FFホットハッチは、1970年代にVWゴルフ初代GTIから始まった、「手軽にスポーツドライビングを楽しむ」ためのクルマだ。欧州メーカー、日本メーカーも魅力的なホットハッチを送り出し続けている。しかし、最近はほとんどのハッチバックが簡単には手が出せない価格となってしまった。シビックタイプRが200万円を切ったあの時代が懐かしい(いまや450万円オーバーだ)。ただ中古車の世界は少し状況が異なり、新車価格では手が届かないホットハッチも手頃な価格で手に入るモデルも少なくない。今回はクルマ好きにおくる世界のFFホットハッチ5選を紹介する。

FFホットハッチは運転がとにかく楽しい。小さな車体に高性能なエンジンを積み、その高出力な動力を前輪のみで受け止めるため4輪駆動と比べて安定感は劣るものの、その分スポーティで楽しいドライビングが堪能できるのが特徴だ。シビックとメガーヌがニュルブルクリンクでしのぎを削って最速ラップを更新し続けるように、世界のさまざまなメーカーが積極的にFFスポーツを発売している。



現在日本で売られているホットハッチの新車価格は、スイフトスポーツなど一部を除いてほとんどが300万円かそれ以上。例えば、最近の新車価格が458万円のシビックタイプRは、10年前は約300万円、20年前は200万円だった。もちろん装備やエンジン性能に違いはあるものの、価格が上昇し、財布の軽い若者からはやや遠い存在となってしまった。



ただ中古車となると別。新車では手が届かなかったホットハッチも手頃な価格で手に入る。また一般的に新車ではハードルが高いと言われる輸入車も選択肢に入ってくる。今回は若者でも少しがんばれば手が届いた、初代シビックタイプRの200万円という価格設定で、世界の楽しい中古のFFホットハッチを5台紹介する。

日本代表:ホンダ・シビック タイプRユーロ いいとこ取りのFFホットハッチ!i-VTECのエンジンサウンドは最高

ホンダ・シビック タイプRユーロ

ホンダ・シビック タイプRユーロは2009年(2010台限定)と2010年(1500台限定)の二度、限定発売された。限界領域での走る楽しさを目指して開発され、欧州で鍛えられた卓越した運動性能としなやかな乗り味を楽しめる大人のプレミアム・スポーツモデルだ。当時英国で生産され、日本では販売されていなかった欧州向けのタイプRをそのまま日本に輸入した。ベースとなった標準のハッチバックもその頃は欧州専用だったため、欧州車のような新鮮なデザインも、当時は大いに話題を呼んだ。



エンジンは2.0ℓNAエンジンを搭載。セダン(FD2)と同じ型式のエンジンだが、セダンの最高出力が225psに対してこちらは201ps。さらにセダンより60kg車体が重いため、落ち着いた走りを楽しむことができる。ここはさすが欧州向けといったところで、欧州の田舎の荒れた道路でも快適に走れるように開発された。ホンダ自慢のi-VTECエンジンは踏んだらその分気持ちよく回る。余裕で8000rpmを超える気持ち良さは一一度味わったら、虜になること請け合いだ。



現在の平均中古車価格は約170万円。タイプRシリーズでは比較的手に入れやすいモデルだ。欧州のDNAは流れているもののやはり日本の宝、i-VTECエンジンを搭載するシビック タイプRユーロは日本を代表するFFホットハッチだ。

