4月2日はデンマークの童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの誕生日であることから「国際子どもの本の日」と定められています。アンデルセン作の童話といえば、『はだかの王様』や『みにくいあひるのこ』など、子供の頃に誰もが読み聞かせてもらった名作ばかり。題名を聞くだけで、おおよそのあらすじがイメージできるものが大多数ですが、一部の作品には結末があやふやなものも…。今回はアンデルセン童話の他、「あれってどういう話だったっけ?」と言われることが多い3つのお話をご紹介します。

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1.人魚姫(1837年発表 アンデルセン童話)

海の中で暮らす人魚の姫と人間の王子の悲恋を描いた作品『人魚姫』。
ある嵐の夜、人魚姫は海で溺れ、気を失っていた王子を助けて陸に返してあげました。王子に一目惚れした人魚姫はいつか人間になって助けた王子と一緒になることを夢見ます。あるとき、魔女との取引によって舌とひきかえに人間の足を手に入れた人魚姫は、ついに王子と再会を果たします。しかし、言葉を失ってしまった彼女は王子に思いの丈を伝えることができません。
王子との夢のような時間を過ごす毎日でしたが、王子に他国の王女とのお見合い話が舞い込みます。人魚姫にぞっこんだった王子はしぶしぶお見合いの場に出向きますが、王女の顔を見た瞬間、昔自分を海から救ってくれた女の子だと勘違いしてしまいます。この出会いを神に感謝した王子は、すぐに王女との結婚を決めました。

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こんなラストだった!

人間の足を手に入れた際、人魚姫にはある制約がかけられていました。それは王子が別の女性と結婚した場合、人魚姫は海の泡になって消えてしまうというもの。それを不憫に思った人魚姫の姉たちは、魔女と取引し魔法のナイフを手に入れ、人魚姫に与えます。魔法のナイフで王子の胸を刺し、その返り血を浴びれば人魚の姿に戻れるというのです。
しかし結婚が決まり幸せそうな顔で眠る王子を前に、彼女はついにそのナイフを使うことはできませんでした。遠くの波間にナイフを投げ捨てるとみるみるうちに海は赤く染まりました。赤い海に身を投げた人魚姫は、そのまま海の泡となって空高く昇っていくのでした。
泡になって消えたかと思われた人魚姫は、その後、風の精霊となって人々に幸せを運んでいくという結末でしたが、「海に身を投げて泡になった」や「風の精霊となって善行をした」というストーリーを覚えている人は少ないのではないでしょうか。

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2.ヘンゼルとグレーテル(1812年発表 グリム童話)

その日のパンに事欠くほど貧しい家に生まれた兄ヘンゼルと妹グレーテルの物語。
いよいよ食料が底を尽きそうになったある日、母親の謀略で二人は深い森の奥に捨てられることになります。両親の計画を知った兄妹は、一度は兄ヘンゼルの機転で家に帰ることができましたが、二度目は母親の妨害によって家に帰る術を奪われ、森をさまようことになります。(この時、目印代わりにパンくずを道すがら落としていったエピソードが有名ですよね。)
森に捨てられて3日目、体力も限界に差し掛かっていた兄妹は、お菓子でできた家を発見して大喜び!その家に住む老婆は、兄妹に食事とベッドを与え手厚く迎え入れてくれました。しかし老婆の正体は悪い魔女で兄妹はそのまま監禁されてしまいます。兄のヘンゼルを丸々太らせてから食べようと考えた魔女は、妹グレーテルに上等の料理を作らせ兄に食べさせるよう指示。毎日の肥え具合を確かめるため兄の腕を掴みますが、目が悪い魔女に妹が食事の残りの骨を握らせていたため、兄を食べるのは先延ばしにされていました。

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こんなラストだった!

妹の機転で何度か危機は回避した兄妹でしたが、一向に太らない兄の様子に魔女の我慢もいよいよ限界に。兄を煮るための鍋を沸かし、パン窯でパンを焼き始めた魔女は妹にパンの焼き具合を確認するよう命じます。これを逆手にとった妹が、上手な焼き加減がわからないので手本を見せて欲しいと魔女に頼みます。魔女がしぶしぶ焼き窯に入り手本を見せようとした瞬間、外からかんぬきを掛け、魔女を窯の中に閉じ込めることができました。それから兄妹は魔女の家にあったたくさんの財宝をポケット一杯につめて家路につき、二人は大金持ちになったというお話でした。
実の母親による子の口減らしというショッキングな内容から始まる『ヘンゼルとグレーテル』。残虐な内容や恐ろしい結末が多いとされているグリム童話の中では、比較的ハッピーなラストを迎えたお話だったのではないでしょうか。

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3.かちかち山(成立年代不明)

最後は日本からもひとつ。畑を耕す老夫婦に悪さをするタヌキと、タヌキを成敗するウサギの物語『かちかち山』です。
一生懸命畑仕事をする老夫婦のもとに、毎日やってきては悪さをする性悪タヌキがいました。不吉な詩を歌っては老夫婦を不快にさせ、せっかく作った野菜も掘り起こしては食べてしまいます。業を煮やしたお爺さんがタヌキを捕まえてタヌキ汁にしようとしましたが、捕まったタヌキは言葉巧みにお婆さんを騙して縄を解いてもらうやいなやお婆さんを撲殺してしまいます。タヌキはお婆さんの姿に化け、お婆さんを煮て作った汁をお爺さんに食べさせることに。タヌキ汁だと思って美味い美味い!と食べるお爺さんを見たタヌキは元の姿に戻り、お婆さんを食べてしまったお爺さんを笑って山に逃げていきました。
この顛末を知ったウサギはタヌキを懲らしめようと、金儲けの口実にタヌキを柴刈りに誘い出します。その帰り道、タヌキの背負った柴の束に火打石で火を付けてタヌキの背中にひどい火傷を負わせました。この時の火打石を打つ「カチカチ」という音がタイトルの元にもなっています。

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こんなラストだった!

ひどい火傷を負ったタヌキにウサギは「火傷に良く効く薬だ」と言って唐辛子入りの味噌を渡します。これを傷口に塗ったタヌキはさらなる痛みに襲われ悶絶しました。
やがて火傷が治ったタヌキですが、今度はウサギに漁に誘われます。ウサギは予め、小さな木の船と大きな泥の船を用意しておきますが、食い意地のはったタヌキはよりたくさんの魚を獲ろうと大きな船に乗り込みました。二人が沖へ出るやいなや、泥の船はみるみるうちに崩れていきます。タヌキは木の船に乗ったウサギに助けを求めますが、ウサギは助けることなくそのまま溺死してしまうというお話でした。
タイトルが可愛い作品ですが、こうしてあらすじを読み返すと、お爺さんがお婆さんを食べてしまったり、ウサギが無慈悲なまでの制裁を行ったりと、結構ハードな内容だったことに驚かされますよね。

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結末やストーリーがあいまいになりがちな童話3選、いかがでしたでしょうか。童話は子供に読み聞かせることが多いため、残酷な描写や恐ろしいラストが何度か変更されていることがあります。最後に紹介したカチカチ山も、現在ではお婆さんもタヌキも死なない設定になっているものが主流になっているとか。昔好きだった童話も、原作を読み返すとストーリーや結末が違った!ということが結構あるので、思い入れの強い作品は原作を読んでみるのも良いですね。