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原チャリアーカイブス|1998年に復活したヤマハ RZ50。 過激な魅力はエンジンか、足まわりか。


1981年(昭和56年)、ゼロハン初の水冷2ストロークエンジンを搭載した「ヤマハ RZ50」が誕生。1985年(昭和60年)、ビキニカウルを装備したⅡ型が登場後、RZ50は生産終了となったが……。1998年(平成10年)、前後17インチスポークホイールや丸形ヘッドライト、レトロなイメージの外装類を身にまとい、見事に復活した。


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)


PHOTO●月刊モト・チャンプより

レーサーレプリカのTZR50R等とは一線を画す、レトロなネイキッドスタイルを採用

復活したRZ50。カラーはヤマハブラック。

手前の2台は復活したRZ50。一番奥は初期型のRZ50。初期型&Ⅱ型の詳細は、写真をクリック!

 1998年(平成10年)に復活したヤマハ RZ50。このモデルの開発コンセプトは、『ビギナー向けのバイク入門マシン』だが、初代RZ50から継承した、7.2馬力のパワフルな水冷2ストロークエンジン、ハードなコーナリングにも対応するフレームやサスペンション、フロントディスクブレーキ等々、ミニバイクのベース車両としても使える、“走り”を意識した機能が盛り込まれている。




 発売当時の価格は、25万円を割った24万9000円。カウルなしのネイキッドモデルとはいえ、RZ50が持つ機能やポテンシャルを鑑みた場合、かなり思い切ったバーゲンプライスに設定されていた。




 エンジンはTZM50やTZR50Rに採用の、最新水冷2サイクル単気筒49cc・クランクケースリードバルブ。ボア×ストロークは、初代RZ50と同寸法の40mm×39.7mmに設計。


 最高出力は7.2馬力で1万回転。最大トルクは0.63kg・mを7500rpmで発揮した。復活版のRZ50は、バイクが4ストローク化されていく中、最後まで2ストロークとして生き残った貴重なモデル。最終モデルは2006年型。

復活したRZ50は、ミニバイクレース「SP50クラス」のレギュレーションも視野に入れた、前後17インチホイールを採用。写真は保安部品を取り外した車両。

 RZ50のノーマルエンジンは、CDIの点火タイミング変更で、低速&中速域での扱いやすさを向上しており、かなりトルクフルなイメージ。発進時のハーフクラッチは神経質になることもなく、4速でも4000~5000rpmで、普通に走れてしまうのが特徴だ。




 2サイクルエンジンならではの、パンチの効いた走りが堪能できるのは、8000rpm以上。レッドゾーンが始まる1万2000rpm付近でレブリミッターが効くが、4速ではすでに60km/hのスピードリミッターが作動してしまい、「ボッボッボッボ……」と失速。それ以上、スピードは上がらないしくみだ。




 なお、RZ50の速度リミッターは、社外のCDIに交換すれば簡単に解除できる。CDIはメインフレームの横に固定(下記参照)。

 フレームとスイングアームは、剛性の高いトレールモデル「DT50」がベース。スイングアームはやや短めなので、ミニバイクレースが行われる、タイトなコーナーが続くカートコースなどでも、軽快に走行可能だ。


 TZM50RやNSR50のフロントフォーク(インナー径)はΦ30mm。一方、RZ50はフロントを軽くさせて扱いやすさを向上させるため、Φ27mmに小径化されている。




 RZ50は「YEC」や「ワイズギア」に加え、社外のアフターパーツも豊富にラインナップ。単なるゼロハンの枠を超え、カスタムやチューニングしやすい設計が成されていた。

復活したRZ50。カラーはラジカルホワイトとヤマハブラックの2色。

RZ50の細部をチェック!





 モトクロスマシン「YZ80」のエンジンをベースにした、TZM50Rと同一の、極めてスポーティーなパワーユニットを搭載(4KJ)。キャブレターは、街乗りでも扱いやすいVMΦ18をチョイス。また、優れた吸気効率を誇るクランク室リードバルブ方式により、鋭いレスポンスと抜けの良い吹き上がりを実現(※注1)。




 排気系には、迫力ある極太大容量マフラーを採用し、高い排気効率を獲得。エンジン回転数に応じて、最適な点火タイミングを実現する「マイコン制御デジタル点火方式」や、エンジン性能を十分に引き出して走りを楽しめる「リターン式6速ミッション」を採用。


 ラジエターは十分な放熱量を確保した大容量タイプながら、TZR50Rよりも薄型設計とし、いっそうの軽量化を達成している。




 ピストンの上下運動による一次振動を打ち消す「一軸式バランサー」を装備して、エンジンの振動を大幅に低減。集中して走りを楽しむための快適性を実現。


 エンジン始動にはセルスターターを採用。スピーディーでスムーズなエンジン始動性を獲得済み。




※注1:TZM50R用エンジン(4KJ)に、TZR50R用ピストン(4EU)を組み合わせてパワーアップする定番チューンもあり(ミニバイクレースのSP12クラスでは規則違反となる改造だった)。低回転から高回転まで大幅なパワーアップが可能となり、最大で0.6馬力の出力向上が見られた(月刊モト・チャンプ誌の実測値)。

