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フォルクスワーゲン・パサートTDIは退屈そうに見えて、実は……


フォルクスワーゲン・パサートというと、どこか地味で堅実なサルーンという感じだが、そこに日本では20年ぶりとなるフォルクスワーゲン製ディーゼルが搭載されるとなれば、話はまったく変わってくる。最新ディーゼルと先進運転支援システムを備えたパサートTDIに試乗した。

 もう10年以上前、ドイツに駐在していた友人が「学校の先生が乗るクルマ」と揶揄していたのはスバル・アウトバックだった。まじめだが、どこかつまらない。シンプルな構造とデザインでしっかり走るし故障しないけれど、そこにドライビングプレジャーはない。だから、堅実な人が乗っている──という印象だそうだ。余所でそんな話をあまり聞いたことがないので一般論ではないだろうが、その話を聞いて筆者が思い浮かべたクルマは実はフォルクスワーゲン・パサートだった。


 


 いかにもまじめそうで、欠点もないが、どこか個性に乏しい、80点主義のクルマという印象を持っていた。だが数年ぶりに久々に試乗したパサートは、最近逆風が強く吹くディーゼルエンジンを積んで、どことなく攻めを感じさせる内容になっていた。2015年に発覚したVWディーゼルゲートの際に、日本には未導入だったにもかかわらず、世の反感を買ったのは誠に不遇だったと思うが、昨年、満を持して本邦初上陸となったフォルクスワーゲン久々のディーゼルモデルである。

 すでに日本導入から時間が経っており、街で見かけることも多くなったが、こうして自分で試乗して東京から軽井沢まで来てみると以前抱いていた、まじめだけどつまらないというような印象はあまりなく、水平基調のスタイリングがどちらかといえば美しい。以前あった野暮ったいイメージはない。


 


 あらためて試乗車を紹介するとパサートTDIハイラインは、2.0ℓ直4ディーゼルターボエンジンに6速DCTが組み合わされる、DセグメントのFWDサルーンである。試乗時点で登録から1年未満にもかかわらず、すでに1万4000km以上を走行した個体でメディアに取り上げられる機会が多かったのか、あるいは良好な燃費でついつい足が伸びてしまったのだろうか、いろいろ想像してしまう。



 トルキーなディーゼルエンジンは、アクセルを踏もうという動作がなくても、ペダルに足を載せているだけで加速する印象だ。まるで4.0ℓV8エンジン車を走らせているかの、豊かな気持ちにさせてくれる。それでいて燃費はJC08で20.6km/ℓと優れているのだから結果を期待したいところだったが、先に結論をお伝えすると今回の軽井沢往復は3名乗車で1泊分の荷物をトランクに積み込んで15.5km/ℓだった。関越道の途中で距離計の誤差を測ると、0.3%トリップメータのほうが実距離よりも多かったので正確には15.5km/ℓをやや下回るだろう。


 


 だが、400Nmの大トルクでゆるゆる走りながら、時に寄り道したり、渋滞に巻き込まれた末の数字なので、個人的な期待には充分答えてくれたという印象だ。詳細な燃費計測データは、下記の燃費計測記事に詳しいのでご覧いただきたい。

これが最新クリーンディーゼルの本当の燃費だ〈VWパサートTDIで1200km長距離テスト〉

先進安全装備はいいが……

 自分でアクセルペダルを踏み込んで400Nmのトルクを味わってもいいが、このパサートはアダプティブクルーズコントロールが全車標準装備となる。前走車を検知すれば勝手に指定速度までの範囲で追従してくれるこの機能は快適だし、このパサートのように賢い加減速をしてくれるなら不必要な加減速が減って、燃費も向上するだろう。


 


 ふと足元を見ると、アクセルペダルの右にフットレストらしきものが備わっている。ACCでの追従時に使うのだろうか? 筆者はそこまで機械を信用できないので、ペダルから右足を離せなかった。ちなみにレーンキープアシストも備わるので、高速道路程度の曲率ならある程度車線をキープしてくれる。ただし、試乗した車両はやや直進性が低くく、この機能に頼る前にドライバーが修正舵をあてたくなる。ステアリング自体はロック・トゥ・ロックが2.8回転でややスローだが、もっと中立付近のしまった感じがほしかった。ほかにも高速巡航中に気になる瞬間があって、特に高速巡航中に1250rpm付近でディーゼルエンジン特有のカラカラ音が目立った。


 


 メーター読み100km/h(ちなみにGPSによる実測100km/hはメーター読みで104km/h)はトップの6速で1750rpm、5速で2000rpm、4速で2600rpmだった。最近のディーゼルモデルと比して、やや回転数が高めなので、ぜひ多段化を進めていただきたい。


 



 前述のデザインは好みの分かれるところだ。カラフルすぎるメーターパネルは、エクステリアの洗練された感じと異なり、違和感があったものの、総じて必要なスイッチや機能など現代のDセグメントに求められるクルマの機能は網羅しており、質実剛健を是とするかつてのフォルクスワーゲンの魂は生きていると感じた。


 


 今回試乗したのはセダンモデルだったが、Dセグメントのボディサイズから期待するよりも荷室(ゴルフバッグ4個収納可能で容量586ℓ)は広々としている。後席にはエアコンダイヤルも備わり、広々とした後席でくつろげる。横置きFWDセダンの教科書的クルマ造りが確認できた。





フォルクスワーゲン・パサートTDIハイライン


全長×全幅×全高:4785×1830×1470mm ホイールベース:2790mm 車両重量:1560kg エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ 総排気量:1968cc ボア×ストローク:81.0×95.5mm 最高出力:140kW(190ps)/3500〜4000rpm 最大トルク:300Nm/1900〜3300rpm トランスミッション:6速DCT タイヤサイズ:235/45R18 車両価格:489万9000円



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