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マツダ3 ファストバックXD:いつもの道で、いつものVWゴルフと比べてどうか?


話題のマツダ3である。SKYACTIV-D1.8搭載のFASTBACK XD Burgundy Selectionをジャーナリスト、世良耕太が試乗した。テーマは、マイカーであるゴルフ7と比べて、どうか? 走り慣れたいつもの道路で比較してみた。




TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

同じ道で比べてみたら、マツダ3ディーゼルの圧倒的な好燃費

試乗したマツダ3は、空気圧が指定の前260kPa後250kPaから前240kPa後220kPaに下げてあった。

 日曜日の午後、マツダ3のファクトバックに乗った。2WDで、ディーゼルエンジン(SKYACTIV-D 1.8)搭載車である。最高出力は85kW(116ps)/4000rpm、最大トルクは270Nm/1600-2600rpm。試乗車の車重は1410kgだった。




 ボディカラーは見てのとおりで、新色のポリメタルグレーメタリックである。新車発表時に外光のもとで実車を確認してはいたが、改めて確認しても「いい色」である。光の加減によっては、青っぽくも見える。周囲の反応もおおむね、というより、おしなべて良好だ。買うなら迷いなく、この色にする。




 お盆休み直後だったせいか、休日の午後にもかかわらず都内の幹線道路(大半が環状7号線)は空いていた。数え切れないほど通った道を約15kmドライブし、我が車のVWゴルフ40th Edition(トレンドラインがベース)に乗り、マツダ3を受け取りに行った。ゴルフが搭載するガソリンエンジンは1.2ℓ直4直噴ターボで、最高出力は77kW(105ps)/4500-5500rpm、最大トルクは175Nm/1400-4000rpm。車重は1240kgだ。




 マツダ3の受け取り地点に到着したとき、ゴルフの平均燃費は13.0km/ℓだった。帰りに同じ道をたどって自宅に戻った際(流れ具合は往路と同等だった)、マツダ3のメーターは21.3km/ℓを示していた。何度となく同じ道を走っているが、どんなに空いていようと我が車のゴルフでは絶対に到達不可能な数値である。

マツダ3ファストバックがガレージに入るとこんな感じに。ゴルフ(WB2635mm)より90mmホイールベースが長いことがわかる
世良氏の愛車、VWゴルフ(7)40th Edition(トレンドラインがベース)


さらっと走ってこの燃費。

 マツダ3を受け取って何時間か後、足を伸ばして和光北ICから外環道に乗り、首都高速5号池袋線を経由して中央環状線五反田ICまで、約28kmを走った。このルートでの平均燃費は28.1km/ℓだった(つまり、この間1リッターしか消費していない!)。混雑はなく、周囲の流れに合わせての走行である。ゴルフなら20km/ℓ前後だろう。




 SKYACTIV-D 1.8の燃費がいいのは知っていたが、よく走る道をいつものように走って数字を見せつけられると、改めて実感が湧く。しかも燃料代はハイオクが146円で、軽油が115円である(8月28日都内某所。筆者調べ)。購入してからの経済性は断然、SKYACTIV-D 1.8を積んだマツダ3に軍配が上がる。

エンジン 形式:1.8ℓ直列4気筒ディーゼルターボ 型式:S8DPTS(SKYACTIV-D1.8) 排気量:1756cc ボア×ストローク:79.0×89.6mm 圧縮比:14.8 最高出力:116ps(85kW)/4000pm 最大トルク:270Nm/1600-2600rpm 燃料:軽油

 SKYACTIV-D 1.8の最高出力/最大トルクは控え目な部類に入るが、ゴルフ1.2 TSIと比較すると豊かなトルクが際立つ。マツダ3には車重のハンデがあるが(ゴルフより170kg重い)、どっちが力強いかといえば、SKYACTIV-D 1.8を積んだマツダ3のほうが明らかに力強い。ディーゼルであることを考えれば、極めて静かで振動が少ない。ちなみに、道中ピックアップした助手席の同乗者はこちらが知らせるまで、ディーゼルエンジンであることに気づかなかったし、知らせても「ホントに?」という反応だった。

明らかに質感が上がったマツダの運転席まわり

これがそのパワーウィンドウとドアミラーの電動調整ボタン

 クルマを受け取ってまずすることといったら、シートとミラーのアジャストである。運転席ドアの内側にパワーウインドウのスイッチが4つと、ドアミラーの調整ボタンが並んでいる。マツダ3から新しくなり、見栄えがよくなって、操作しやすくなった。これまで、ミラーの調整はダイヤルをひねって右か左かを選択し、上下左右に動かして調整するタイプだった。新型は、まず右か左かをボタンで選択し、4方向に矢印のついたボタンを押して調整する。出っ張りがなくてすっきりしているし、操作しやすい。パネルの取り付け角度もいい。




