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未舗装路もイケるって頼もしい。KTM・250アドベンチャーをオンオフ両ステージで乗ってみた


ダカールラリーで18連覇という偉業を達成するなど、オフロードイメージの強いKTMから軽二輪クラス向けのトラベルエンデューロ〝250アドベンチャー〟が登場した。250デュークのスチール製トレリスフレームと水冷シングルエンジンを流用しつつ、フロント19インチ/リヤ17インチホイールを組み合わせ、前後サスペンションのトラベル量を伸張。ライバルと目されるホンダのCRF250ラリーを下回る価格設定にも注目を。




REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


問い合わせ●KTMジャパン(https://www.ktm.com/ja-jp.html)

KTM・250 ADVENTURE……679,000円

スチール製トレリスフレーム、ボルトオンのサブフレーム、鋳造オープンラティス構造のスイングアームなどは390アドベンチャーと共通。前後のWP製APEXサスペンションについては、フロント170mm/リヤ177mmというホイールトラベル量こそ共通だが、390がフロントに伸縮両減衰力、リヤにプリロードと伸び側減衰力調整機構を備えるのに対し、250はリヤのプリロード調整のみとなる。

試乗車の車体色はブラックで、このほかにオレンジを用意する。

装備を見直すことで競争力のある価格に

 2020年度の軽二輪販売台数ランキングにおいて、3位にヤマハのセロー250、7位にスズキのVストローム250が入っていることからも、このクラスにおけるトレール車の人気は高いと言えるだろう。セローは2020年に惜しまれつつ生産終了となったが、ホンダは2021年にCRF250LとCRF250ラリーをフルモデルチェンジ。カワサキはKLX230とヴェルシス-X 250ツアラーの2機種をラインナップするなど、各社が注力しているカテゴリーなのだ。


 そんな中、オーストリアのKTMが390アドベンチャーの軽二輪版、250アドベンチャーを投入した。日本では250ccを超えると車検が必要になるため、そのラインを超えるか否かが重要視されるが、世界的にはすでに300cc前後のモデルが普及しており、250ccはガラパゴス化した排気量とも言える。つまり、250アドベンチャーはほぼ日本市場向けに企画されたモデルと考えられ、国内での競争力を高めるために390アドベンチャーからのコストダウンの努力が散見される。とはいえ、その甲斐あって兄貴分の390からジャスト10万円の値下げに成功。ホンダのCRF250ラリーより6万2400円も安いのは非常に魅力的だ。

 ベースとなった250デュークからホイールトラベル量をフロントで28mm、リヤで27mm伸張し、170/177mmとした250アドベンチャー。ちなみにセローは225/180mmなので、リヤについてはかなり寄せてきたが、フロントはネイキッドモデルがベースのフレームもあってこれが精一杯だったのだろう。こうしたサスペンション事情と、フロント19/リヤ17インチというホイール径から、250アドベンチャーはオンロード走行が主体のトラベルエンデューロと位置付けられるのだ。


 まずはエンジンから。250デュークと共通の水冷シングルは最高出力30psを公称。2気筒のヴェルシス-X 250が33psなので、単気筒ながらもかなりパワフルと言えるだろう。低回転域からの快活な吹け上がりと、7,000rpm付近からさらに伸び上がるフィーリングはデューク譲りで、高速巡航ですら飽きることがない。バランサーシャフトによって不快な微振動が排除されていること、またアンチホッピングクラッチによりレバーの操作力が非常に軽いことなども美点であり、完成度の高さに感心させられる。


 続いてハンドリング。ステアリングヘッドの低さからオンロードモデルのフレームがベースであることが伝わるが、フロントの19インチホイールと、デュークから2サイズ細くしたリヤタイヤにより、アドベンチャーモデルらしい軽快かつ安定性に優れたハンドリングを構築している。純粋な旋回力なら250デュークが上回るが、つづら折りの路面が荒れた峠道なら、ホイールトラベル量の多さもあって250アドベンチャーの方が安心感が高く、実際のペースも明らかに速い。

 さて、注目のオフロード性能について。390アドベンチャーとは異なり、この軽二輪クラスにはオフ性能を追求したライバルが存在するので、それらと比べると「無難に走れるレベル」と言わざるを得ない。バネレートやフレーム剛性の高さもあって、ギャップ通過時の衝撃が大きく、またペースを上げるとキャストホイールによるバネ下の重さが露呈する。さらに標準装着タイヤもブロックが高くないので過信は禁物だ。とはいえ、フラットなダートであれば前後17インチのネイキッドよりも生き生きと走ることが可能。Uターンもできないような細い林道へ積極的に入ろうとは思わないが、ツーリングの途中で未舗装路に出くわしても慌てなくて済むという余裕はありがたい。


