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新型アウディA3セダン「セダンなのにコンパクトなサイズ」使いやすくてスタイリッシュ。S3は310ps/400Nm+クワトロで走りもいい


アウディA3セダンは、「セダンなのにコンパクトなサイズ」なのが魅力だ。クルマはカテゴリーを問わずモデルチェンジのたびに大型化するのが常だし、コンパクトなサイズのセダンは減っていく傾向にある。そんななか、アウディA3セダンは貴重な存在だ。「セダンに乗りたい」けどアウディA4やメルセデス・ベンツCクラス、BMW3シリーズでは大きすぎる。そんな悩みを持つ人にとって、新型アウディA3セダンは有力な次期愛車候補になるだろう。


TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota) PHOTO◎Motor-Fan

全長4505mm セダンはスポーツバックより150mm全長が長い。

A3セダンの全長×全幅×全高は4495〜4505×1815×1410〜1425mmだ。メルセデス・ベンツA180セダンの全長×全幅×全高は4550×1800×1430mm、BMW218iグランクーペの全長×全幅×全高は4535×1800×1430mmだ。国産でもマツダ3のセダンがあるじゃないかとスリーサイズを調べてみたところ、4660×1795×1445mmでちょっと大きい。むしろ、マツダ3ファストバックのほうがA3セダンの全長に近く、4460mmだ。それだけA3セダンがコンパクトだということである(裏を返せば、ハッチバックなのにマツダ3は長い)。

全長×全幅×全高:4505mm×1815mm×1415mm ホイールベース:2620mm

車両重量:1560kg 前軸軸重940kg 後軸軸重620kg
トレッド:F1545mm/R1530mm 最小回転半径:5.1m

感じ方は人それぞれなので、「絶対」ということはないが、A3セダンは全長4500mm級セダンのビューティコンテストで高得点を獲得するのではないか。満点かどうかは別にして、スタイリッシュなのは間違いない。公式発表によると、新型A3セダンは先代に対し、全長で+30mm、全幅は+20mm、全高は+20mmで、2635mmのホイールベースに変更はない。スポーツバックと同様で、セダンはVWゴルフなどと共用するMQBプラットフォームを継続採用する。運転席のポジションを下げたことでフロントヘッドルームは+20mmとなり、エルボールーム(肘まわりのスペース)も広くなっているという。

エクステリアは「エッジが効いた」とか、「シャープな」といった表現がぴったりくるデザインだ。先に新世代に移行したA6やA1と同様で、前後フェンダーはアウディ・クワトロ(1980年)のブリスターフェンダーを引用した処理が施されている。ただし、A6ほどこれ見よがしな処理ではなく、そこはかとなくブリスターな感じだ。それより目を引くのは、インバース面(凹面)を採用したドアパネルだ。これがブリスターフェンダーと呼応して独特の風情を醸し出している。

ボンネットフードはアルミ合金製。ダンパー付きだ。

試乗車は最上位グレードに位置するスポーツバージョンのS3だった。セダンのモデルラインアップはスポーツバックと共通で、エンジンは1.0ℓ直列3気筒ターボと2.0ℓ直4ターボの2種類である。1.0ℓ版は48Vマイルドハイブリッドとの組み合わせになる。トランスミッションは全車7速DCT(DSG)だ。

ボンネットフードを開けるとこう見える。エンジンはEA888型だ。可変バルブリフト機構が排気側に付いている。ちなみにS3ではないA3 40TFSIの2.0ℓ直4ターボ(EA211)は最高出力190ps/4200-6000rpm、最大トルク320Nm/1500-4100rpmとなる。

ご興味のある方は少ないと思いますが、これがエンジンカバー。
裏側はこうなっている。非常に凝った造りで、一体成形になっている(赤塗装の部分は別部品)。
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ エンジン型式:EA888型 排気量:1984cc ボア×ストローク:82.5mm×92.8mm 圧縮比:9.3 最高出力:310ps(228kW)/5450-6500rpm 最大トルク:400Nm/2000-5450rpm 過給機:ターボチャージャー 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 使用燃料:プレミアム

MQBだから前方吸気・後方排気。ターボチャージャーはこの位置。

1.0ℓエンジンを積む30 TFSI系の最高出力は81kW(110ps)/5500rpm、最大トルクは200Nm/2000-3000rpmである。2.0ℓ版の40 TFSI系は140kW(190ps)/4200-6000rpm、320Nm/1500-4100rpmの最高出力と最大トルクを発生。S3は228kW(310ps)/5450-6500rpmの最高出力と400Nm/2000-5450rpmの最大トルクを引き出す。30 TFSI系は2WD(FF)、40 TFSI系とS3はクワトロ(4WD)だ。スポーツバックと同様、セダンも40 TFSI系は2021年秋頃に導入の予定だ。




