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くるくる回るイスラム神秘主義の舞 伝統守るシリアの一家

  • 2021年05月20日 15:50:00

【ダマスカスAFP=時事】シリアの首都ダマスカスのレストラン。3歳のアナス・カラートちゃんは片手を天に上げ、小さな体をくるくる回す。身に着けた裾の長い、白い衣もくるくる回る。(写真はシリアの首都ダマスカス旧市街のレストランで、イスラム教神秘主義スーフィーの踊りを舞うアナス・カラートちゃん〈左〉とそのいとこ)
 この旋回舞踊の技は親から子に受け継がれる。並んで踊っているのは、父親のムアイヤッドさん(28)。イスラム教神秘主義スーフィーの舞に、店の観客はくぎ付けだ。「アナスは、言葉より先に体を回すことを覚えました」と明かす。「シリアで最年少のスーフィーの踊り手です」
 スーフィー教徒にとって旋回は、神と交信するための、いわば動く瞑想(めいそう)だ。催眠的な祈りのリズムに合わせ、トランス状態になるまで体を回す。
 イラン、アフガニスタン、トルコで人気を博す旋回舞踊は、精神的・霊的に集中してイスラム教を実践するスーフィーの教義の下で生まれた。確立したのは13世紀のペルシャ語神秘主義詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミーの信奉者らだ。
 カラート家はダマスカスでも有数の旋回舞踊の継承一族で、その20人の踊り手たちは、イスラム教の神聖な断食月ラマダンにも舞を演じることが多い。
 ムアイヤッドさんも初めは祖父から踊りを教わった。「スーフィーの教えを大まかに言えば、崇拝と精神的高揚です」と説明する。「旋回は、神へ近づくための方法の一つです」
 ムアイヤッドさんは「軸からほとんどずれることなく」、1分間に何十回も回れると言う。

■「謙虚さ」のしるし
 戦乱で荒廃し、さらに経済危機、コロナ禍で困窮するシリアに、旋回舞踊は安らぎをもたらしてくれると言うムアイヤッドさんは、ダマスカスの人気マーケットで香水店を営んでいる。
 「気がめいるといつも部屋にこもって、安らかな気分になるまで回り続けます」
 ダマスカスの自宅の中庭ではアナス君や親戚の若者が集まり、そろいの白い衣と上着、それに丈の高い帽子をまとって舞の練習をする。ムアイヤッドさんの兄、マフムードさん(34)の祈りの歌に合わせて一斉にくるくる回る。
 「腕を上げることで、神にご慈悲を願い、天に祈りを送ることになります」と身ぶりを入れて説明するマフムードさん。「胸に手を置くのは、神の前で服従と謙虚さを示すためです」

■ラマダンの特別演技
 2011年にシリア内戦が勃発するまで、マフムードさんは欧州諸国や米国でも舞を披露していた。「シリア以外で過ごす時間の方が多かったです」。しかし紛争で移動を制限される中、一家の出番はレストランや結婚式など地元のイベントに限られている。
 ラマダン期間中の夜の仕事に、生計を立てる「最後の望み」を託しているとマフムードさんは明かしていた。
 神聖なラマダンの月は、スーフィーの踊り手たちにとって書き入れ時だ。日没で断食が終わると、カフェやレストランに集まってコーヒーをすすり、水たばこを吸う聴衆を前に演じる。ダマスカスの人気スポットはどこも、スーフィーの踊りが客を呼ぶ。
 「私たちは人々と儀式を分かち合うラマダンの月を心待ちにしています」とマフムードさん。「旋回の踊りは時間と場所を選ばないものですが、ラマダンの間はいつにも増して崇高になります」 【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/05/20-15:50)
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