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お釈迦様もお待ちかね? 蓮が花開く時季をむかえました。花を見るなら朝がねらい目!


「蓮始開(はすはじめてひらく)」は二十四節気小暑の次候になり、新暦では7月12日から16日にあたります。ちょうど盂蘭盆会とも重なります。仏教の伝来により、蓮は仏様を荘厳する花として私たちの生活に根付いてきました。蓮の花托をかたどったお菓子がお盆やお彼岸の頃になるとお店に並びます。また地下茎は蓮根、レンコンです。一年を通じて栽培され、私たちの食卓には欠かせない食材となっています。一方「蓮の花」はなかなか鑑賞のチャンスも少なかったようです。花の時季は今、美しさを楽しみましょう。


実は古代から存在していた「蓮」

「蓮(はす)」は「蜂巣(はちす)」が変化したもので、花托が持つ穴に実ができる姿は蜂の巣を思わせます。一億年以上前には地球上に出現していたといわれます。ということは恐竜も蓮の花を見ていた! ということになります。恐竜の目にはどのように映ったのでしょうか、興味深く感じられます。

古代からの蓮が日本で発見されたのは20世紀も後半のことです。
1951年に大賀一郎博士が、千葉県検見川の約2000年前の泥炭層から「蓮の実」を発見し、翌年に開花させることに成功しました。当初は「二千年蓮」と呼ばれましたが現在は博士の名前をとり「大賀蓮」として、全国へそして世界へとその美しさは広がっています。

埼玉県行田市では1973年に、焼却場施設を造成中に地中で眠っていた蓮の実が機械で傷つけられ、自然発芽して咲いたものが発見されました。年代測定の結果1400~3000年前の蓮とわかり「行田の古代蓮」と呼ばれました。その後行田市ではこの蓮を市の天然記念物に指定し、保存のために「古代蓮の里」を造成しました。2001年の開園に合わせて市民から「古代蓮」にふさわしい名前を募集したところ「行田蓮」と決定したとのこと。

研究者大賀博士の努力によって開花した蓮、偶然から花開いたことで発見された蓮、どちらも何千年もの間守り続けてきた命が時を得ることで芽吹き繋げることができました。蓮の物語は今を生きる私たちにも力を与えてくれます。

お出かけスポット:
【千葉市観光ガイド 大賀ハスの魅力】
【公益財団法人 行田市産業・文化・スポーツいきいき財団 古代蓮の里】


「蓮の花」の命は短くて…

水の中から真っすぐに立ち上がって大きな花を開かせる蓮には、何物も寄せ付けないような清らかさと凛としたたたずまいを感じます。

蕾が水中から顔をだして立ち上がり、丸みを帯びてふっくらとした花が開くまでにおよそ20日かかるということです。花が開くのは早朝。花は開いては閉じを3日間繰り返すと4日目で花びらをすべて落とすそうです。咲いてはつぼむ、を繰り返しますが姿は毎日変えるとのこと。

開花1日目は少し開くとつぼみの状態に戻ります。2日目の開花では色が鮮やかになり雄蕊からの香りも強くなって、花として一番美しい時だそうです。開花3日目の花は最も大きく開き、花托の雌蕊が受粉して黒くなるのが特徴とのこと。これが開花2日目か3日目かを見極めるポイントとなるそうです。4日目は夜半から開き始め完全に開き切ると花びらを落としはじめ、やがて花托と雄蕊だけを残し花が終わります。品種によって違いはありますがおおよそはこのような過程ということです。

ひとつの花が4日目にはもう花が有ったことすらわからない状態になってしまいます。開き始めた1日目、もっとも美しい2日目、命を次へとつなげる3日目と蓮の生きざまを1日ずつ見ることができます。

「蓮の花」を楽しめるのは早朝。東京では小石川後楽園で蓮を見るために早朝開園を実施する日があります。暑くなる前の朝方、蓮の花を見ればフレッシュな気持ちで1日を始められるかもしれません。訪れてみる価値がありそうです。

お出かけスポット:
【小石川後楽園 夏の早朝開園と早朝観蓮会】

花びらが散った後、蓮の花托と雄蕊

花びらが散った後、蓮の花托と雄蕊


根っこは頼りになります!

美しく咲き散っていく「蓮の花」ですが地下茎のレンコンはとても頼りになる食材です。
奈良時代に成立した『常陸国風土記』にも「神世に天より流れ来し水沼(みぬま)に生える蓮根は、味気はなはだ異にして、甘きこと他所にすぐれたり。病める者、此の沼の蓮を食へば、早く差えて験あり」と記されています。
蓮根は味がよく甘さは他所のものより勝れている。病気の人がレンコンを食べれば早く治る。と古代からレンコンの美味しさや栄養価が知られていたことがわかります。

日本ではほぼ1年中新鮮なレンコンを手に入れることができ、料理法も簡単で美味しい、ということから変わらぬ人気を得ているのでしょう。レンコンが野菜として作られるようになったのは江戸時代ということです。明治期になって収穫用の品種が中国から輸入されると、生産が飛躍的に伸びレンコンが食卓の定番となっていったようです。

皆さんもそれぞれ「我が家の定番」や「マイレシピ」があることでしょう。ちなみに、レンコンの刺身はご存じですか?
1ミリくらいの輪切りにしたレンコンを熱湯に通し、透き通ったところを冷水で冷やし水気を切ったらわさび醤油で頂きます。シャキシャキとした食感が残るくらいが美味しさにつながります。
蒸せばお芋のようなホクホクとした美味しさ、すり下ろして汁物のとろみとして使うのもいいですね。切り方、調理法でさまざまな美味しさに出会えるのもレンコンの魅力といえるでしょう。

お釈迦様は或る朝、よい匂いの溢れる「蓮池」の縁にお立ちになって一人の男を救おうと蜘蛛の糸をたらしました。そんな物語を思い出しながらこの夏「蓮の花」を見に行くのはいかがでしょうか。

参考:
蓮文化研究会・編著『蓮100の不思議』出帆新社
植垣節也著『新編日本古典文学全集 5 風土記』小学館

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