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長距離サイクリングもご近所旅も! 折りたたみ自転車で広がる旅の選択肢


はじめに

イラストエッセイ『おりたたみ自転車はじめました』(KADOKAWA)を発売した星井さえこさん。平日は会社員、休日は折りたたみ自転車で‟輪行”旅をすると聞けば、さぞやアクティブな方! と思いきや、もともとは運動が苦手だったのだそう。そんな星井さんが自転車旅にハマった理由を伺いました。 移動手段から、気分転換のツールに

移動手段から、気分転換のツールに

―――『おりたたみ自転車はじめました』からは、自転車の魅力とともに旅のワクワク感が伝わってきました。自転車を購入したきっけかけは何だったのでしょう?

自転車って、日常の中で空気のように使ってきたのですが、一人暮らしをするタイミングで実家に置いてきてはじめて「便利だったな」と思ったんです。私の場合、駐輪場で汚れないようにしたかったのと、どうせなら実家で持っていたものと違うものに! と思い折りたたみ自転車を選びました。

―――はじめは利便性だったんですね。

そうなんです。でもいざ自転車で近所を走ってみると、シンプルに気持ちがよくて。通勤や通学のように目的があるわけでもなく、東京だと特に街の表情が違うので、景色を見ながら走る移動そのものが楽しいと感じました。そろそろ近所だと飽きてきたなぁと思ったときに、電車に乗せる「輪行(りんこう)」の存在を知って興味を持ったのがはじまりですね。

初心者向けの情報が少ない……自分で作ろう!

―――サイト「#チャリと来た」を立ち上げたのもそのタイミングでしょうか。

いざ輪行について調べてみても、なかなか情報が出てこなかったんです。工具で自転車を解体するような本格的なロードバイクの輪行はあっても、折りたたみ自転車でできる手軽なものがない。そこで、私と同じような初心者にも興味を持ってもらえるサイトをつくろう、という思いからできたのが今の「#チャリと来た」になりました。
△星井さんが運営する写真とイラストが満載のサイト「#チャリと来た」

―――写真とイラストを組み合わせてとっても詳細にハウツーやスポットの詳細が描かれていますが、イラストははじめから描かれていたのでしょうか? 

最初は写真だけだったのですが、どうしても自分目線の画になってしまうので、客観的な魅力が伝わりづらいなと感じていて。さらに自転車好きのための雑誌やサイトは数あれど、ちょっと敷居が高いと感じていました。そこで「輪行とは」といったハウツー解説をイラストにして発信してみたら、SNSでたくさんの反響をいただいて。そこから初心者でも興味を持ってもらえるようにと描きはじめました。


△旅の工程からスポットの詳細まで伝わる紙面

まずは自転車と”3点セット”をそろえよう

―――折りたたみ自転車を選ぶポイントは?

愛車のブロンプトンについてですが、まずは第一印象を大切に、自転車雑誌やサイトを見て候補を5台くらいにしぼってから、店舗で試乗して決めました。靴にもサンダルからフォーマルな革靴、登山靴……と異なる種類があるように、ひとくちに折りたたみ自転車といってもさまざま。試乗するぶんにはタダなので、必ず乗ってみて自分にフィットするか確かめてほしいです。さらにポイントを挙げるなら、折りたたんだときの小ささと重さでしょうか。軽いものでも6キロはあるので……重いのはもう仕方ないのですが! 実際に担いでみるのが大切です。

―――自転車を運ぶときは専用の袋じゃないとだめなんでしょうか。

鉄道会社の規定があるので、普通のビニール袋ではだめですよ(笑)。専用のものが売られています。折りたたみ自転車のほかに、輪行袋、防犯用のカギ、あと夜道を走るなら念のためライトも。この3点があれば輪行をはじめられます。

―――バッグも自転車専用のものを?

最初はリュックサックにしていたのですが、体に負荷がかかるので長時間の移動は大変で。今は自転車の前方につける専用バッグを使っています。自転車自体の重さはどうしようもないので、バッグの中身はできるだけ軽くするよう工夫しています。
△詳細に描かれた服装や持ち物

船×自転車でますます旅気分に

―――作中では、近所の公園からしまなみ海道のサイクリングロードまで段階を踏んでエピソードがつづられていますが、それ以外に印象的だった自転車旅はありますか?

神戸の三宮港からジャンボフェリーに乗って香川まで行き、うどん巡りをしたのは面白かったですね。巡り、といってもお店とお店の間に距離があって、店舗によっては住宅地にあることもあるので、小回りが効く自転車は便利です。運動しているからちょうどよくお腹も空きますし(笑)

―――確かに罪悪感なくグルメ巡りができそうです。今後行ってみたい旅はありますか?

伊豆大島に行ってみたいですね。東京の竹芝からフェリーが出ているんです。乗船時間も2時間弱とちょうどよくて、東京から近いのに船旅気分が味わえるのは非日常感があっていいですよね。

―――自転車ならフェリーに乗せられるのも便利ですね。

電車のように上り下りもなく乗せられますし、当たり前かもしれませんが、フェリーってとっても広いんです。ごろ寝できるスペースに、飲食スペース、追加料金を払えば個室もあるので密も回避できます。作中には寝台列車を使ったエピソードもありますが、長距離の移動もこうして選択肢を選べば安全を確保できるので、今の時期にもおすすめです。
△個室で密回避にもぴったりな寝台列車

自転車のスピードだからこそ見える景色や発見を楽しんで

―――書籍制作にはどれくらいの期間をかけたのでしょう。

今まで書き溜めていた漫画に、出版のために書き下ろしたものを含めて制作には約1年かかりました。エピソードは過去7年分くらいの中から、抜粋して盛り込んでいます。後半で出てくる尾道には、純粋な旅行のほかに担当編集者との取材を合わせると、5回は行きました。

―――5回も! だからこそここまで精密に描かれているんですね。

観光スポットだけじゃなくて、道中で見たおもしろい看板とか、ちょっとした景色もできるだけ精密に描いています。自転車って、電車や車だと見逃してしまうような部分に自然と目がいくのが魅力のひとつだと思うんです。本を通して読んでくれた方も追体験をしてもらえたら嬉しいですね。

―――最後に、読者にメッセージをお願いします。

いきなり折りたたみ自転車を買うのはハードルが高いかもしれませんが、自転車を持っている人は、ママチャリでもいいのでまずは近所を走ってみてほしいです。見慣れた街の変化に気づいたり、季節の移ろいを感じたり、風を切って走るだけで気分転換になります。ロードバイクでなくても、特別な技術がなくても、身近なところから始められるのが自転車旅の最大の魅力だと思います。

【書影】
『おりたたみ自転車はじめました』
星井さえこ/著
1,540円/KADOKAWA

◆星井さえこ
折りたたみ自転車旅入門のサイト「#チャリと来た」を運営。社会人になりたての頃に購入した折りたたみ自転車で、自転車を連れた旅の面白さに目覚め、北は岩手、南は熊本まで輪行旅をしている。所有自転車はブリヂストン トランジットコンパクト(2008)、ブロンプトンS6L(2013)。都内メーカー勤務の工業デザイナー。商品企画からプロダクトデザイン、CAD設計まで幅広く携わる。

おわりに

誰でも手軽にはじめられ、密を避けることができ、こもりがちな現代の運動不足解消にもぴったりな自転車旅。輪行ができる折りたたみ自転車なら、旅の選択肢はさらに広がりそうです。春の陽気におでかけ欲がわいてくる季節、感染対策をしっかりとしたうえで、自転車旅を気分転換のひとつに考えてみませんか。
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