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忘却からよみがえったコーヒー品種、未来の温暖化にも耐性 研究

  • 2021年04月27日 14:34:00

【パリAFP=時事】かつて珍重され、数十年前に人々の前から姿を消したコーヒー品種が西アフリカで再発見されたとする研究が発表された。その味わいはアラビカ種の最高級グレードにも劣らず、気候変動に対する耐性はアラビカ種より高いという。(写真は資料写真)
 19日付の英科学誌「ネイチャー・プランツ」に掲載された論文によると、再発見されたステノフィラコーヒーノキという品種は、生態系の変化で多くの野生種の絶滅が危惧される中、高品質コーヒーの未来を支えるかもしれないという。
 現在、知られているコーヒー品種は100種類以上あるが、世界のカフェイン需要の大半を満たしているのは上質とされるアラビカと、それよりも粗いとされるロブスタの2種だ。
 気候変動は、世界の数千億ドル(数十兆円)規模のコーヒー市場や、コーヒー生産によって生計を立てているおよそ1億人にとって深刻な問題だ。
 アラビカ種はエチオピアや南スーダンの冷涼な熱帯高地が原産で、年平均気温19度前後を好む。23度前後まで耐えられるロブスタ種よりも地球温暖化に弱いとされる。
 一方、ステノフィラ種は、ロブスタ種と同様の条件で生育可能で、しかも平均気温24.9度まで耐えられると同論文は述べている。
 同研究を率いた英キュー王立植物園コーヒー研究主任のアーロン・デービス氏は、耐性と風味を兼ね備えたコーヒー種を見つけたことを「一生に一度の科学的発見」と呼んだ。「高品質コーヒーの未来にとって必要不可欠な種です」
 ステノフィラ種は、ギニア、シエラレオネ、コートジボワール一帯の固有種で、1800年代および1900年代初期の記録によるとアラビカ種より上質とみなされ、その人気はフランスのカフェにまで及んでいたという。
 だが、20世紀に入ると飲まれなくなり、1954年より後は記録から全く消えてしまった。2018年にシエラレオネで自生している同種を科学者らが発見。温度耐性と風味の調査を始めた。
 昨年はネスプレッソなどコーヒー販売大手の専門家を招き、ブラインドテイスティング会が行われた。
 「植物らしい香りがあり、審査員全員が自分たちの知らない風味だと感じました」とテストを率いたフランス国際農業開発研究センター(CIRAD)の研究者デルフィーヌ・ミューレ氏はAFPに語った。「最高のアラビカのように、バラやニワトコの花、それにライチの香味もありました」
 ミューレ氏は、ステノフィラ種が数年後には流通可能になると予想した。

■「上質なワインのよう」
 米植物学者ラルフ・ホルト・チェイニー氏は1925年の著作に、シエラレオネの現地住民やフランスの商人は、ステノフィラ種の豆が「他のどんな種よりも優れていると考えている」と記している。そして「フランスに運ばれ、最高品質のモカとして売られている」と続けている。
 デービス氏は昨年8月、さほど期待せずに初めてステノフィラ種のコーヒーを試した。「酸味を予想していたのに、上質なワインを味わうような感じでした。こんなに美味だとは誰も予想していませんでした」とAFPに語った。「もっと驚いたのは、アラビカのような味がしたことです」
 国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種をまとめた「レッドリスト」で、ステノフィラ種は絶滅の危険性が高い「危急種」に分類されている。これは世界の野生植物と生物多様性の保護の重要性を示しているとデービス氏は強調した。
 ステノフィラ種をどこで栽培するのが適しているか、特定するにはさらに研究が必要だが、すでにアラビカ種が温暖化の影響を受けている熱帯もあり得るという。【翻訳編集AFPBBNews】

〔AFP=時事〕(2021/04/27-14:34)
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