S3は「S3」のバッジはもちろんのこと、ワイド感を強調するフロントバンパーや、これもアウディクワトロからの引用であるボンネット先端の3分割スリット、それにダブルスポークVデザインのアルミホイールで他のグレードとの差別化を図っている。リヤは左右4本出しのテールパイプが特徴だ。

最新のアウディのインテリア。豪華ではないが上質だ。

インテリアはスポーツバックと共通。A8、A6、Q3、e-tronなど、先に新世代に移行した最新のアウディテイストでまとめられている。メータークラスターの左右、高い位置にレイアウトされた空調吹き出し口が目立つ。運転席に向けて傾斜したセンターコンソールと合わせ、ドライバーを重視したデザイン意図が感じられる。レバーではなくスイッチになったシフトセレクターは手前に倒す(DまたはSレンジ)か奥に倒す(Rレンジ)だけなので、操作量が少なくて済むし、シンプルで使いやすい。




使いやすいといえば昨今では珍しく、まん丸(下辺がカットされていない)で大径のステアリングが好印象だ。スポーツバージョンとはいえ、見た目だけに走っていないのがいい(パドルシフト付きだ)。パノラマルーフ装着車(14万円のオプション)だったせいか、スポーツバックと異なるセダン特有のルーフ形状のせいか、後席ヘッドスペースは身長184cmの筆者にはやや窮屈だった。

228kW(310ps)/400Nmのポテンシャルを持つエンジンがもたらすパフォーマンスは圧巻だ。試乗車はダンピングコントロールサスペンション・専用アウディドライブセレクト(11万円のオプション)を装備していた。そのため、標準で装備するアウディドライブセレクトでダイナミックまたはコンフォートを選択すると、電動パワーステアリングや排気サウンドなどの設定に加え、ダンパーの減衰力を切り換えることができる。

タイヤは225/40R18サイズ
ピレリP ZEROを履く
リヤサスペンションは1.0ℓ系と違って2.0ℓ搭載モデルはウィッシュボーン式となる。
フロントサスペンションはマクファーソンストラット式。サブフレームはゴルフと違ってアルミ合金製となる。

S3の真価を存分に引き出すモードは「ダイナミック」だ。RSのダイナミックはサーキット限定にしたほうが良さそうなほど過激な味つけに変わるが、「S」のダイナミックは日常的に使えそうな程度のハードさ加減で、キャラ変を味わうのにちょうどいい。派手な音を立てる排気サウンドが気になるなら、「インディビジュアル」で設定を切り換えれば、音は通常のままで、変速制御やパワステ、ダンパーだけスポーティに変更することが可能。中〜高回転まで回したときの素のエンジンサウンドもなかなか刺激的だ。

WLTCモード燃費:11.6km/ℓ  市街地モード 8.2km/ℓ  郊外モード 12.0km/ℓ  高速道路モード 13.8km/ℓ

1815mmの全幅が気になるが、運転席に収まった際の印象だと、取り回しに気を使うほどではない。それよりも、全体にコンパクトな車両サイズが乗り手の感覚に与える影響は大きく、心置きなく存分に、振り回すことができる。S3のように大きなパワーとトルクを発生するモデルを振り回しても平然としているのだから、30 TFSI系や40 TFSI系など、余力の残し具合は相当なものだろう。新型のアウディA3セダンはコンパクトで扱いやすく、スタイリッシュなこと、加えて、懐の深さを感じさせる走りが魅力だ。

アウディS3セダン


全長×全幅×全高:4505mm×1815mm×1415mm


ホイールベース:2620mm


車重:1560kg


サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rウィッシュボーン式


エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ


エンジン型式:EA888型


排気量:1984cc


ボア×ストローク:82.5mm×92.8mm


圧縮比:9.3


最高出力:310ps(228kW)/5450-6500rpm


最大トルク:400Nm/2000-5450rpm


過給機:ターボチャージャー


燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)


使用燃料:プレミアム


トランスミッション:7速DCT


駆動方式:4WD


WLTCモード燃費:11.6km/ℓ


 市街地モード 8.2km/ℓ


 郊外モード 12.0km/ℓ


 高速道路モード 13.8km/ℓ


車両価格○661万円

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