写真:AP/アフロ


 



日本全国を感動の渦に巻き込んだ『ラグビーワールドカップ 2019 日本大会』における日本代表の戦いが10月20日、ついに幕を閉じた。 



 



9月20日のロシア戦から始まって、週1試合のペースで熱いドラマを演じてきた『ブレイブ・ブロッサム(=勇敢な桜の戦士たち)』のパフォーマンスに、視聴率もぐんぐんと上昇。初の決勝トーナメント進出を果たし、3-26と敗戦した南アフリカ戦は瞬間最高49.1%(10月13日の決勝T進出をかけたスコットランド戦は53.7%)と驚異的な数字を弾き出したという。



 



こうしたなか、少々気の早い話だが、あの東スポが、今回のW杯を通じて世に爆発的な勢いで流通した数々のラグビーワードのなかから、一体どれが年末恒例の『ユーキャン新語・流行語大賞』に選ばれるか……みたいな予想をなされていた



 



“最右翼”として東スポが挙げていたのは日本代表のチームスローガンである「ONE TEAM」。あと、ラグビーの根幹を示し、今大会の人気の火付け役にもなったドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)のタイトルでもお馴染みのワード「ノーサイド」や、トライを量産して勝利に貢献した快足WTBの二人である福岡堅樹選手と松島幸太朗選手を表した「ダブルフェラーリ」、ナンバー8の姫野和樹選手の得意技とされているボール奪取「ジャッカル」も有力な候補……なんだとか。



 



さらに、“大穴”として、ひそかに注目を浴びているワードが、スコットランド戦で逆転トライを決めたプロップの稲垣啓太選手のニックネームである「笑わない男」。テレビ番組などで取り上げられる機会も多く、広い世代に浸透しており、「言葉として面白いし、彼の無骨なキャラが確立すれば、もっと伸びるだろうね」と、期待が高まっている……らしい。



 



 



以上、硬軟取りそろえた(東スポにしては)それなりに真実味のあるラインナップであったが、私個人としてはもう一つ“大穴中の大穴”として「ニワカですけど…」というワードをここに加えておきたい。 



 



ニュースや情報バラエティ番組が日本代表戦のフィーバーぶりを報じる際の街頭インタビューで、さまざまなコメントをよこすモニターの皆さんの口から、とにかく頻繁に聞かれた枕詞である。「ルールはイマイチ知らないけど…」「普段はラグビーって観ないけど…」→「そんな自分が生意気に感想なんて述べちゃってすみません」的な気恥ずかしさの濃度を下げる、日本人ならではの奥ゆかしさをバックボーンとした、じつに象徴的な一言ではないか。



 



 



たとえば、私はとある事情でラグビーには興味がない……どころか、ラグビーというスポーツにちょっぴりの“恨み”すら抱く人間であるのだけれど(※詳細を知りたい奇特なあなたは先日citrusに寄稿したコラム『W杯目前! ラグビーが英国エリートの必修科目である理由と日本の“にわかファン”事情』を読んでいただきたい)、こんな私が偉そうに今回のW杯の総括を論じるにも、この「ニワカですけど…」はじつに便利だったりする。使用法は次のような感じだ。 





「南アフリカ戦の惜敗は、たしかに残念ではあったが、もしここで地の利も活かしてあれよこれよと優勝なんてしてしまった日には、ラグビーに無関心な層が『ああ…ラグビーってこうも簡単に世界一になれちゃうのか』と勘違いしてしまい、せっかく高まりつつあるラグビー熱も一気に冷めてしまうのでは? やはりサッカーや錦織圭のように、然るべき相手に勝つことの難しさを国民に受け入れてもらうことも時には必要であり、そのほうが長い目で見れば質の良いファンを多く獲得できるのではなかろうか? ニワカですけど…」



 



ちなみに、実例中では「惜敗」という単語を用いたが、この「3-26」というスコアが「惜敗」なのか「惨敗」なのか、私にはよくわからない。ニワカですから……(※語尾のみ軽くアレンジ)。


情報提供元: citrus
記事名:「 「ジャッカル」「笑わない男」だけじゃない!ラグビーW杯を通して考える、流行語大賞の大穴