夏は街の喧騒から逃げるように、木々や川がある場所に一度は行くのが恒例で。

そのときいつも思うのは、表示される気温が同じでも、田舎と都会では太陽の感じ方が違うのはなんでだろうということ。

都会にそびえるコンクリートの建物は、熱で溶けてしまわないのかといつも不思議に思う。

無機質に並ぶその建物を見ていたら、なぜだかふだんは観ないSF映画が観たくなった。


帰り際に買ったFuggles&Warlockの『Bean Me Up』と映画好きの彼が買ったホームシアターは、その世界に入り込む魔法のアイテム。

噂には聞いていたおすすめの映画。

真っ暗な部屋のなかに浮かび上がる地球外生命体が街を壊し、人やものをさらっていく。

「わたしもさらって。誰も知らないどこかへ行ってみたい」

そんなことを頭のかたすみで考えたけど、そろそろ付き合って3年になる彼も、大好きなビールもない場所だったらと考えたら思いとどまった。

本当にさらってくれるわけもないのだけど。

ビールの香ばしい香りが鼻をくすぐり、現実とのはざまにゆれる。


Illustration:natsuru(@NaTsuRuuuu
Text:山吹彩野



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情報提供元: ビール女子
記事名:「 いつもの日常に、わたしとビールと。〜わたしをさらって、ここではないどこかへ〜