新しい日産ノートの4WDはもちろんe-POWERだ。その上でリヤに68ps/100Nmという強力なモーターを搭載した。つまり電動4WDである。この4WDの開発には日産技術陣の気合いが感じられる。ノートのヨンク、どんなクルマか?



TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

新しい日産ノート4WDは気合いが入っている。ノートはエンジンで発電用モーターを動かし、発電した電気で駆動モーターを駆動して走る。バッテリーに充分残量がある場合、かつ、強い加速を必要としない状況ではエンジンは停止したままで、バッテリーに蓄えたエネルギーのみでモーターを駆動し、走行する。この状況では電気自動車と同じだ。

FFのXが218万6800円  4WDのX-FOURが244万5300円  差額は25万8500円だ。

4WDの場合、リヤもモーター駆動だ。先代ノート4WDのリヤモーターは4.8ps(3.5kW)/15Nmの最高出力/最大トルクを発生したのに対し、新型ノート4WDのリヤモーターは68ps(50kW)/100Nmの最高出力/最大トルクを発生する。この数字の違いからも、気合いの入り方が推察できようというものだ。ちなみに、フロントモーターの最高出力/最大トルクは先代ノートが109ps(80kW)/254Nmだったのに対し、新型は109ps(85kW)/280Nmに向上している。



なぜ、出力で14.3倍、トルクで6.7倍も引き上げることにしたのか。「近年の日産は4WD(のイメージ)が弱くなっていたこともあり、一気に盛り返してやるぞということで、今回の4WDを開発しました」と、開発を担当した技術者は説明した。

新型e-POWER 4WDは4輪の駆動力を高精度に制御、あらゆるシーンで機械式4WDを超える! ことを開発目標にしている。

先代のノート4WDは雪道に代表される滑りやすい路面での発進性や登坂性能をリヤのモーターでサポートする意味合いが強かった。前輪がスリップして前に進まないと困るので、リヤで助ける発想である。新型ノートの4WDは、一歩先を見据えている。発進や登坂性能を満足させたうえで、追い越しやカーブでも安心して走れるような性能を目指した。このような性能を目指すと、結果的に楽しさを提供できるようになる。

リヤモーター:MM48型交流同期モーター 最高出力:68ps(50kW)/4775-10024rpm 最大トルク:100Nm/0-4775rpm

ハッチを開けるとラゲッジスペースが広がる。
フロアをめくると、工具等が綺麗に収納されているのが見える。
発泡スチロール製のトレイ上の火アーを外すとこうなる。
さらにスリップダウンするとモーターが収まっている部分が露わになる。

68ps(50kW)/100Nmのスペックは、雪道でカーブを保舵しながら加速した際、最も安定して走れる観点から絞り込んでいった。100Nmよりトルクが高くなると、全開加速時にオーバーステア傾向が強くなるという。「いろんなパターンを検討しました。最もバランスのいい旋回性能と加速性能、また、回生・減速時の旋回を考えると、50kW/100Nmが理想です」

高いモータートルクをすぐにタイヤに伝えられる3点モーターマウント構造を採る。トラス3点支持マウントで重量物であるモーターの振動を抑制する。

強力なモーターを支える4WD専用の車体構造を採用した。

最大トルク100Nmのモーターが発生する大きなトルクを受け止めるため、2WD(FF)に対して車体構造を強化した。リヤバンパーにレインフォースを追加したのは、重量増による車体の変形を抑制するためだ。また、ホイールハウス内側のサイドメンバーに加え、モーター支持用のメンバーを追加した。2WD仕様はスペアタイヤを収めるため荷室の床面を凹ませているが、4WDは上下に反転したような格好で膨らんでおり、その膨らみの内側にモーターを収めている。鉄板でしっかり遮音する考えだ。



1万分の1秒単位での制御が可能なモーターの大きなトルクを確実にリヤタイヤに伝えるため、2点マウントだった先代ノートのリヤモーターに対し、新型ではモーター+デフの重心点を押さえる3点マウントとした。これにより、振動もしっかり抑えている。

エンジン形式:直列3気筒DOHC+e-POWER エンジン型式:HR12DE 排気量:1198cc ボア×ストローク:78.0mm×83.6mm 圧縮比:12.0 最高出力:82ps(60kW)/6000rpm 最大トルク:103Nm/4800rpm フロントモーター:EM47型交流同期モーター 最高出力:116ps(85kW)/2900-10341rpm 最大トルク:280Nm/0-2900rpm

