【ブダペストAFP=時事】ハンガリーの首都ブダペストに、中国有数のエリート大学である復旦大学のキャンパスを建設する計画が進んでいる。(写真はハンガリーの首都ブダペストで、中国の復旦大学のキャンパス建設が予定されている工場跡地で取材に応じる地元行政区のバラニ・クリスティーナ区長)
 「地元の誰も賛成していないのに、マンモス大学を造ろうとしている」
 建設予定地のドナウ川沿いの工場跡地で、地元行政区のバラニ・クリスティーナ区長はAFPにこう述べ、オルバン・ビクトル首相率いる政府との対決姿勢を鮮明にした。
 今は荒れ放題のこの場所に、上海の復旦大学が欧州初のキャンパスを2024年までに開設する計画は、ハンガリー政府と復旦大学側とが先週交わした合意によって明らかになった。施設の延べ床面積は50万平方メートルに及ぶ。
 だが、この一大プロジェクトは、欧州連合(EU)と距離を取り、中国やロシアに接近するオルバン政権の外交姿勢や対中債務の急増に対する不安をかき立てている。
 調査報道サイト「ディレクト36」に先月流出した内部文書によると、建設費はハンガリーの高等教育予算1年分を上回る推計15億ユーロ(約2000億円)で、中国はうち13億ユーロ(約1700億円)を融資する計画だ。
 元請け業者は中国の建設会社に決定したが、入札は実施されなかったという。
 「それを知ってショックを受けた。何もかも不透明だ。誰にも相談はなかった」と、バラニ区長は不満をあらわにした。年内に住民投票を実施し、地元行政区として建設予定地を国に引き渡すべきかどうか、市民の判断を問う方針だ。

■経済的主権の喪失
 復旦大学のキャンパス建設は、オルバン政権が掲げる「東方開放政策」の一環だ。
 この政策をめぐっては、地政学的バランスを考慮したものだとの分析がある一方、EUと北大西洋条約機構(NATO)の内側に中国とロシアを招き入れる「トロイの木馬」と化しているとオルバン首相を批判する声もある。
 ハンガリーはEUで唯一、中国製とロシア製の新型コロナウイルスワクチンを利用している。また、国内唯一の原子力発電所では、ロシアの国営エネルギー企業ロスアトムが巨額のロシアマネーを使って設備を拡張しつつある。
 大容量通信規格5Gの整備に、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を関わらせるのは安全保障上のリスクになるとの米国の懸念も、オルバン政権は一蹴している。
 首都ブダペストと隣国セルビアの首都ベオグラードを結ぶ高速鉄道の建設プロジェクトも、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として、中国の融資20億ユーロ(約2600億円)で費用の大半を賄う。
 しかし、ブダペスト在住のアナリスト、クレコ・ペーテル氏は、復旦大学のキャンパス建設を中国人労働者が担い、ハンガリーの納税者がその費用を支払う計画は、「ハンガリーには何らメリットがないように見える」と指摘。中国からの融資は「経済的主権の喪失」であり、「対中債務がかさみつつあり、危険だ」とAFPに語った。
 復旦大学が2019年に大学憲章から「思想の自由」への言及を削除したことも、ハンガリーの学問の自由をめぐる懸念を拡大させている。
 地元出身のリベラル派の米富豪ジョージ・ソロス氏がブダペストに創立した中央ヨーロッパ大学(CEU)は2018年、オルバン政権との法廷闘争の末、拠点をオーストリアのウィーンに移した。大学側は「追い出された」と主張している。【翻訳編集AFPBBNews】

〔AFP=時事〕(2021/05/12-13:41)

情報提供元:時事ドットコム ワールドアイ
記事名:「ハンガリーに中国名門大のキャンパス建設「誰も賛成してない」