ビールシーズン真っ盛りの2019年8月、山陰地方に特化したクラフトビールの本『山陰クラフトビール ーこだわりのビールが地域を変える』が出版されました。著者は鳥取県在住のビアエッセイスト・矢野竜広さん。


山陰地方には現在7社(大山Gビール松江ビアへるんタルマーリー石見麦酒FARMER’S BREWERY 穂波AKARI BREWING475 BEER)の醸造所があるのだそう。

今回紹介する「山陰クラフトビール」には、7社の醸造所とビールの紹介だけでなく、醸造者へのインタビュー、ビールの原料、飲める・買えるお店の紹介などが掲載されています。つまり、この1冊があれば山陰でのクラフトビールライフに困りません!





矢野 竜広(やの たつひろ)さん

1980年生まれ、東京都出身。立教大学卒業後、広告制作会社勤務のコピーライター、放送作家事務所所属の放送作家を経て2013年、妻の故郷である鳥取県に移住しフリーライターに。著書に『ビールの図鑑』『日本のクラフトビール図鑑』(ともに共著、マイナビ)がある。ブログ「ビアエッセイ・ドットコム」運営。山陰と世界のブルワリー探訪をライフワークにすべく鳥取県大山町で奮闘中。(書籍著者紹介より)

Twitter:https://twitter.com/beeressayist
ブログ:http://beeressay.com/



「山陰こそビールの最前線である!」と主張するワケ



本文を読む前に目にする「はじめに」。その最初に書いてあった「山陰こそビールの最前線である!」という言葉に興味を惹かれます。読み進めると、素敵なビール生活が想像され、矢野さんが「山陰こそビールの最前線」と主張するワケが伝わってきます。「はじめに」の一部をご紹介します。

 6年前の2013年7月。妻の出身地である鳥取県大山町に移住するにあたって、東京でやっていた放送作家の仕事も大好きだったビアバー通いも諦めざるを得なかった。当時、仕事も趣味のビールも「東京という“中心地”から離れてしまうんだ」という感覚があった。
中略)
 いつしか山陰は7社のブルワリーを擁するようになった。来春に醸造を開始させる予定の倉吉ビールの設立で、ついに8社体制が復活した。
 中身も一つひとつが全く似ていない。野生の菌×ビール、地域コミュニティ×ビール、農業×ビール、季節×ビール……とそれぞれが自分たちなりのブルワリー像を模索して、そのフィールドにおいて最前線を走って地域にポジティブな影響を与えている。辺境と思われがちな山陰が中心になっているケースも少なくない。
中略)
 飲み手としても受動的ではなく能動的に楽しむことができる地方はむしろ最前線。大自然のなかでビールが飲め、自宅にはビールサーバーやビアバーを設置し、ビールブログで発信し、ビール祭を主催し、庭でホップを栽培する。今度はこんな本を出版させてもらう。“中心地”から遠く離れてしまうという思いは錯覚に過ぎなかったのだ。
後略)※「はじめに」から引用


どんな内容?山陰的ビール講座も



「山陰クラフトビール」の掲載内容は以下の通りです。


■山陰のクラフトビール
醸造所レポート/ビールDATA/醸造者インタビュー/ビールの原料/飲めるお店&買えるお店
※掲載醸造所:大山Gビール/松江ビアへるん/タルマーリー/石見麦酒/FARMER’S BREWERY 穂波/AKARI BREWING/475 BEER
■山陰的ビール講座
ビギナーに伝授。ブルーパブの楽しみ方/そもそも酵母って何?野生酵母の秘密/全国に広がる!石見式醸造法とは?/サツマイモ入り?ビールと野菜のおいしい関係/合い過ぎ注意!和食とビールのペアリング/Cool!!海外のとんがったビールの味わい方/全国のビールファンの憧れ。1,000円飲み放題に迫る
■山陰のビールなお店
■山陰のビールイベント


初心者向けにビール用語集やビール講座が設けてありますが、初心者向けの内容だけではありません。各醸造所の特徴や歴史など、その背景を存分に知ることができます。また、醸造者のインタビューでは人柄が伝わってくるような言葉遣いで、醸造者の魅力に惹きつけられました。

ビールの紹介を読んでいると、そのビールが飲みたくなるのがビールファンの常。もちろん、「どこで飲めるのか、買えるのか」の情報もあり、山陰で飲めるようにというサポートは万全です。

ビアエッセイスト・矢野竜広さんにインタビュー

鳥取でビールライフを満喫中の矢野さんはどんな方なのでしょうか?
著者紹介によると、矢野さんは東京都出身で、広告制作会社勤務のコピーライターや放送作家事務所所属の放送作家を経て、2013年に奥様の故郷である鳥取県への移住をきっかけにフリーライターになられたそうです。

さらに人柄を探るべく、インタビューしました!

ーさっそくですが、矢野さんがビールにはまったきっかけは何ですか?


矢野さん


もともと学生時代からお酒の中ではビールが一番好きでした。でも、ビールの世界に肩までどっぷり浸かるようになったきっかけは、広告制作会社に入社してすぐの2003年、先輩ライターに勤務先だった渋谷のベルギービールバー「BELGO」に連れて行かれたことです。見た目は大手のと変わらないのにフルーティーでアルコール度数が10%近くあるビール(たぶんデュベル)に特に衝撃を受けました。


ー衝撃的なビールに出会ってしまうと、一気にビールの世界に引き込まれてしまいますよね。ところで、どのようなビールがお好きですか?


矢野さん


これに関しては強いこだわりがあるのですが、液体で口から摂取するタイプのビールがなんと言っても好きです。


ー(笑)根っからのビール好きということが分かる回答ですね!では、どんなシチュエーションでビールを飲むのがお好きですか?