全長×全幅×全高(㎜)=4270×1785×1445

ホイールベース(㎜)=2635

エンジン:2.0ℓ 水冷直列4気筒DOHC16バルブ

駆動:FF

最高出力:201ps(148kW)/7800rpm

最大トルク:19.7kg・m(193Nm)/5600rpm

使用燃料:無鉛プレミアムガソリン

トランスミッション:6MT

新車価格:298万円

※2009年発売当時のスペック

ドイツ代表:現行VWゴルフ GTI 前期型(2013〜2017)ロングツーリングにもってこい!安定型ホットハッチ

現行VWゴルフ GTI 前期型

ゴルフ GTIは、フォルクスワーゲンのベストセラーモデル「ゴルフ」のボディに、高性能エンジンと、そのエンジンに相応しい強化されたサスペンションやブレーキなどを採用して高い走行性能が与えられたホットハッチ。今回紹介するのは7代目ゴルフをベースとした、日本では2013年に発売されたモデルだ。当時最新だったMQBプラットフォームを採用し、安全装備や機能装備を多く充実させながら、従来型と比べ10kgの軽量化を成功した。



エンジンは2ℓ直4ターボエンジン。最高出力220ps、最高トルク350Nmを発揮する。このクルマの持ち味は、3.5ℓNAエンジンに匹敵するトルクを1500rpmという低回転から発生させること。これにより安定したトルクフル加速が体感できる。またGTI専用にチューニングされたシャシーには、フォルクスワーゲン初採用となるロックトゥロック2.1回転と極めてクイックなステアリングを実現するプログレッシブステアリングを採用。くしゃみをすれば隣のレーンにいってしまうと思うほど、相当クイックなハンドリングが楽しめる。湿式6速DSG(デュアルクラッチ)の出来も見事だ。



あまり過激なホットハッチは求めないが、日常で楽しいドライブをしたい人にまさにぴったりなまさに一台。平均中古車価格は185万円だ。ただし現在も販売されている後期型は平均250万円ほどするので200万円以内なら前期型を選びたい。

全長×全幅×全高(㎜)=4275×1800×1450

ホイールベース(㎜)=2635

エンジン:2.0ℓ 直列4気筒DOHC16バルブICターボ

駆動:FF

最高出力:220ps(162kW)/4500~6200rpm

最大トルク:35.7kg・m(350Nm)/1500~4400rpm

使用燃料:無鉛プレミアムガソリン

トランスミッション:6AT

新車価格:369万円

※2013年発売当時のスペック

フランス代表:先代プジョー208 GTi トルクフルなターボエンジンが気持ちいい

先代プジョー208 GTi

プジョー208 GTiは、フランスを代表するホットハッチ。先に紹介したVWのスポーツモデルが「GTI」なのに対し、プジョーは「GTi」。1980 年代プジョーのモータースポーツ戦略の象徴となった205GTiを現代に甦らせ、200シリーズ歴代最高のパ フォーマンスを誇るエンジン、そのパワーを受け止めるシャシー性能、そして208独自の小径ステアリングを実現したのがこの208 GTi。ライバル、ルノー・ルーテシアR.S.が2ペダルとなったのに対して、この208は3ペダルを貫き6MTを採用している。



エンジンは1.6ℓターボエンジンを搭載。最高出力は200ps、最高トルクは275Nmと1.6ℓとは思えないハイパフォーマンスをみせる。またこのエンジンは回すタイプではなく、ターボの過給でトルクを盛り上げる性格だ。1速から加速させると野太いエンジンサウンドを響かせながら、グイグイと車体を加速させ、トルクフルな加速を味わえる。車重も1200kgと重くないため、キビキビとしたドライビングを楽しめるフランス車らしいホットハッチだ。



平均中古車価格は約150万円。次期型はパワートレーンが電動化され、このモデルが最後の純粋なガソリン車になるのではないかと噂されている。トルクフルな加速を楽しみたい方におすすめだ。

全長×全幅×全高(㎜)=3960×1740×1470

ホイールベース(㎜)=2540

エンジン:1.6ℓ 直列4気筒DOHCターボ

駆動:FF

最高出力:200ps(147kW)/6000rpm

最大トルク:28kg・m(275Nm)/1700rpm

使用燃料:無鉛プレミアムガソリン

トランスミッション:6MT

新車価格:299万円

※2013年発売当時のスペック

英国代表:先代MINIミニ ジョンクーパーワークス これぞ究極のゴーカートフィーリング!

