ドジャース大谷翔平投手(29)の銀行口座から不正に送金し銀行詐欺罪などで訴追された元通訳・水原一平被告(39)が14日(日本時間15日)、米カリフォルニア州の連邦地裁で第2回の出廷に臨んだ。罪状認否などの答弁で「Not Guilty(無罪)」と主張したが、今回の過程は形式的なもので、数カ月以内に量刑が決まるという。
同被告はこの日、出廷を終えると、フリードマン弁護士とスーツ姿にノーネクタイで姿を現した。多くのメディアに囲まれ、テレビ局リポーターから「何かひと言ありませんか」などと問われたが、無言を貫いた。髪の毛は多少ボサつき、少しやつれたような表情だった。米メディアからも「何かひと言、言うべきだ」と問いかけられたが、無言。同弁護士とともに、用意されていた車両に乗り込み、現地を後にした。
同被告は違法スポーツ賭博でつくった借金を支払うため、大谷の口座から総額1697万5000ドル(約26億3000万円)を不正送金し、銀行詐欺と虚偽の納税申告で訴追された。37ページにも及ぶ訴状によると、大谷がメジャー4年目を終えた21年12月からドジャース移籍後の今年1月までに、違法の胴元を通じ通算1万9000回、1日平均約25回の賭けを行い、1億4200万ドル(約220億円)の勝ちに対して、負けは1億8300万ドル(約284億円)。賭博の借金は、約4100万ドル(約63億6000万円)にも上っていた。大谷の口座から許可なく秘密裏に不正送金した金額は当初、450万ドル(約6億9800万円)とされていたが、実際は、その3・5倍超。賭けに勝った分のもうけは、水原被告自身の口座に振り込まれるようになっていた。
先月12日(日本時間13日)に行われた第1回の出廷では、検察官から銀行詐欺罪で訴追された起訴状を読み上げられ、水原被告は何度もうなずき「Yes」と繰り返し、時折「I Understand(分かりました)」と応答した。今月8日(同9日)には、一連の罪状に関して司法取引に応じたと米司法省が発表した。
★賭博問題の経過
◆取材 3月19日、ESPNの取材に応じる。違法スポーツ賭博で巨額の借金があることを大谷に伝えたところ、借金を肩代わりしてくれたと回答。
◆発覚 3月20日、ドジャースが韓国でパドレスと開幕戦に勝利した後、ロッカー室で同僚に自身のギャンブル依存症を告白。大谷は帰宿後に借金を知る。大谷の弁護士が窃盗の被害者であると声明。ロサンゼルスタイムズが報じる。解雇となり、ESPNに行った前日の発言を撤回。
◆会見 米国時間3月25日、大谷がドジャースタジアムで会見。賭博や送金への関与を全面的に否定。
◆コミッショナー 同3月28日、MLBのマンフレッド・コミッショナーが、公的機関とは異なる独自調査の必要性に言及。経歴詐称疑惑も浮上。
◆訴追 同4月11日、連邦地検が銀行詐欺容疑で訴追。
◆出廷、保釈 同12日、連邦地裁に出廷し、その後保釈。
◆司法取引 同5月8日、銀行詐欺罪などを認め、司法取引に応じたと司法省が発表。