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【関東】開催が待ち遠しい! 残りつづけてほしいローカル祭り


はじめに

2020年は日本全国でその多くが中止を余儀なくされた地域に根付いたローカル祭り。今回は、全100箇所の祭り、盆踊りを取材、撮影してきたフォトグラファーの大石さんに東京近郊の祭りと盆踊りを教えてもらいました。

Text&Photo:大石慶子(フォトグラファー)

ローカル祭りは地域の特色を表す大切な存在

コロナ禍の中で、昨年は祭りや盆踊りの開催の延期や中止が相次ぎ、例年になく物足りなさを感じた方も多かったのでは。夕暮れの街に提灯の明かりがともり、どこからか祭りばやしが聞こえてきて、焼きそばの匂いが鼻をくすぐり、カラフルなかき氷に目を奪われ、ビール冷えてますよ、と呼び込む屋台の声……そんなひとときが恋しくなることもあったのではないでしょうか。

地域に根ざした祭りや盆踊りの多くは、季節の移ろいとともに育まれ、その土地の特色へと発展してきました。また、地域の風土を体現し、その土地についての理解を深める機会にもなるため、残り続けてほしいものばかりです。今後必ずや開催されることを祈願しつつ、写真とともにその土地ならではの文化を覗いてみましょう。

【4~5月】くらやみ祭/東京都府中市・大國魂神社

かつては真夜中に、街の明かりを全て消し、まっ暗闇の中で神輿の儀礼が行われていたことがその名の由来となっています。緑豊かなベッドタウンである府中の街中に鎮座し、1910年前に建立された大國魂神社は、祭り期間である4月30日~5月6日の間は80万人の人出でにぎわいます。露店も約500店ほど出店し(中にはお化け屋敷も!)、関東大植木市などの催しがある中で、古式に則った行事が厳粛に行われています。その中でも競馬式(こまくらべ)と呼ばれ、6頭の馬が次々に道路を駆け抜ける行事は、約千年以上続けられています。ほかにも新緑に映える色とりどりの万灯を取り回し、その技を競う万灯大会が行われるなど、様々な行事があります。 △万灯大会

祭りのメインイベントは「おいで」と呼ばれる神輿渡御が午後6時の花火の打ち上げと共に始まります。国内最大級の6張りの大太鼓を打つ音は地鳴りのように響き渡り、その迫力で一気に気分が盛り上がります。祭り好きにはたまらない厳かで力強い魅力のある行事です。 △神輿渡御


◆くらやみ祭
開催日:4月30日~5月6日
※2021年度は神事のみ、一般の方の観覧・参加は不可

【7月】茅ヶ崎海岸浜降祭(ちがさきかいがんはまおりさい)/神奈川県茅ヶ崎市西浜海岸

湘南・茅ヶ崎といえば、海やビーチやサーフィンが思い浮かびます。そんな茅ヶ崎に夏の到来を告げる夜明けの祭りが「茅ヶ崎海岸浜降祭」です。毎年、7月第3月曜日(祝・海の日)に茅ヶ崎西浜海岸で開催します。夜明けとともに茅ヶ崎市と寒川町の各神社から、大小合わせて約40基の神輿が大集合します。清々しい朝日に照らされ、ずらりと神輿が並ぶ様子は、壮観で圧倒されます。 △約40基の神輿が大集合

各神社の神輿は練り歩きながら海岸でみそぎを行います。朝の爽やかな美しい海岸で神輿を担ぎ練る姿は勇ましく、海辺の強い光のせいか、揺れる神輿が生命体のように生き生きと輝いているようにも見えてきます。「どっこい、どっこい」という相州神輿独特の掛け声や、神輿を担ぐ時唄われる歌「茅ヶ崎甚句」が聞けることもあります。海辺の地域ならではの潮風で洗われたような格好よさがこの祭りにはあります。 △みそぎの様子


◆茅ヶ崎海岸浜降祭
開催日:7月第3月曜日(祝・海の日)

【8月】築地本願寺納涼盆踊り大会/東京都中央区築地

"日本一おいしい盆踊り大会″とも呼ばれる、都内最大級の盆踊りです。毎年8月上旬に開催され、境内は老若男女問わず多くの人々でにぎわいます。こちらの屋台では築地場外市場の名店が揃い、築地の味が気軽に味わえる、グルメな方にも嬉しい盆踊り会場です。そして櫓の周りには踊りを楽しむ人々の輪が幾重にも重なり、品よく盛り上がります。 △築地本願寺納涼盆踊り大会

また、本堂の設計は東京帝国大学(現・東京大学)名誉教授で建築史家の伊東忠太によるもので、 インドの古代仏教建築の要素を取り入れ、独特でオリエンタルな雰囲気を醸し出しています。こちらも大きな魅力のひとつです。
△本堂の異国情緒溢れる建築美は必見


◆築地本願寺納涼盆踊り大会
開催日:8月上旬

【8月】脚折雨乞(すねおりあまごい)/埼玉県鶴ヶ島市

鶴ヶ島市は埼玉県のほぼ真ん中に位置し、元は農村地帯、現在は東京のベッドタウンとして郊外化が進んだ地域です。脚折雨乞は、長さ36メートル、重さ約3トンにもなる「龍蛇(りゅうだ)」を、4年に1度開催される行事の度に手作りし、雨乞いをする行事です。龍蛇は麦わらと孟宗竹、荒縄を材料にして作られます。

出発前には入魂の儀を行います。この儀式を終えると、龍蛇は「龍神」に変わります。この巨大な龍神を、300人の男たちが雷電池(かんだちがいけ)まで、担いで練り歩きます。閑静な住宅街の中を、うねりながら龍神が進んでいく姿は、普段なかなか見ることができない興味深い光景です。
△入魂の儀を待つ龍蛇

雷電池に到着すると、龍神を池に入れて、「雨降れたんじゃく、ここに懸かれ黒雲」と雨乞いを行います。その最中は太鼓が鳴り響き、池の中を悠然と巡回する龍神の姿と、厳かな雰囲気に圧倒されます。
雨乞行事は、池の中でハイライトを迎えます。最後に龍神は解体しますが、龍神が池の中でバラバラになっていく様子と、頭の部分につけられた金色の宝珠を、若者が我先にと競って奪い合う光景は、迫力があって見応えがあります。


◆脚折雨乞
開催日:夏季オリンピックの年の8月第一日曜日(4年に1回)
※新型コロナウイルス感染拡大防止により令和2年を中止としたため変更が見込まれます

おわりに

今回ご紹介した祭り・盆踊りは、どれも土地に根ざした特徴があって見応えがあります。祭り・盆踊りの開催がつつがなくできるような世の中になりましたら、ぜひ足を運んでみてください。
◆大石慶子(おおいしけいこ)
フォトグラファー/ライター。心ひかれる祭りと盆踊りを撮影し、人の心のゆらぎと祭祀との関係を見つめることをテーマにしている。「ニッポンのマツリズム」(アルテス・パブリッシング)、「奥東京人に会いに行く」(晶文社)、「大韓ロック探訪記」(DU BOOKS)などに写真提供。Website:http://keikooishi.com
Website: http://bonproduction.net(旅と祭りの編集プロダクションB.O.N)

※掲載している情報は公開時のものです。2021年度の開催状況は、公式サイト等でご確認ください。
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