冬の旬食材である牡蠣。いわゆる節約食材ではありませんが、その高い栄養価から考えると、とっても高コスパだということを知っていますか。実は、おいしく食べて健康や美容をサポートしてくれる優秀な食材です。その理由を管理栄養士の尾花友理先生が解説してくれました。


牡蠣の栄養基礎知識

冬の味覚の代表格、牡蠣。その乳白色の色合いと、ミネラルなどの栄養が豊富であることから「海のミルク」と呼ばれています。まずは牡蠣を購入する際に知っておくべきポイントからご紹介します。



調理法によって選び分けたい「生食用」と「加熱用」

例えば、今夜は牡蠣フライでも作ろうと店頭に並んだ牡蠣を見てみたら、「生食用」と「加熱用」の2種類が販売されていました。さあ、どちらを選びますか。実は、牡蠣フライを作るのであれば「加熱用」がおすすめです。

皆さんは、「加熱用」より「生食用」のほうが鮮度が良く、イコール「おいしい」というイメージを抱く人が多いかもしれませんが、牡蠣に関して言えばそうとは言えません。生食用の鮮度が良いことはもちろんなのですが、「おいしさ」という点においては生食用と加熱用の育つ環境の違いが大きく影響します。

牡蠣は育つ過程で海水を大量に体内に取り込むため、「生食用」は食中毒の要因となるウイルスを持たないように、水質管理された場所で養殖され、出荷前に滅菌処理されています。そのため、身が痩せてしまったり、水っぽくなってしまっているものが多いのです。



一方「加熱用」は栄養分の豊富な海域で養殖され、大粒で食感もプリプリしていて、味が濃厚。牡蠣フライなど加熱調理することが決まっている場合は、ぜひ「加熱用」と書かれたものを選んでみてくださいね。

※ただし、加熱用牡蠣にはノロウィルスなど食中毒を引き起こす危険性のあるウイルスや菌が潜んでいる可能性があるため、必ず中心部を85~90℃で90秒以上しっかり加熱してください。

さて、ここからは牡蠣が高コスパで"買い"な理由を見ていきましょう!

牡蠣が"買い"な理由


"買い"ポイント1: とにかく亜鉛の含有量がすごい!

牡蠣の話をする上で外せないのが「亜鉛」。亜鉛は新陳代謝の促進、免疫力の向上、味覚を正常に保つなど、私たちの体に重要な働きをしてくれます。不足すると味覚障害や貧血、皮膚炎、口内炎、脱毛症、食欲低下、発育障害など様々な弊害が起こってしまうこともあります。

実は現代人は、亜鉛が不足気味の人が多いと言われています。加工食品に含まれる添加物が亜鉛の吸収を阻害したり、アルコール分解で亜鉛が失われたりするため、加工食品を多く食べる人やお酒を飲む人は亜鉛不足になりやすくなります。家族や自身が該当する場合は、意識して亜鉛を摂取するようにしましょう。

亜鉛は牡蠣の他にも、牛肉、豚レバー、ナッツ、豆類などにも多く含まれていますが、牡蠣には豚レバーのおよそ倍、牛ヒレ肉のおよそ3倍の亜鉛が含まれており、大きめの牡蠣を4粒食べれば成人男性の1日に必要な亜鉛の量を摂ることができるほどです。

"買い"ポイント2: 女性に朗報! アンチエイジング・美容効果も



牡蠣に含まれる亜鉛、実はアンチエイジングにも嬉しい効果を発揮します。

亜鉛は抗酸化作用のあるビタミンAの吸収を高め、働きをサポートします。ビタミンAは体をサビさせると言われる活性酸素を減らすため、アンチエイジング・生活習慣病予防にも効果が期待できます。

また、髪や肌を作るために必要なのはたんぱく質。亜鉛はたんぱく質の代謝を促し、美しい髪や肌を作ることに貢献してくれます。

さらに、牡蠣は亜鉛以外にも造血に欠かせない鉄、銅、コバルトなど多くのミネラルを含むため、貧血予防にも役立ちます。貧血気味では肌ツヤはおろか、細胞に十分な酸素が送られず冷えやむくみ、代謝が下がった状態になってしまいます。貧血を予防することで冷えやむくみを解消し、代謝アップにもつながります。

"買い"ポイント3: 和食だけじゃない! 牡蠣の高いポテンシャルに注目



牡蠣といえば炊き込みごはんや鍋、牡蠣フライなど和食を連想する人も多いかもしれませんが、実は洋風や中華風の味付けとも、とっても好相性です。

洋風なら最近話題のアヒージョやコンフィ(オイル煮)に。トマトソースともよく合います。中華風に仕上げるなら、牡蠣が原材料になっているオイスターソース炒めはもちろんのこと、ごま油の香りとも相性がいいため、酒をかけて電子レンジで蒸した牡蠣に、刻んだネギと生姜、ごま油を使ったタレをかけるだけでも美味。

和洋中どの料理にも共通して言えるのは、加熱のしすぎに注意することです。加熱しすぎると身が小さく硬くなってしまいます。とはいえ、加熱が不十分だと食中毒リスクが高まります。ここでも、加熱用牡蠣による食中毒を引き起こさないために、中心部を85~90℃で90秒以上加熱してください。

冷凍の牡蠣を使用する場合は、解凍時にうまみが出てしまうのを防ぐため、流水で1分程度解凍し、表面が溶けて中がまだ凍っている状態で水分を拭き取って調理すると美味しく仕上がりますよ。

専門家直伝のコツをフル活用のレシピを紹介

牡蠣のコンフィ



オリーブオイルをたっぷり使い、極弱火でコトコト煮ることで牡蠣がふっくらするコンフィ。そのままはもちろん、オイルと一緒にパスタと和えてもおいしいです。煮沸消毒した瓶に入れて冷蔵庫で1週間程度日持ち可能です。

材料(作りやすい分量)

牡蠣 20粒 / 片栗粉 適量 / にんにく 2片 / 唐辛子 1本 / 粒胡椒(黒) 5粒 / ローリエ 1枚 / オリーブオイル 適量 / 塩 小さじ1/4

作り方

1. 牡蠣は片栗粉で揉んでから流水で洗い、ペーパータオルに包んで水気を拭き取る。

2. 小さめのフライパンに1と包丁で潰したにんにく、種を取り除いた唐辛子、粒胡椒とローリエ、牡蠣がかぶる量のオリーブオイルを注ぎ、弱火にかける。

3. オリーブオイルがふつふつしてきたら、極弱火にして15分煮る。

4. 塩を加え、火を止めて冷ます。

日頃の食生活で不足しがちな亜鉛を摂取するには、とっても優秀な牡蠣。加えて女性に嬉しい栄養素もたっぷりあるとあれば、"買い"ですね。調理方法によって「加熱用」と「生食用」を使い分けて、よりおいしく食べましょう。


情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 牡蠣は高コスパの"買い"食材! アンチエイジング効果も期待