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フォルクワーゲン・ゴルフのEV版ではない「ID.3」仮想分解


VWの電動車の新ブランドが「ID.」である。そのトップを切って登場するのが「ID.3」。現行のICE(内燃機関)を搭載するVWの多くが使う「MQB」ではなく、電動車両用の新しい技術基盤である「MEB」を使うID.3。発表資料と写真から、その中身をジャーナリスト、牧野茂雄が読み解く。




TEXT◎牧野茂雄(MAKINO Shigeo)PHOTO◎VW

VWは2025年までに年間100万台のBEVを販売し、e-モビリティにおける世界的なマーケットリーダーになる」

 VW(フォルクスワーゲン)は今年のIAA(フランクフルト・モーターショー)で「ID」ブランドの量産第1号となる「ID.3」を披露した。車載バッテリーに外部から充電して走るBEV=バッテリー電気自動車である。量産はツヴィッカウ工場に新設された専用生産ラインで11月中に始まる予定で、すでに200台以上の量産試作車が製造されたと言う。




 果たしてID.3とはどんなクルマなのか。VWが発表した資料から、その中身を読んでみる。とくにID.3の短編動画が興味深く、このクルマが生まれた理由が示されていた。私見を先に述べれば「充分な性能を持たせながらも量産コストを抑えた構造」「車種を増やすと利益幅が大きくなるBEV」である。けしてBEV一本足ではなく内燃機関エンジン利用への逃げ道も用意したプロジェクト。そんな印象である。

リヤに電動モーターと1段減速機構を置くRR(リヤモーター・リヤドライブ)である。オレンジ色の電線が高電圧系。フロントボンネット内はエアコンのコンプレッサーやEPS(電動パワーステアリング)ユニットなどが収まる。

 まず写真(01)をご覧いただきたい。ID.3のスケルトンである。床面にバッテリー(繰り返し充放電可能なリチウムイオン2次電池)を並べ、後輪をモーターで駆動するレイアウトだ。車両寸法は全長4261×全幅1809×全高1552mmであり、ゴルフと同じCセグメント。ホイールベース2765mmはゴルフよりも130mm長い。全長に対するホイールベースの比率は64.9%、つまり約65%に達する。超ロングホイールベースである。

赤丸内に「e-Golf」の文字。VWが公開した動画には、この文字を書くシーンがある。画面右はe-Golfの電池搭載要領。床下に収めているように見えるが、実際には前後シート下とセンタートンネルに電池が突出している。

赤い太線は筆者の追記。これが乗員の「足」を示している。足を置く部分はフロアパンが低く、電池を置く部分はもっとかさ上げされる。言い換えれば、MQBに電池を大量に積む工夫が「e-ゴルフ」の真骨頂だった。

オレンジ色の線(筆者の追記)はe-Golfの平面電池配置。青い線(同)がMEB。赤い線は床下サイドメンバーでありe-Golfはこれを避けて電池を積む。平面視で電池面積が広いためMEBはフロア構造が大きく変わった

 この車両寸法が決まったバックグラウンドを写真(02)から(05)に見ることができる。VWはゴルフのBEV版である「e-ゴルフ」をすでに持っていた。現行ゴルフはMQBプラットフォームであり、VWはMQBプラットフォームの概要を発表した2012年1月時点で「電動車まで見据えたプラットフォームである」と宣言していた。その宣言どおり2013年のIAAで「e-ゴルフ」が発表され、翌2014年2月からドイツで販売開始された。「e-ゴルフ」がVWのCセグメントBEVなのだろうと、ほとんどの自動車業界人が思ったことだろう。




 しかし、MQBベースの「e-ゴルフ」とはまったく別モノのBEVを生み出すため、VWは電動車専用プラットフォームの投入を2018年3月に発表した。そして8カ月後の11月、その電動車専用プラットフォームMEBを使うBEV2モデルを発表した。その布石は2016年11月にVWが明らかにした「トランスフォーム2025+」という長期経営プランであり、ここで「2025年までに年間100万台のBEVを販売し、e-モビリティにおける世界的なマーケットリーダーになる」と宣言している。

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