 現行ゴルフのミラー調整ダイヤルは取り付けの向きが悪いせいで、ダイヤルの向きとミラーの動きが脳内で一致せず、いまだに混乱する。この点、先代ゴルフのほうがまだよかった。実は、マツダ3に乗り込んで、最初に「このクルマいいじゃん」と感銘を受けたのが、ミラー&パワーウインドウスイッチの見栄えと操作感であった。

 シートとステアリング位置を調整し、シフトレバーをDレンジに入れて発進する。チルト&テレスコピック機構が付いているのはゴルフと同じ。シフトレバーまわりの高級感はマツダ3のほうが上だ。やはり、(よくさわる)電動パーキングブレーキのスイッチの見栄えや操作感もマツダ3のほうが上である。というより、室内全体が明らかに上質だ。ゴルフの室内が素っ気なさすぎとも言えるが……。




 ゴルフに比べるとマツダ3は深く沈み込んだ感覚である。逆にいうと、ゴルフのほうが高い位置から前方を見下ろす感じだ。ゴルフの全長は4260mm、マツダ3は4460mmで、マツダ3はゴルフより200mm長い。とくにノーズが長い印象を受けるが、運転席に収まってみると長さが気になることはない。自宅周辺の細街路を走ったが、取り回しに際しまったく気を遣わなかった。1800mm以内に収めた全幅(1795mm)も、取り回しのしやすさに相当効いていると思う(ゴルフは1800mm)。

些細なことだが、リヤドアの閉まる音は、ゴルフの方が上か

 Dレンジに入れて走り出した途端に、自然とほほが緩んでしまった。水道工事だのなんだのでさんざんほじくり返した痕がある細街路を、20〜30km/hのペースで走ると、前後左右のタイヤがランダムに路面のふくらみを乗り越え、タイヤとサスペンションが仕事をし、ボディが受け止める。入力/情報伝達と減衰において、シートの果たす役割も大きい。ゴルフも秀逸だが、マツダ3も甲乙つけがたいほどに、ふくらみに乗り上げた際の入力のいなしかたと、乗り越えた後の動きの収めかたが心地良い。リヤは「トン」と、主に音で乗り越えの情報を伝えつつ、肩をポンと軽く叩くような力で体に入力があったことを伝える。ランダムなノイズなはずなのにどことなくリズミカルで、良くない路面との遭遇が楽しくなる。




 マツダ3にケチをつけるとしたら、ドアが閉まるときに発する音だろうか。ゴルフは前席ドアも後席ドアも、バムッと重厚かつ上質な音を立てるのに対し、マツダ3は従来の延長線上である(良くはなっているのだろうが)。上質な内外感のイメージとは不釣り合いで、音が軽いし安っぽい。リヤゲートが閉まる音も同様だ。前席はまだしも、後席はときおりいかにも鉄板な音を響かせる。ま、だからといって、クルマ自体にダメ出しをしたくなるほどではない。

いさかかシュールな写真になってしまった。こちらがゴルフのリヤゲート開口部
こちらがマツダ3のそれだ。


 テールゲートを開けた際の、開口部下端はだいぶ高い。ゴルフと比べると、膝上(ゴルフ)と股の付け根(マツダ3)くらい高さが違う。荷物を詰め込んだ大型のスーツケースを載せたり降ろしたりするのは大変そうと、高い開口部下端を眺めて思った。しかし、スーパーマーケットで1週間分の食材を詰め込んだエコバッグ2個をゴルフと同じように積む際は、何の苦労も感じなかったことを報告しておく。




 後席はゴルフより明らかに窮屈だし(ゴルフにはあるエアコンの吹きだし口はない)、ルーフパネルが回り込んでいて外側は閉塞感があり、乗り降りの際に頭をぶつけやすい。しかし、そんなことも含めて実用性が気になるなら、後日発売されるCX-30を検討すればいいだけの話だ。マツダ3のファストバックに操作性や操安性ではなく、実用性の物差しをあててダメ出しをするのは、いかにも無粋である(と、半ば自分に言っている)。

マツダ3 FASTBACK XD Burgundy Selection


全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm


ホイールベース:2725mm


車重:1410kg


サスペンション:Fマクファーソンストラット式&トーションビームアクスル式


駆動方式:FF


エンジン


形式:1.8ℓ直列4気筒ディーゼルターボ


型式:S8DPTS(SKYACTIV-D1.8)


排気量:1756cc


ボア×ストローク:79.0×89.6mm


圧縮比:14.8


最高出力:116ps(85kW)/4000pm


最大トルク:270Nm/1600-2600rpm


燃料:軽油


燃料タンク:51ℓ


燃費:WLTCモード 19.8km/ℓ


 市街地モード 16.4km/ℓ


 郊外モード 19.7km/ℓ


 高速道路モード 21.8km/ℓ


トランスミッション:6速AT


車両本体価格:298万9200円


試乗車はオプション込みで315万100円
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