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二十四節気「芒種」。田植え前線北上中!


早いもので今年も半分が過ぎゆきました。本日から二十四節気も「芒種(ぼうしゅ)」となって、爽やかな初夏に別れを告げ、入梅を迎えるころ。青々とした早苗がすくすくと成長していく風景が、日本列島を北上していきます。


水無月となりました。二十四節気では「芒種」に

6月、「水無月(みなづき)」となりました。

旧暦の月名・水無月の意味・由来は、字義通り梅雨も終わって水も涸れ果ててという説もあるようですが、田植えがすみ、田に水を入れる「水張り月」とか、「水月(みなづき)」であるという説も。

「無」という文字は当て字と考え、「の」の意味であるととらえれば、6月はやはり「水の月」、「田に水を引く必要のある月」と解釈するのが、しっくりくるような気もします。

また、二十四節気では、本日より「芒種」を迎えます。

~芒(のぎ)ある穀類、稼種する時なればなり~と、江戸の暦の解説書に書かれているように、穀物を植える目安とされたころ。

芒種の「芒」とは、米や麦などが実ったとき、その先端にある針状の(堅い毛のような)突起「芒(のぎ)」のこと。これから夏至までの期間、この芒がある作物の種を植える時期と言われてきました。

ひと昔前までは、春の桜前線と同じように、次第に日々北上する「田植え前線」が新聞に日々掲載されていたとか。南から北へ、田んぼに植え付けらた稲の苗「早苗(さなえ)」が青々とした風景が、全国各地で見られます。


そろろそ暦の上でも、気象上でも、「梅雨入り」に

田んぼに植えられた早苗をすくすくと育てるのが、6月に豊富に降る雨。植物は勢いよく成長するときに水を必要とします。気温が高くなってきた夏の始めに雨が降るのは、稲作にとって極めて必要なこと。しめやかに降る恵みの雨が、北海道の一部を除き列島全体に降り注ぎます。

そろそろ気になるのが「入梅(にゅうばい)」の時期。今年はいつからが「梅雨入り」となるのでしょうか。旧暦では芒種後の最初の壬(みずのえ)の日とされていましたが、現在は太陽黄径80度の日が暦の上での梅雨入り。今年は11日となっています。また、気象庁が発表する各地域の梅雨入りも、おおむね例年この頃でしょうか。湿度がぐっと高まり、蒸し暑さを感じる梅雨の時季。身体の中も湿気がたまり、消化器系など体調を崩しがちになりますので、気をつけたいですね。


香しく清楚に咲くササユリを祀る優美な「ゆりまつり」も

恵みの雨が植物の成長をうながす6月。紫陽花は言うに及ばず、杜若、ホタルブクロ、ミズバショウ、ヤマボウシ、ホウノキなど山野に美しい花々が開花していきます。その中でも、清楚な風情といい、馥郁とした香りも素晴らしいのが「笹百合(ササユリ)」でしょうか。

日本を原産とする百合は、ヤマユリやヒメユリなどがありますが、ササユリは草丈がやや低く、葉の感じが笹に似て、花の色は白か薄紅色。6月から8月ころにかけて野山に自生します。

古代より日本人に愛されてきたこの花にまつわる神事が、6月17日より奈良市の率川神社で行われます。その名も「三枝(さいくさ)祭」(別名「ゆりまつり」)の起源はとても古く、大宝元年(701)制定の「大宝令」の頃にはすでに国家の祭祀として規定されている、由緒あるお祭りです。

率川神社の御祭神は、姫蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)。三輪山の狭井川のほとり、ササユリが咲く里に住んでいたという姫は、初代神武天皇の皇后。ある日、七人の乙女の先頭に立って野を歩いていたときに神武天皇と巡り会い、結ばれたというロマンチックな物語が、古事記に記されています。

また、祭りの名である「三枝」とは、成長すると3つの花をつけるササユリのこと。酒樽とともに三輪山に咲くササユリを祀った神前で、ササユリを手にした巫女たちが雅楽の音色に合わせ舞う様子も優美このうえない祭礼だといえるでしょう。

夏の訪れを告げるササユリの花は、病気予防の薬草でもありました。清らかな花の姿を愛で、すっと甘い香りをかげば、この時季の蒸し暑さをしばし忘れ、心と身体が優しく癒されるような。そんな想いにかられる芒種の頃となりました。

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