BMWは3/4/6気筒エンジンをモジュラー化し、新世代にすっかり置き換えたのに対し、スーパーハイパフォーマンスを担うV8エンジンはベテランの域に入る長寿ユニットを使い続ける。ユニークなバンク内排気レイアウトを持つこれらをご紹介しよう。

N63

2008年に登場したV8エンジン。先代に当たるN62型に対して、パフォーマンスアップを図りターボ過給としたのは当時の傾向に沿ったものだったが、ユニークなのはそのレイアウト。現在では珍しくないバンク内排気:ホットVを世界で初めて採用した市販車用エンジンとなった。



直列エンジンのボアピッチ91mmに対して、V型エンジンのボアピッチはV8/10/12ともに98mmだ。つまり、V8は、直4を2つ繋いだものではないということだ。Vバンク90度で、ボア×ストロークは89.0×88.3mm。なお、同じ排気量のN62型(N62B44)は、92.0×82.7mmのショートストローク、ポート噴射エンジンだった。



N63は、BMWが高精度直噴と呼ぶDIとツインターボを組み入れている。2基のターボをバンク内に配置することで、吸気の経路が径の大きなパイプでシリンダーに接続され、圧力損失を最小限にすることができる。

90度のVバンクに挟み込まれる2基の小型ターボは、片バンク4気筒ごとに配置。排気がバンク内側に来る珍しいレイアウトだ。

バンク外側にある吸気マニフォールドは、シリンダーヘッドに密着するように配置される(写真下の黒い部分)。

■ N63

気筒配列 V型8気筒

排気量 4395cc

内径×行程 89.0×88.3mm

圧縮比 10.0

最高出力 300kW/5500-6400rpm

最大トルク 600Nm/1750-4500rpm

給気方式 ターボチャージャー

カム配置 DOHC

吸気弁/排気弁数 2/2

バルブ駆動方式 ロッカーアーム

燃料噴射方式 DI

VVT/VVL In-Ex/×

(750i)

S63

BMWの高速SUVであるX5とX6、M5やM8などのMバージョン車に搭載するハイパワー版のV8ターボエンジン。



車重2.3トン(X6M)のボディをスポーティに走らせるのに必要なトルクは4.4ℓのV8と言えども易々とは出せない。そこでBMWが採った手法が過給、しかも、ハイテクを究めた過給システムだ。エンジンの基本構造はN63B44と同じ。2基のターボチャージャーをバンク内に配置するのも同じ。違うのは、そのターボがツインスクロールターボであることだ。つまりS63B44は、ツインスクロール・ターボ×2基なのだ。これをBMWは「Mツインパワーターボ」と呼んでいる。得られたトルクは680Nmと強大だ。ツインスクロールでないN63が600Nmなのだから、Mツインパワーターボの威力は絶大だ。

燃料は、点火プラグ近傍に配置されたピエゾ式インジェクターから高圧(最大200bar)で噴射される。いわゆるスプレーガイデッド直噴だ。

Mツインパワー・ターボの肝となるのがクロス・バンク・エキゾースト・マニフォールド。この独特の技術はBMWが特許を持っている。

■ S63

気筒配列 V型8気筒

排気量 4395cc

内径×行程 89.0×88.3mm

圧縮比 9.3

最高出力 408kW/6000rpm

最大トルク 660Nm/1500-5650rpm

給気方式 ターボチャージャー

カム配置 DOHC

吸気弁/排気弁数 2/2

バルブ駆動方式 ロッカーアーム

燃料噴射方式 DI

VVT/VVL In-Ex/×

(X6 M)

情報提供元:MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | BMWのV8エンジンは市販車初のバンク内排気配置[N62/S63]