 この250アドベンチャー、純正アクセサリーでトップケースやパニアケースなどが用意されていることからも、長旅を想定したモデルであることが分かる。プラス10万円で14psもパワフルになり、足回りや電子制御系など装備が一気に豪華になる390アドベンチャーが手に入るという点は悩ましいが、車検レスがマストであれば250一択となるだろう。

ライディングポジション&足着き性(175cm/64kg)

膝の曲がりが緩やかで、上半身も適度にリラックスできる。なお、ウインドスクリーンはボルトの差し替えによって高さを2段階に調整可能。
855mmという高めのシート高に加え、乗車1Gでのサスの沈み込みが少ないこと、座面の広さなどが合わさり、足着きはご覧の状態に。ただし、車重が軽いので片足で支えるのは余裕だ。

ディテール解説

バルブ開閉システムにフィンガーフォロワーを採用する最先端の水冷DOHC4バルブ単気筒。390アドベンチャーのストロークが60mmなのに対し、250は61.1mmとわずかに長い。アンチホッピングクラッチを採用しているため、レバーの操作力は非常に軽い。
クランクケースの下にプレチャンバーを持つエキゾーストシステム。2か所の触媒コンバーターにより欧州の排ガス規制ユーロ5をクリア。
標準装着タイヤは390アドベンチャーがコンチネンタル製なのに対し、250はインドのMRF製となる。ホイールサイズはフロントが2.50×19、リヤが3.50×17で、これは390と共通だ。
ブレーキセットは250デュークからの流用で、前後ともキャリパーはバイブレ製だ。ボッシュ製の2チャンネルABSを採用し、オフロードモードにするとリヤのABSが無効となり、フロントはABSの介入が弱まる。
テーパードハンドルは390アドベンチャーがアルミ製なのに対し、250はスチール製となる。
5インチのフルカラーTFTディスプレイを採用する390に対し、250はモノクロの多機能LCDメーターとなる。さらに、390に採用されているトラクションコントロールやコーナリングABS、スマホとの連携機能なども省略されている。なお、メーターの下部には電源ソケットを備える。
ヘッドライトは390がLED、250はハロゲン球で、デザインも微妙に異なる。
ヘッドライト以外の灯火類はLEDで、被視認性に優れる。
メーター操作用のボタンを備える390に対し、250はシンプルなスイッチボックスを採用。照明が内蔵されており、アイコンが点灯する。他メーカーにはあまり見られないギミックだ。
ライドバイワイヤーを採用する390に対し、250は通常のスロットルワイヤー方式となる。
座面が広く設計されていることからも、トラベルエンデューロとしての資質は十分以上。
タンデムシートはキーロック式で、ライダー側も簡単に取り外せる。エアクリーナーやバッテリー、ヒューズボックスにアクセスしやすい設計はさすがKTMだ。車載工具の内容も驚くほど充実している。

KTM・250アドベンチャー 主要諸元

エンジン形式:水冷4ストロークDOHC 4バルブ単気筒


排気量:248.77cm³


ボア×ストローク:72×61.1mm


最高出力:22kW(30ps)/9,000rpm


最大トルク:24Nm/7,250rpm


圧縮比:12.5対1


潤滑方式:トロコイドポンプ2台による圧送式


燃料吸気方式:Bosch製EFI(スロットルボディφ38mm)


始動方式:セルスターター


トランスミッション:6速


クラッチ:PASC™ アンチホッピングクラッチ、機械操作式


EMS:Bosch製EMS


燃料消費率:3.1ℓ/100km(32.3km/ℓ)




フレーム:スチール製トレリスフレーム、パウダーコート塗装


フロントサスペンション:WP APEX φ43mm


リアサスペンション:WP APEX-Monoshock


サスペンションストローク(前/後):170mm/177mm


ブレーキ(前/後):4ピストンラジアルマウント固定式キャリパー/1ピストンフローティングキャリパー


ブレーキディスク径(前/後):φ320mm/230mm


タイヤ(前、後):100/90-19、130/80-17


チェーン:520 X-Ring


キャスター:26.5°


トレール:98mm


ホイールベース:1,430±15.5mm


最低地上高:200mm


シート高:855mm


燃料タンク容量:約14.5L(予備3.5L)


乾燥重量:156kg




生産国:インド
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