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【海外技術情報】ポルシェ:最大30台を同時に充電できる高出力充電トラック


プレミアム・ブランドからもEVが登場することで、なんとも難しい問題が発生している。それがEVイベント会場における充電問題だ。今回の海外技術情報では、それを解決するためにポルシェが使用している高出力充電トラックをご紹介しよう。


TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro) PHOTO:PORSCHE

 サーキット体験からフィンランドにおけるアイスドライブ体験まで、タイカンはポルシェが主催する運転体験プログラムにおいて不可欠な存在となっている。しかし、それが実に難しい問題を引き起こすことになっている。当然のことながら、地球上の何処でも気軽に多数のEVスポーツカーを充電するできるワケではない。サーキットに持ち込まれた30台のEVを、どのように充電したら良いのだろうか? EV普及期にある今時の課題に対するポルシェのソリューションが、オンデマンドでモバイル充電を提供するスタンドアロン型の高出力充電トラックだ。

 ブダペストのハンガロリンク(サーキット)において、ポルシェが主催するドライブ体験イベント「ソウルオントラック(筆者注:ポルシェが提供するドライブイベントの名称)」が開催された。サーキットでポルシェのEVスポーツカーである『タイカン』を試乗する機会を提供したのである。そこで出てくる課題が、先にあげた「多数のEVをイベント会場でどのように充電するのか」という問題だ。迅速かつ同時に充電したくても、その地域にインフラが整備されているとは限らない。満足できるソリューションがないので、ポルシェは独自でソリューションを開発した。プロジェクトパートナーであるドイツのads-tec社とともに、独自の充電システムとバッテリー(原文ではバッファーストレージユニットと表記)を備えた7台のモバイル充電トラックを製造したのである。




 ちなみにads-tec社とは、シュトゥットガルト近郊の町ニュルティンゲンに本社を置く、産業用コンピューティングやバッテリー技術に強みを持つ企業である。その子会社であるADS-TEC Energy GmbHにはBOSCHも参加しており、EV向け高効率バッテリーストレージソリューションや高出力急速充電システムを幅広い顧客に提供している。ドイツのEVインフラのキープレーヤーの一つである。

 ここからは公開された高速充電トラックの技術仕様を簡潔に紹介しよう。ポルシェでは「高出力充電トラック」と名付けているが、トラックが充電能力を有しているわけではない。言ってしまえば、巨大なバッテリーと高速充電機能をトレーラーに搭載したものであり、移動と再利用が可能な高速充電スポットと理解すれば良いだろう。その搭載バッテリーと高速充電機の性能だが、3.2メガワットの定格電力で10台のタイカンを最高速度で同時に充電できる、とされている。バッファストレージユニットの容量は2.1メガワット時間。これは合計で最大30台のタイカンを充電できることを意味する。恐ろしい容量である。




 ポルシェでは、この高出力充電トラックへの充電は電力網からの再生可能エネルギーで行われる、と(若干都合よく)発表している。昨年11月にポルトガルの都市ポルティマンで開催された3週間のイベントでは、高出力充電トラックへの電力は近隣にある太陽光発電システムから直接供給されたという。その充電時間の短さも特徴の一つで、条件が良好であれば、4時間以内にフル充電に達する。

 ポルシェの体験型マーケティングディレクターのラグナル・シュルテ氏は、以下のように述べている。




「この高出力充電トラックは、ヨーロッパ中の数多くのイベントで使用しており、約5,000回の充電を行いました。時にはマイナス40度という過酷な環境を含めてです。そのため、この高出力充電トラックのパフォーマンスは充分にテストされたものと言えます」




 充電設備が整わない地域において突然、大量のEVを充電せねばならない……という状況は一般的には起こり難い。だが、インフラ未整備地域での大規模イベント開催時などには、こうしたモバイル充電トラックがあれば便利だろう。

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