CDIユニット(黒くて四角いパーツ)はメインフレーム脇にセットされている。
リアはモノクロスサスペンションを採用。


 テレスコピックタイプのフロントフォークには、Φ27mmインナーチューブを装備。リアのモノクロスサスペンションは、ビルシュタインタイプクッションを採用し、優れた緩衝性とコーナリング時などのコシの強さを両立。




 フロントブレーキには、異径2ポットキャリパーを装備した、ディスク径Φ220mmの油圧式ディスクブレーキを採用。リアにはΦ110mmのドラムブレーキを導入。

外装パーツを取り外したところ。

 エンジンのパワーを鋭い走りに結び付けていくには、強靭なフレームが必要。RZ50は剛性の高い、「セミダブルクレードルフレーム」を採用。エンジンの優れたレスポンスを活かしたシャープな走りと、優れたコントロール性を獲得。




 レトロな雰囲気が漂う17インチのスポークホイールは、乗車フィーリングにおいても独特のしなやかさを感じさせてくれるのがポイント。タイヤはフロント70/100-17、リア80/90-17のサイズを採用。

スピードメーターは60km/h表示。タコメーターのレッドゾーンは1万2000rpm~1万4000rpm。
高さが変わらない、2次元的にアールが付けられた一文字ハンドル。幅は狭め。


 ストレートに近いバータイプのハンドルに手を乗せた瞬間から、スポーツ走行へと気持ちが高まってくるような、緩やかに前傾したライディングポジション。スポーティーかつマシンコントロールの行いやすさに加え、長時間走行でも疲労の少ない、無理のない姿勢を実現している。




 大容量10Lのガソリンタンクは、往年のレーサーをイメージさせるロングタイプ。エアプレーンタイプのフューエルキャップも装備。




 シートロックを解除してシートを取り外すと、カウル内には小物入れスペースあり。

RZ50 復活後の全モデル紹介

ラジカルホワイト
ヤマハブラック


ラジカルホワイト
ディープパープリッシュブルーメタリック


ディープパープリッシュブルーメタリック
ヤマハブラック


レトロな外観を活かしたRZ50カスタムに注目!

 ワイズギアとYECのカスタムパーツが同時に投入された美しいカスタム(パーツはすべて廃版)。セパレートハンドルやフロントスクリーンで、レーシーなフォルムを演出。ビッグキャブレターやチャンバーで走りも強化済み。




●月刊モト・チャンプ(1998年8月号)より

 パーツメーカーの「デイトナ」が仕上げた、キャストホイール仕様のRZ50改。大径のΦ298ディスクローター、SP50レーシングチャンバー、フェンダーレスキット(すべて廃版)などでカスタマイズ。




●月刊モト・チャンプ(1998年8月号)より

RZ50は「2ストロークエンジン」「カウルレス」のため、パワーウエイトレシオもGOOD!

 軽量でパワフルな2ストロークの7.2馬力エンジン、カウルのない80kgの乾燥重量により、RZ50は『パワーウエイトレシオ(※注2)』に優れていたのも大きなポイントだ。ライバル車と比較してみよう!




※注2:バイクやクルマなどの性能を示す値のひとつで、「1馬力で何kgの重量を負担しているか?」を表した数値。この数値が低ければ低いほど、スペック上は速い(加速が鋭い等)といえる。数式は『乾燥重量÷最高出力』で計算し、国内では一般的に“kg/ps”で表示する。

1位 RZ50 乾燥重量:80kg 最高出力:7.2ps PWR:11.111kg/ps


2位 TZR50R 乾燥重量:84kg 最高出力:7.2ps PWR:11.666kg/ps


3位 NS-1 乾燥重量:92kg 最高出力:7.2ps PWR:12.777kg/ps


4位 ドリーム50 乾燥重量:81kg 最高出力:5.6ps PWR:14.464kg/ps


5位 YB-1 乾燥重量:75kg 最高出力:4.6ps PWR:16.304kg/ps

全長×全幅×全高:1805mm×615mm×970mm


ホイールベース:1215mm


最低地上高:135mm


シート高:745mm


乾燥重量:80kg


エンジン:水冷2ストローク単気筒


排気量:49cc


吸気形式:クランクケースリードバルブ


ボア×ストローク:40mm×39.7mm


圧縮比:7.5


最高出力7.2ps/10,000rpm


最大トルク:0.63kgf・m/7500rpm


燃料供給方式:キャブレター


燃料供給装置形式:VM18SS


燃料タンク容量:10L


エンジン始動方式:セルフスターター式


点火装置:CDI


クラッチ形式:湿式多板


変速機形式:リターン式6段変速


1次減速比:3.578


2次減速比:4.083


変速比:


1速 3.250/2速 2.125/3速 1.549/4速 1.226/5速 1.039/6速 0.922


チェーンサイズ:428


フレーム型式:セミダブルクレードル


キャスター角:27°


トレール量:90mm


ブレーキ形式(前):油圧式ディスク


ブレーキ形式(後):機械式リーディングトレーリング


懸架方式(前):テレスコピックフォーク


懸架方式(後):スイングアーム式


タイヤ(前):70/100-17 チューブタイヤ


タイヤ(後):80/90-17 チューブタイヤ


当時の価格:24万9000円
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