冒頭では雪道に代表される滑りやすい路面での安心と楽しさを引き合いに出し、高出力モーターをリヤに搭載した4WDのメリットについて触れたが、乾燥舗装路を走っても、新型ノート4WDは充分に楽しい。2WDに対して価格差は当然あるが(2WD・Xの218万6800円に対し、4WDのX・FOURは244万5300円)、検討する価値は充分にあると感じた。

全長×全幅×全高:4045mm×1695mm×1520mm ホイールベース:2580mm 車重:1220kg WLTCモード燃費:28.4km/ℓ  市街地モード28.0km/ℓ  郊外モード30.7km/ℓ  高速道路モード27.2km/ℓ

コーナーに進入するのが楽しいし、加速と減速が楽しい(加速だけでなく減速時も、前後のモーターを同時に制御しながら使用)。リヤモーターを上手に制御することでピッチング(頭が前後に倒れ込むような動き)を抑え、上質な走りを作り込んだのが新型ノート4WDの特徴だ。確かに、加速にしても減速にしても、体が前に持っていかれたり、首が後ろに振られたりするような激しい動きはなく、フラット感が強い。

いっぽうで、ロールはしっかりする。やや前下がりになって攻めている感じの姿勢をキメつつ、スムーズに旋回していく。それも、軽く舵を当てただけで反応良く向きを変えるのが印象的だ。想像していたよりキビキビと俊敏に走る。懐の深さを感じるし、だから安心だし、ものすごく楽しい。



「操縦安定性の観点から、(前後配分は)最終的にはフロント52:48にしました。走り始めの加速時が小さい状態ではフロント41%です。それくらいの配分にするとリヤが蹴っている感があり、4WDらしさが出る。旋回状態からアクセルを踏んで加速させるような状況では、強くても加速度は0.35G程度だと考えています。ですので、0.35Gまではリヤが48%の配分にしています。そこから先は少しずつフロントを強くしてあげて、少しアンダーで安定させる方向に持っていきつつ、最後はシステム限界で70:30になる。そういう制御にしています」

開発の狙いは、「小刻みな振動を抑え、荒れた道でも体を揺すられにくいワンランク上の乗心地」と「街中では取り回しやすく、ワインディングでも修正操舵の少ないハンドリング」

新しいノート4WDは、「気持ちいい」走りを意識した制御になっていることがわかるだろう。ファッションに対する感度が高い実用車みたいな雰囲気をまとっているが、身体能力は高い。前後に2基積んだモーターの反応の良さを生かした制御を駆使するおかげで、身のこなしは軽く、瞬発力が高い。小さいからってナメてはいけない。ラグビー選手に例えれば、機敏に動き回るスクラムハーフのようなクルマだ。

プラットフォームは、CMF-Bを使う。欧州のジューク、ルノー・ルーテシア、キャプチャーなどと同じモジュラープラットフォームだ。

日産ノート X FOUR

全長×全幅×全高:4045mm×1695mm×1520mm

ホイールベース:2580mm

車重:1220kg

サスペンション:Fストラット式 Rトーションビーム式

駆動方式:4WD

エンジン形式:直列3気筒DOHC+e-POWER

エンジン型式:HR12DE

排気量:1198cc

ボア×ストローク:78.0mm×83.6mm

圧縮比:12.0

最高出力:82ps(60kW)/6000rpm

最大トルク:103Nm/4800rpm

過給機:×

燃料供給:PFI

使用燃料:レギュラー

フロントモーター:EM47型交流同期モーター

最高出力:116ps(85kW)/2900-10341rpm

最大トルク:280Nm/0-2900rpm

リヤモーター:MM48型交流同期モーター

最高出力:68ps(50kW)/4775-10024rpm

最大トルク:100Nm/0-4775rpm





バッテリー:リチウムイオン電池(1.5kWh)

燃料タンク容量:36ℓ



WLTCモード燃費:28.4km/ℓ

 市街地モード28.0km/ℓ

 郊外モード30.7km/ℓ

 高速道路モード27.2km/ℓ

車両価格○244万5300円

情報提供元:MotorFan
記事名:「 日産ノート4WD(X FOUR)身のこなしは軽く、瞬発力が高い。ラグビー選手に例えれば、機敏に動き回るスクラムハーフのようだ