矢野さん


これに関しては強いこだわりがあるのですが、地球の上で飲むビールがなんと言っても好きです…と続けると怒られてしまうのできちんと答えますと、「昼に外で飲むビール」です。



矢野さん


「ヒルソトビール」というイベントを開催して、大自然の中でテイスティング会をやったことがあります。そのたびに幸せ過ぎて「もう死んでもいい…」と思ってしまうのですが、次々に面白いビールがリリースされるので死んでいる暇がありません。


ー大自然に囲まれてのテイスティング会、気持ちよさそうですね。そのこと以外に、鳥取に移住されてよかったことを教えてください。

矢野さん


田舎暮らしを通して、色々な力が身についたことです。運転力、BBQ力、DIY力、芝生育成力、雪かき力、虫忍耐力、ずっと地元にいるおじいちゃんのきつめの方言ヒアリング力などなど。


ーいろんな能力があるんですね。特に「虫忍耐力」。

矢野さん


ビールに関して一番よかったと思うのは、大山Gビール直営レストランの「ビアホフ ガンバリウス」で千円飲み放題を楽しめることです。これまでも数え切れないくらい行きましたが、これからも途方もない回数行くと思います。むしろ、そのために鳥取に移住したんだろ?と言われてもノーとは言えません。



聞き捨てならないのが「大山Gビールが1,000円で飲み放題」というパワーワード!いつでもやっているのですか?



矢野さん


本でも紹介していますが、春と秋です。その他に知っている人だけがトクをする裏技を紹介していますので、ぜひ本を読んでください。



ーもうすぐ始まる時期ですね。裏技も駆使して、存分に堪能しようと決めました!ところで、ご自宅にビールサーバーとビアバーがあるとか。どのように作ったのですか?



矢野さん


ビールサーバーは家を新築するときに、大工さんにお願いしてキッチンのカウンターにそれ用のスペースを施工してもらっていたので、あとはドラフトタワーと瞬冷サーバーをオークションサイトで落札して自分でつなぎました。

ビールサーバーは本当に設置してよかったです。店で飲むビールが自宅で味わえるって、車社会なのでより価値があると感じます。設置して4年以上経ちますが、いまだに樽とつないでいないときもエアサービングをして楽しんでいますし(妻には冷ややかな目をされながら)そこにあるだけで幸せな気持ちになります。


ーエアサービング!!私の家にもしサーバーがあったら、絶対にエアで楽しみます!


矢野さん


そして、屋根裏のビアバーは100%自分でDIYをして作りました。ビアバースペースにも意味なく入って、瓶やコースターを一人ニヤニヤ眺めて完全におかしい人になっています。



ー写真を拝見すると、とても個人宅とは思えない充実ぶり。ビールマニアとしては、かなりうらやましい空間をお持ちですね。秘蔵のコレクションのことなど、もっとお伺いししたいところですが、また別の機会にします。最後に、ビール女子読者に向けて一言お願いします。



矢野さん


鳥取や島根って、地味ではありますが女子旅にぴったりな場所だと思います。砂丘のような絵になるスポットや出雲大社のような縁結びスポットがあり、城下町の松江や世界遺産の石見銀山、昭和レトロな倉吉などタイムスリップ系スポットもあり、大山や夕陽の綺麗な宍道湖や美しい海岸のような自然も、投入堂のような国宝も、玉造や三朝や皆生など温泉もいっぱい…。さらに海の幸も野菜も果物も美味しいし、大山地鶏も最高で鳥取和牛は日本一。

…なので、まずはぜひ一度山陰に来ていただきたいです。そのついでにビールもぜひ飲んでください。10月からは大山Gビールの千円飲み放題が始まるし11月の出雲は神在月。そして、カニの季節に。まさにこれからがいいタイミングです。



ービール以外にもたくさんの楽しみがあるのですね。さっそく計画を立てなくては。矢野さん、いろいろと教えてくださり、ありがとうございました!


地元の方へ伝えたい本に込められた思い





矢野さんによると、山陰の人は地ビールと言えば、大山Gビールと松江ビアへるんの2社しか知らず、現在全部で7社(来年には10社に!)あることをほとんどの人が知らないのだとか。

そんな鳥取島根の方達に「今、地ビールはクラフトビールに名前が変わって地元はこんなに盛り上がっているんだよ!」ということを伝えたいと思い、この本を執筆したそうです。そして、「地元の1本をきっかけとしてビールの奥深い世界にダイブして欲しい!」と、入門的な内容にしたとのこと。

また、「山陰外の人には鳥取島根の現状を知ってもらうことで、山陰のビールを飲んでもらいたい。あわよくば山陰に足を運んでもらいたい。さらに、あわよくば移住して僕と乾杯してもらいたい」との野望があるそうです。

山陰のクラフトビール事情がギュッと詰め込まれた「山陰クラフトビール」。まずは、本を片手に紹介されているビールを飲んでみませんか?飲んでいる内に、現地を訪れてみたくなってしまうかも。現地ではビールを楽しむ矢野さんと乾杯できるといいですね。

最後に、山陰を訪問する前に矢野さんと乾杯できる(?)イベントをお知らせします。2019年10月26日(土)に本の販売を記念して都内でトークショーの開催が決定!詳細は矢野さんのSNS(Twitter)で告知されるとのことですので、ぜひチェックしてみてください。



「山陰クラフトビールーこだわりのビールが地域を変える」


〇著者:矢野竜広
〇発行:今井印刷株式会社
〇定価:本体1,000円+税
〇発売日:2019年8月9日(金)
〇紹介ページ:https://imakore.ocnk.net/product/67














情報提供元: ビール女子
記事名:「 この秋きっと旅したくなる!「山陰クラフトビール」の著者が伝える“地方×ビール”の今。