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「命をささげる」覚悟の子も メキシコ麻薬組織と戦う村の自警団

  • 2021年05月12日 13:48:00

【アヤウアルテンパAFP=時事】メキシコ・ゲレロ州アヤウアルテンパ村。木製の模造ライフルを持った子どもたちが、武装した自警団の大人のメンバーたちと一緒に練り歩いていた。村民は、麻薬組織が殺人や誘拐を繰り返しているにもかかわらず、当局は自分たちを見殺しにして何も手を打ってくれないと憤る。(写真はメキシコ・ゲレロ州アヤウアルテンパで自警団が組織した戦闘訓練に向かい、村を練り歩く少年ら)
 豆やトウモロコシ栽培で生計を立てている農家が集まるこの村は、アヘンの一大生産地帯にある。村の乗っ取りをたくらむ麻薬カルテル「ロス・アルディジョス」に殺害された村民は、2019年から少なくとも9人に上っている。
 「政府の役人がここに来て支援を約束してから15か月たつのに、まだ何の助けもない」と自衛団のリーダー、ベルナルディノ・サンチェス氏は言う。
 チャヨさん(17)は2年前に自警団に加わった。
 「ロス・アルディジョスは僕の大切な家族を誘拐した。丸腰で外を歩くと、やつらに誘拐される」とライフルを肩に掛けて語った。「学校に行くと、やつらに連れ去られる。だから、子どもは勉強もできない」
 メキシコ政府が麻薬カルテル撲滅に軍を動員した2006年以降、全国で30万人以上が殺害されている。
 メキシコ南部太平洋岸のゲレロは、アヘンやマリフアナ(大麻)の取引をめぐる犯罪組織間の抗争で治安が最も悪化している州の一つだ。昨年の全国の殺人件数が3万4552件だったのに対し、同州は1434件だった。
 リゾート地として有名なアカプルコもあるが、山岳地帯は貧困率が非常に高く、人口のおよそ3分の2が貧困状態にある。1990年代からは、犯罪組織絡みの暴力行為を受け、州内で自警団の結成が相次いだ。

■援助を求める叫び
 アヤウアルテンパ村のスポーツセンターで最近行われた戦闘訓練には、6歳から12歳までの子ども約30人が参加。その後、模型ライフルや木の棒を握り、サンチェス氏の先導で村を練り歩いた。
 「親を亡くした子どもに永遠なれ!! 住む場所を奪われた同志に永遠なれ! 亡くなった兄弟に永遠なれ!」。サンチェス氏が、小型トラックからシュプレヒコールを上げ、その後ろに、ライフルや銃をかざした自警団の成人メンバーが続く。
 自警団は昨年も同じように村を行進した。狙いは、左派のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領の気を引くことにあったが、同氏は「(国の)恥だ」と一蹴した。
 だが、村民は、この行進は暴力の犠牲者と教育への援助を求める叫びだと主張する。
 「大統領に、私たちの地域を見に来てほしい」とサンチェス氏は訴える。
 ロペスオブラドール大統領は、暴力と貧困の原因は歴代政権で汚職がはびこってきたことにあると指摘。社会事業への投資で解決を図ると訴え、2020年の投資額は140億ドル(約1兆5000万円)を超えた。
 一方、サンチェス氏は、子どもたちを巻き込んだ行進は当局の関心を引くためであることを認めつつも、子どもたちの訓練は犯罪組織から身を守るために欠かせないと主張する。
 通学を諦めたルイスさん(13)は、村をパトロールしたり、両親の畑仕事を手伝ったりしている。
 「親から、もう勉強しなくていいって言われた。(麻薬カルテルに)誘拐されるからって」とルイスさん。「他にどうしようもない」
 ルイスさんは「上手に撃つ」ことに集中している。一方、チャヨさんは、何があろうと覚悟している。「必要なら、大切な人や家族のために命をささげてもいい」と話した。【翻訳編集AFPBBNews】

〔AFP=時事〕(2021/05/12-13:48)
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