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新テストコースで徹底的に走りを鍛えた新型レクサスIS登場! 日本発売は2020年秋


新型レクサスISが世界初公開された。マイナーチェンジモデルではあるのだが、変更点は多岐にわたる。主な内容は走行性能の熟成、内外装のリフレッシュ、先進安全技術の搭載だ。日本での発売は2020年秋を予定している。

新型ISは3代目のビッグマイナーチェンジモデル

レクサスISは、トヨタ・アルテッツァのレクサス版として1999年に初代モデルが登場した。2005年に2代目、2013年には3代目へとモデルチェンジを重ねている。これまでのサイクルを考えれば、2020年はフルモデルチェンジしてもおかしくないタイミングだ。しかし、6月16日にワールドプレミアされた新型レクサスISは、3代目のマイナーチェンジモデルである。

新型ISのフロントビュー

新型ISのリヤビュー

こちらはマイナーチェンジ前のIS
同じく、MC前のISのリヤビュー

とはいえ、落胆する必要はない。新型ISはトヨタが2019年4月に新設したテストコース(愛知県豊田市のトヨタテクニカルセンター下山)で徹底的に鍛え上げられた初めてのレクサスモデルであり、操縦性能と乗り心地が格段にレベルアップしているというのだ。

ニュルの経験が活きるテストコースで開発された初めてのレクサス

「新型ISを開発するにあたり念頭に置いたのは、ドライバーとのコミュニケーションに優れ、それがどんな路面状況や走行状況でも破綻しない懐の深いクルマにすることです」と、新型ISのチーフエンジニアの小林直樹氏は語る

新型ISは、走行試験の結果に基づきドライバーの入力に対する俊敏な応答性やばね上の無用な動きの抑制など、路面状況や走行シーンに応じて徹底的にチューニングを行った。ステアリングやペダルの初期応答だけでなく、「戻す」際のコントロール性の向上にも取り組むことで一連の運転操作をより滑らかなものとしたという。

ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンション
マルチリンク式リヤサスペンション

2.5ℓ直列4気筒ハイブリッドモデルはアクセル開度に対するエンジンとモーターの駆動力制御を変更。2.0ℓ直列4気筒ターボモデルではドライバーのアクセル開度などから走行環境を判定し、シーンに応じて適切なギヤ段を設定するアダプティブ制御を採用し、よりドライバーのアクセル操作や意図に対してリニアなレスポンスを実現した。ちなみにエンジンのラインナップは3種類で、3.5ℓV6も用意されている。

ハイブリッドモデルに搭載される2.5ℓ直列4気筒エンジン
2.0ℓ直列4気筒ターボエンジン

三代目のISは、レーザースクリューウェルディングや構造用接着剤を積極的に導入することにより、高いボディ剛性を実現していた。新型ではさらにサイドラジエーターサポートの補強、フロントサイドメンバーのスポット打点追加、Cピラーからルーフサイドにかけての構造最適化などにより、さらにボディ剛性を向上。ハンドル操作に対するレスポンスなど運動性能も高めるとともに、ノイズや振動を徹底的に排除し乗り心地を向上させた。

ボディ剛性を高めてレスポンスと乗り心地を向上

黄色がスポット打点を追加した部分。緑はレーザースクリューウェルディング、オレンジはスポット、赤は構造用接着剤

ショックアブソーバーのオイル流路に非着座式のバルブを設け、微小な動きに対しても流路抵抗による減衰力を発生させる「スウィングバルブショックアブソーバー」を採用。アブソーバーのストローク速度が極めて低い場合でも減衰力を発揮することで、応答性が良く上質な乗り心地を実現している。

通常のピストンバルブの下側にバルブを設け、ピストン速度が遅い領域でも減衰力を発生させる

最新プレス技術により実現したダイナミックな造形美

新型ISのエクステリアは、よりワイド&ローが強調されている。レクサスのアイデンティティであるスピンドルグリルは新形状となり、新開発の小型軽量ランプユニットを搭載した薄型のヘッドランプとともに新しいフロントフェイスを形作っている。

リヤビューもガラリとイメージチェンジが図られた。リヤクォーターピラーとリヤデッキとの繋がりがより立体的になっており、そこにL字をモチーフにしたテールランプが組み合わされている。

