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国土9割が砂漠のリビアで「緑のパラダイス」 食料自給率向上に奮闘

  • 2021年04月26日 12:36:00

【トリポリAFP=時事】黄色い防水シートに覆われたトンネル形の温室で、シラジュ・ベチアさん(20)とパートナーのムニルさんは水耕栽培のレタスの出来を調べていた。国土の9割が砂漠で、伝統的な農業が困難なリビアでは先駆者だ。(写真はリビアの首都トリポリから東に約40キロ離れた小さな町で水耕栽培のレタスをチェックするムニルさん)
 この「グリーンパラダイス」で貴重な作物を支えているのは、プラスチックのカップに穴を開けた鉢と、ホームセンターで購入した合成樹脂管、結束バンド。間に合わせの園芸用品ではあるが、作物はぐんぐん成長し続け、栄養分と酸素濃度の高い水を送り込まれたレタスが白い根を長く伸ばしている。
 ベチアさんとムニルさんは首都トリポリの東40キロの小さな町で何か月もこのプロジェクトに打ち込んでいる。
 ベチアさんはAFPに、水量が少なくて済み、農薬も要らない水耕栽培を広めていくのが願いだと語った。国土の大半を不毛な砂漠が占めるリビアで、水耕栽培は食料の自給自足率を高めることにつながるというのがベチアさんの考えだ。
 アフリカ最大の原油埋蔵量を誇るリビアでは、経済は炭化水素関連の分野を中心に回っており、農業は脇に追いやられている。耕作に適した土地は国土のせいぜい3%しかなく、地中海沿岸の肥沃(ひよく)な土地にも都市化が急速に広がっていることから、残されたわずかな土地もこの先どうなるか分からない。
 農業をさらに難しくしているのが、農作業に最も必要な水が不足していることだ。
 南部の地下水面からくみ上げられた飲料水は、リビアの大規模なパイプラインを通じて国民の大半が暮らす北部の各都市に運ばれている。だが、水資源には限りがあり、この供給網も、独裁者だった故ムアマル・カダフィ大佐の失脚以来10年間続いた内戦による損壊が激しい。

■「リビアの消費者は有機野菜を求めるようになった」
 水耕栽培は、理論上は従来の農法に比べると収穫量も収益も多い。従来の農法は、天候や水不足の影響を受ける一方で、野放図な農薬散布による汚染のリスクもある。
 ベチアさんは、「リビアの消費者は農薬まみれの野菜にそっぽを向き、有機野菜を求めるようになった」と指摘する。
 水耕栽培の野菜は農薬まみれではないにしても、味が水っぽいとけなされることもある。また一般的には有機野菜には分類されないが、専門家は、リビアの水不足を補う新たな農法として、水耕栽培に期待を寄せている。
 とはいえ、普及するにはまだ多くの障害がある。手間がかかり、リビアで必要な材料を調達するには費用がかかり過ぎると専門家は指摘する。
 それでもベチアさんはくじけない。「根気強く続けて、信念を貫くしかありません」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/04/26-12:36)
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