先代MINIミニ ジョンクーパーワークス

英国代表はミニ・ジョン・クーパー・ワークス(以下、JCW)。(現在はBMWの傘下だからドイツ車だという方もいらっしゃると思うが、起源は英国ということで今回は英国代表で紹介する)このJCWは、MINI のラインアップの中で最も高いパフォーマンスを発揮するモデル。その下に位置するクーパーSもクイックで楽しいドライブが堪能できるが、このJCWはモータースポーツの技術をすべて反映させたモデル。MINIのワンメークレース、MINI CHALLENGEで使用されるレースカーとまったく同じエンジンが搭載され、より「スポーツ」を極めている。



搭載する1.6ℓターボエンジンは、クーパーSと同じだが、36ps/40Nmブーストアップされ最高出力が211ps、最高トルクが280Nmとなっている。またツインスクロール・ターボチャージャーおよびダイレクト・インジェクション・システムも採用されており、ミニが掲げる「ゴーカートフィーリング」を極めたレベルの高い走りが堪能できる。



平均中古車価格は160万円。現行型も良いが、このクラシックなデザインと電子制御の少ない自然なフィーリングを求めるなら先代型がおすすめだ。

全長×全幅×全高(㎜)=3700×1685×1430

ホイールベース(㎜)=2465

エンジン:1.6ℓ 直列4気筒DOHC16バルブターボ

駆動:FF

最高出力:211ps(155kW)/6000rpm

最大トルク:26.5kg・m(260Nm)/1850~5600rpm

使用燃料:無鉛プレミアムガソリン

トランスミッション:5MT

新車価格:363万円

※2008年発売当時のスペック

イタリア代表:アバルト・プントエヴォ ラリー好きのためのホットハッチ!

アバルト・プントエヴォ

フィアットのスポーツブランドであるアバルトが2010年に世に送り出したのがアバルト・プントエヴォ。アバルト500や595は知っているが、アバルト・プントエヴォはしらないという人が多い。実はこのモデル、フィアットのプントエヴォをベースとし、アバルトがチューニングしたラリーカーさながらのドライビングが楽しめるホットハッチなのだ。



エンジンは1.4ℓ直4ターボエンジンを搭載。最高出力163ps、最大トルク230Nmを発揮する。脚周りは専用サスペンションやブレンボ製のブレーキなどが用いられ、引き締まった走りが楽しめる。従来型であるアバルト・グランデプントと比べると最大トルクが太く、低回転での扱いやすさをより高めているが、それでも吹け上がりが気持ちいい。しっかりトルクを感じながらもなかなか良い音を響かせながらぐんぐん加速する。ラリーカーを多く手がけるアバルトならではの激しいマシンだ。



平均中古価格は140万円。ただし今回紹介した5モデルと比べて、タマ数が極端に少ない。しっかり状態を確認してから検討していただきたい。

全長×全幅×全高(㎜)=4080×1720×1490

ホイールベース(㎜)=2510

エンジン:1.4ℓ 直列4気筒DOHC16バルブICターボ

駆動:FF

最高出力:163ps(120kW)/5500rpm

最大トルク:23.5kg・m(230Nm)/2250rpm

使用燃料:無鉛プレミアムガソリン

トランスミッション:6MT

新車価格:289万円

※2010年発売当時のスペック

今回は200万円で買える5カ国の中古FFホットハッチを紹介した。ホットハッチは国やその時代の考え方によって性格が異なる。例えば今回1台目で紹介したシビックは高回転のNAエンジンだったのに対し、ゴルフGTIや208GTiはエンジンの回転数を抑えながら、太いトルクを発生させる性格のターボエンジンを搭載している。FFホットハッチを探している方は、そんな性格や背景が違うさまざまなモデルを比較して、好みにあった楽しいクルマを選んでいただきたい。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 まるでオリンピック⁉︎ クルマ好きにおくる200万円以内で買える世界のFFホットハッチ5選 各国代表を紹介!【モーターファンおすすめ中古車】