V12とV10がなくなった2021年現在、事実上のフラッグシップを担うのがV8のUR系エンジンである。"F"のレクサスからランドクルーザーまでさまざまな車種に搭載され、懐の広さを見せる。

トヨタのUR系は32バルブDOHCのV型8気筒エンジンで、UZ系の後継として2006年に発表された。アルミ合金製シリンダーブロックとヘッドを持ち、主にプレミアム性の問われる車種に搭載されることもあってかエンジンカバーは樹脂ではなくマグネシウム合金製。マグネシウムはアルミと比較して軽量というだけでなく、比強度が最大の金属であるため強度も高い。また、減衰能に優れるため振動吸収性が高く、比熱が小さいために冷めやすいという点も考慮しての採用と思われる。

2UR-GSE

■ 2UR-GSE

気筒配列 V型8気筒

排気量 4968cc

内径×行程 94.0×89.5mm

圧縮比 11.8

最高出力 311kW/6600rpm

最大トルク 505Nm/5200rpm

給気方式 自然吸気

カム配置 DOHC

吸気弁/排気弁数 2/2

バルブ駆動方式 ロッカーアーム

燃料噴射方式 DI+PFI

VVT/VVL In-Ex/×

(IS F)

UVF45/46型レクサス“LS600h”に搭載される2UR-FSE(次項)をベースにヤマハ発動機と共同開発したレクサス“IS-F”をはじめとするスポーツグレード専用エンジン。燃料供給はトヨタ得意の直噴とポート噴射併用式「D-4S」だが、「高流量吸気ポート」の採用で吸気ポート流量係数は2UR-FSE比で11%向上、バルブリフト量は吸気側9%、排気側3%拡大、吸・排気系の刷新などで出力は21kW向上した。またヘッドからオイルを回収するスカベンジポンプを新設、旋回時1.2Gでの油圧低下を半減してスポーツ走行に対応する。

スポーツ走行が想定されるレクサス“IS-F”に搭載される2UR-GSEでは、バルブ支持性向上のため、カムジャーナルをボアセンターに配置し、油圧ラッシュアジャスターから固定ピボットに変更している。吸気バルブはチタン化された。

2UR-GSEで採用される「高流量吸気ポート」。吸気ポートの入り口断面形状をスムーズな楕円形状に変更し、インジェクターのポート内への突き出し量を低減して、ストレートでスムーズな吸気系を実現している。

2UR-FSE

■ 2UR-FSE

気筒配列 V型8気筒

排気量 4968cc

内径×行程 94.0×89.5mm

圧縮比 11.8

最高出力 290kW/6400rpm

最大トルク 520Nm/4000rpm

給気方式 自然吸気

カム配置 DOHC

吸気弁/排気弁数 2/2

バルブ駆動方式 ロッカーアーム

燃料噴射方式 DI+PFI

VVT/VVL In-Ex/×

(LS 600h)

長らくHEVであるレクサス“LS600h”の専用機だったが、センチュリーのフルモデルチェンジに伴い同車にも搭載が始まった。フラッグシップらしく、直噴とポート噴射を併用する「D-4S」、吸・排気側双方の連続可変バルブタイミング機構「VVT-iE」(吸気側カムの電動制御化仕様)などトヨタの先進エンジン技術がすべて投入されている。また、本機のみシリンダーヘッドもマグネシウム合金製となっている。

1UR-FSE

■ 1UR-FSE

気筒配列 V型8気筒

排気量 4608cc

内径×行程 94.0×83.0mm

圧縮比 11.8

最高出力 255kW/6400rpm

最大トルク 460Nm/4100rpm

給気方式 自然吸気

カム配置 DOHC

吸気弁/排気弁数 2/2

バルブ駆動方式 ロッカーアーム

燃料噴射方式 DI+PFI

VVT/VVL In-Ex/×

(マジェスタ)

UR系のエンジンの第一弾が1UR-FSEで、レクサスブランドの内燃機関仕様車としては最上級である“LS460”に搭載されてデビューした。燃料供給に直噴とポート噴射を併用する「D-4S」を採用するほか、吸・排気側双方に連続可変バルブタイミング機構「デュアルVVT-iE」(吸気側電動化)を装備するなど、トヨタのエンジン技術が惜しみなく投入されている。また鋳造後にX線やCTスキャンで徹底的に検査されるという、まさにプレミアムなV8エンジンだ。

1UR-FE

■ 1UR-FE

気筒配列 V型8気筒

排気量 4608cc

内径×行程 94.0×83.0mm

圧縮比 10.2

最高出力 234kW/5600rpm

最大トルク 460Nm/3400rpm

給気方式 自然吸気

カム配置 DOHC

吸気弁/排気弁数 2/2

バルブ駆動方式 ロッカーアーム

燃料噴射方式 PFI

VVT/VVL In-Ex/×

(ランドクルーザー)

1UR-FSEをベースに開発されたエンジンだが、燃料供給は直噴とポート噴射を併用する「D-4S」ではなくポート噴射のみを使用するオーソドックスなスタイルである。2007-2008年ごろに登場したアジア・中東向けのレクサス“LS460”や“GS460”に搭載された仕様が原型と見られ、2010年頃から世界的に2UZ-FSEを搭載したSUVやピックアップトラックが本機にスイッチし始めている。日本では“ランドクルーザー”に搭載されている。

3UR-FE

■ 3UR-FE

気筒配列 V型8気筒

排気量 5662cc

内径×行程 94.0×102.0mm

圧縮比 10.2

最高出力 277kW/5600rpm

最大トルク 534Nm/3200rpm

給気方式 自然吸気

カム配置 DOHC

吸気弁/排気弁数 2/2

バルブ駆動方式 ロッカーアーム

燃料噴射方式 PFI

VVT/VVL In-Ex/×

(LX)

日本ではレクサスLXに搭載されて登場したUR系最大排気量版。もともとは北米市場におけるピックアップトラックシリーズおよびランドクルーザーに搭載されていたエンジンで、5662ccの排気量を得るためにストローク値はついに大台を超える102mmとなった。車両の特性を鑑みて耐久性を重視、1.3 million km(130万キロ)以上の耐久試験を経て市場投入されている。燃料噴射装置はポートインジェクションのみ。E85仕様燃料を用いる3UR-FBE型もラインアップする。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | ラグジュアリーもスポーツもこなすV8:トヨタ[UR]シリーズ