治不安が高まる状況には注意が必要であろう。その他、破産した仮想通貨交換業者、マウントゴックスの破産財団は2000億円相当の仮想通貨を管理しており、これを放出すると報じられている。本来は関係ないであろうが、個人主体の売買が大きい仮想通貨の影響が株式市場に波及してくる可能性にも警戒したい。
(村瀬智一)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米市場の落ち着きも国内政治リスクが重石に