新意匠のスピンドルグリルはグリルの先端を起点に立体的な多面体構造とすることで押し出し感を強調している
L字をモチーフにした一文字型のリヤコンビネーションランプを採用
強い陰影により造形を際立たせるソニックイリジウムと、金属質感と高光沢を実現したソニッククロムが新色として登場

リヤデッキ部のシャープな造形を実現したのは、ボディパネル製造工程において、上下方向のプレスの動きに合わせて金型が横方向からスライドする機構を追加した「寄絞り(よせしぼり)型構造」の最新プレス技術の賜物だ。

特徴的なリヤデッキのデザイン。これは最新プレス技術抜きにして実現できなかった

新型ISの「F SPORT」では、ホイールが19インチ化された。従来モデルから1インチアップの19インチホイールを履く。従来から1インチアップすることで、コーナリングフォースの向上に貢献。さらにホイールの締結にハブボルトを採用し、締結力の強化と質量の低減を図ることで、気持ちの良いハンドリングとブレーキングを実現。

ラッククロームにペイントされた複雑な造形のスポーク形状が目を引く
ハブボルトによりホイールを締結する
“F SPORT”では専用のFメッシュパターンを採用。その他にもグリルロア部のエアインテーク、リヤスポイラーなどを専用装備する

10.3インチワイドディスプレイはタッチ操作が可能に

インテリアの変更点の目玉は、10.3インチワイドディスプレイの採用だ。インパネの一等地に置かれたディスプレイはタッチ操作が可能で、スマートデバイスリンク、アップルカープレイ、アンドロイドオートにも対応する。

ダッシュボードのデザインが変更され、埋め込まれていたディスプレイは手前に移動。タッチ操作も可能となった

インストルメントパネル上部やドアパネルに有彩色を採用することで、ツートーン配色としたのも新型ISの特徴
こちらは赤い内装色を採用するF SPORTのインテリア

残念なのは、いまだにパーキングブレーキが電動式ではないこと。マイナーチェンジで変更するのは難しかったのだろうが、足踏み式のペダルをガチャガチャ操作するのはスマートさに欠ける。

交差点右折前の対向直進車や右左折時の横断歩行者も検知可能に

先進安全技術「レクサスセーフティセンス+」も大幅に進化した。単眼カメラ+レーダーという構成はそのままだが、ユニットの性能向上により、以下の機能が追加されている。

・プリクラッシュセーフティの検知対象拡大(交差点右折前に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者)


・車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援


・低速時の事故予防をサポートする低速時加速抑制


・「レーダークルーズコントロール」および「レーントレーシングアシスト(LTA)」の車線認識性能向上


・先行車や対向車を検知し、自動でハイビームを制御するオートマチックハイビーム(AHB)


・カメラで主要な道路標識を読み取り、メーター内に表示する「ロードサインアシスト(RSA)」


・ドライバー異常時停車支援システム(LTA連動型)

単眼カメラ+レーダーからなるレクサスセーフティセンス+

日本発売は2020年秋頃を予定

前述したとおり、新型ISはニュルブルクリンクも参考にして設計されたテストコース「トヨタテクニカルセンター下山」で開発された初めてのレクサスだ。レクサスは、あらゆる走行シーンで減速、操舵、加速がシームレスに繋がる気持ち良さなど、ドライバーの意図に忠実でリニアな応答を追求しているという。その乗り味をレクサスは「Lexus Driving Signature(レクサス・ドライビング・シグネチュアー)」と呼んでいる。




新型ISはその仰々しい謳い文句をどこまで実現できているのだろうか。我々が日本でそれを確かめることができるのはまだ少し先、2020年秋頃となりそうだ。

新型IS 主要諸元(北米仕様プロトタイプ)


全長 4710mm(+30mm)


全幅 1840mm(+30mm)


全高 1435mm(+5mm)


ホイールベース 2800mm(±0mm)


パワートレーン 直列4気筒2.0L直噴ターボ、直列4気筒2.5Lハイブリッドシステム、V型6気筒3.5L


タイヤサイズ 18/19インチ


※( )括弧内は従来型比
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