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海外から帰国、14日間自主隔離の実態【レポート】




こんにちは&ご無沙汰してしまいました。在英ジャーナリストのさかいもとみです。



10月29日から旅行関係の展示会「ツーリストEXPOジャパン 旅の祭典in沖縄」が実施されるのに合わせて、はるばるロンドンから日本へと帰国しました。ただ、こうした人が集まるイベントには、日本政府が規定している「14日間の自主隔離期間」を終えてからでないと参加できません。そこで、イベント開幕日から逆算して14泊15日以上前に日本に到着するように帰国日程を組みました。



今回はみなさんが気にしている「海外からの帰国者が自主隔離期間をどう過ごしているか?」について紹介することにしましょう。


帰国者にはPCR検査を実施




外務省が定める感染症危険レベルが「レベル3」以上の国から日本に上陸する人は、国籍にかかわらず全員がPCR検査を受けます。





到着後、まずは143番ゲート付近で概要説明を受けます。その後、142番ゲート付近で検体容器とラベルを受け取り、検体を採取します。市の後、141番ゲート付近で書類審査、ゲートの階上で検査結果を待ち、146番ゲート付近で検査結果が通知されるとともに、移動手段の確認が行われます。陰性であればその後、入国審査に進むという流れです。いずれも、出発便がある本館付近は使われていません。





また、トイレは特定の場所以外は使用できないようになっていました。143番ゲート付近以外では撮影が禁止されています。





当初は、鼻の穴に綿棒を突っ込む「スワブ検査」を実施していました。陽性か陰性を判定するのに時間がかかり、場合によっては2〜3日目にようやく結果が出て来るという状況もありました。ところが、現在では小さな試験管に唾液を取って、これを調べる方法を導入したことで大幅に検査時間が短縮されました。筆者が羽田空港に到着したときは、他に到着フライトがなかったこともあり、機体の到着から税関通過までトータル1時間で終わりました。


羽田空港からは「検疫所のバス」で出発




陰性と判定されれば、入国審査や荷物のピックアップ、税関通過まではすべてコロナ前と同じ形で手続きが進みます。



その後、「自分で移動手段を確保」している人は出迎えを受けたりレンタカー屋に行ったりします。一方、「足の確保が無い」という人は検疫所が準備している大型バスで空港から出ます。このバスに関する案内が非常にあいまいで、サイト上でも公開しておらず、羽田空港の案内所に問い合わせても「検疫所に聞いてほしい」と言われます。10月中旬現在で、羽田空港から品川に向かうルートと、京急線に沿って蒲田・川崎方面に向かうルートの2つがあります。



ちなみに、税関を出てから空港の到着ロビーでバスを待つ間の行動に制限はありません。ちなみにバスの利用者はいずれのルートもほとんどいませんでした。



筆者はバスで川崎に行き、川崎駅近くのホテルに泊まりました。検疫所からは「ホテルのフロントで自主隔離を行う旨を伝えるよう」といった指示はありませんし、例えばバスの運転手が「この人たちはいま海外からやってきて、羽田空港から来た」と伝えるといった仕組みにもなっていません。つまり、バスから降りた後はあくまで「帰国者の自主的な行動」に任されます。



NHKは11月20日、海外から帰国した人が、利用しないように要請されている公共交通機関を利用しているという実態が検疫所の調べにより明らかになったと報じています。個人で送迎用の車を手配することが難しいことや、専用のハイヤーが高額であることなどを理由に挙げているとのことです。



他の国での状況がいろいろと伝えられていますが、日本の場合は厚生労働省が配布しているアプリ「COCOA」の使用を求められる程度で、帰国者の行動そのものを追跡するアプリは導入されていません。


公共交通機関の使用は厳禁




検疫所からもらった紙には「公共交通機関には乗るな」「指定場所から14日間外出せず、人との接触を可能な限り控える」というポイントが記されています。また、空港の検疫所で提出する用紙には「14日間の待機場所」を記入することになっています。



これらの宣誓を破った場合は罰則規定があるようですが、どういうわけか帰国者が自主隔離中に携帯を求められる書面には罰則規定についてどこにも記載されていません。他国の厳しい規則から比べると、こうした状況はどうにも不思議な気がします。



「人との接触を可能な限り控える」という状況をどう捉えるか、ですが、現実問題として単独で行動している以上、どこかのお店へ買い物などに行く必要性が出て来ます。他国で導入されている規則なり努力目標として設定されている「1.5〜2メートルのソーシャルディスタンス」が守られていれば、「僕が仮に感染していても、他人に移すことは無いだろう」と考えたのですが、残念なことに日本では、街行く人やお店の様子を見る限り「ソーシャルディスタンス」の習慣や概念を理解しているとは到底思えません。



筆者は「移動に公共交通機関は使わず、事前にホテルに事情を説明する」という前提で、自主隔離期間のうち、後半1週間はワーケーションの日々を送ることにしました。この施設では一時期、地元自治体からの要請で軽症者や無症状者を受け入れることを表明していたこともあり、快く滞在を受け入れてくださいました。


せっかく「陰性」なのに感染しそう!


筆者を含む帰国者は「陰性の状態」で日本の街に入って行くわけですが、率直な印象は「せっかく自分が陰性なのに、これでは誰かからうつされそう!」と思うくらい管理がなされていないというものでした。コンビニなど商店への入店人数は制限なし、居酒屋ではいちおうアクリル板などが立っているところはあるものの、恐ろしい三密状態が繰り広げられており、ウイルス予防とは言いがたい程度の格好(あれだったら対策しなくても同じレベル)と映ります。



ですから、「感染レベルが低い国(非常に努力して抑え込みに成功した国)」から帰国する人はきっと「怖くて日本の街は歩けない」と思うでしょう。一方、いまなんとかして海外に出かけたとしても、目的地の国の規制があれやこれやと厳しくて「ぜんぜん面白くないストレスフルな旅行」になる可能性が高いです。


公共交通機関に乗ったら帰国者が感染源?


これまで述べたように、日本においては帰国者の行動は「自己責任」に求められる部分が大きいと思います。



自主隔離期間が終わった後、公共交通機関に乗ってみました。乗客ほぼ全員がマスク着用、あらゆるところに消毒液が置いてありますが、もし誰かがウイルスを持ち込んだらたちまちクラスターを発生させるのではないかという怖さがあります。



幸いなことに、現状では日本国内は他国と比べて感染の抑え込みに成功している状態ですし、満員電車に乗ってもあまり高い感染リスクはないのでしょうが、これが外国からなんらかの方法でウイルスを持ち込んだら大変なことになるでしょう。



逆に「自主隔離中に公共交通機関に乗って、他人から帰国者がうつされた」というケースはどうでしょうか。この場合、発生源が日本居住者の誰かだと特定できる状況であっても、一義的に帰国者が「自主隔離規定違反」と言われた上で、徹底的に疑われることは間違いありません。ですから、帰国者は何が何でも公共交通機関や密のある空間に出入りするのを避けるべきだと強調したいです。



日本の皆さんは「早く海外旅行に行きたい!」と思っている気持ちはとてもよく理解できます。「14日間の自主隔離期間の撤廃や短縮」を求める声が大きいこともわかります。しかし、日本の一般社会におけるコロナ対策の現状を考えると、外国からの帰国者が隔離措置なしでこうした環境に溶け込んで行くのは難しいかな、と考えます。



みなさんはどうお感じになりますか?

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