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車は走行していなくても燃えることがある!? 古くて走行距離が伸びた車は要注意


とんでもない情報が飛び込んできた。走行中に火災を発生させた車両のことはニュースなどで見聞きすることがあるものだが、なんと今回は駐車していた車両が燃えたというのだ。過去に取材させていただいたことがある京都府の奥野エンジニアリングというチューニング&レストアショップから寄せられた情報で、車両の写真や消防による質問調書まで入手できた。衝撃の事実を紹介しよう。

ビニールシートに覆われて奥野エンジニアリングへ運ばれてきた火災車両。

2021年2月18日、京都府京丹後市のホテルに駐車中の軽自動車が火災を起こした。車両はエンジンを停止した状態で停められていたため、燃料が漏れたことが原因による火災ではない。通常、車両火災は走行中に燃料が漏れたり配線などの接触不良による漏電が原因になるものだが、今回のケースではエンジンを停止してキーを抜き運転手は車両から離れた場所にいたため、いずれにも当てはまらない。一体なぜ軽自動車は火災を起こしたのか興味深いところだ。




当該車両は所有者と付き合いがある京都府宮津市の奥野エンジニアリングというショップへ一旦、預けられることとなった。火災を起こしたのは19時10分ごろのことであり、その翌日に消防で所有者が質問調書を作成することになった。ここに調書を掲載するので、当日の様子をお知らせしたい。

消防による質問調書の1枚目。
消防による質問調書の2枚目。

この調書によると、所有者は午前中にボーリングを楽しんだ後、一旦帰宅してから温泉へ入るためホテルへ移動している。いずれの行動にも当該車両を使用された。また当日は積雪がある状況で寒さが厳しかったこと、直前までの整備状況に問題がないことまでわかる。 




問題の火災はこのホテルで駐車中に発生した。火災発生直後の様子は不明ながら、ホテル従業員により消化活動がされた後に所有者が駆けつけバッテリーのターミナルを外そうとするも、ボンネットが開かず断念している。




また調書の最後には他人から恨まれるようなことはないとまで記され、放火の可能性を否定している。つまり、発火した原因に心当たりがまったくないということだ。

消防とメーカーが原因を究明するため分解が始まる。

ボンネットを開けてエンジンルームを確認。

調書を取られた後、不審な点などないことを確認して所有者は帰宅している。後日、当該車両を調べるため奥野エンジニアリングへ消防とメーカーから数人が訪問して作業が始まった。写真はその時の様子でテントなどは先方が持ち込んだものだ。

エンジンルームの様子。

エンジンルームを観察すると運転席側の燃え方が激しく出火場所はこの近辺だと考えられる。こちらにはバッテリーや燃料系部品が存在しないことから、点火系や発電系統が疑われることになった。




ここでは車種名を伏せさせていただくが、この車両と同系統のものが走行中に出火した例があるため、メーカーから整備工場などへ整備個所の指定が通達されていたこともあるという。

燃えかけたフロントパネルを外して出火場所を特定。

エンジンルームの運転席側を良く確認するため、燃えかけていたフロントパネルを外して下部まで視認できるようにしている。こうしてみると運転席側のエンジンルーム下にはエアコンのコンプレッサーやオルタネーターなどが配置されているとわかる。ここから部品を1つずつ外す作業が始まった。




出火場所の特定はこの日にはされず、部品を持ち帰った消防とメーカー側から後日、伝えられることになった。部品を持ち帰って検分されたところ、出火したのはオルタネーターと断定された。だが駐車中であるにもかかわらず、なぜオルタネーターから火が出たのだろうか。

出火原因はオルタネーターだった!

オルタネーターを分解したところ、オルタネーター内部にあるシャフトと受け皿になるメタルが焼きついていた。シャフトとメタルが焼きついたのは走行中のことだろうとの予測だ。




走行中はファンベルトによりオルタネーターのプーリーが回転する。プーリーはシャフトに繋がり、内部の発電コイルに回転が伝わることで電気を発生する。通常ならグリスなどで潤滑されるが、今回は潤滑不足が焼き付きへつながったと考えられている。




だが、駐車中なのになぜ発火したのか。走行中に焼き付いて固着したシャフトを回そうと無理な力が加わると発熱する。この熱が停車後も続き、オルタネーターから伸びるハーネスを燃やしたというのが今回特定された出火原因だ。こんな事態は車検時に判明するわけもなく、防ぎようがないとも言える。古い車種に乗る人なら、一度は確認しておきたい部分のようだ。

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