【ロンドンAFP=時事】英国のエリザベス女王の夫フィリップ殿下が9日に死去したことを受け、英国のテレビ各局は放送内容を変更し、殿下の長い生涯を振り返る特別番組を放送した。王室関係者が死去した場合の番組内容の変更方針については、長らく準備が進められてきた。(写真は資料写真)
 日中の番組は、臨時ニュースによって中断された。英国放送協会(BBC)は9日、主要チャンネルのBBC OneとBBC Twoに加え、ラジオのRadio 4とRadio 5 Liveの放送予定をすべて変更し、99歳で死去したフィリップ殿下の生涯を振り返る番組を放送した。
 ほとんどの人にとって英国社会の中心的な存在だった殿下の死には放送内容を変更してしかるべきと感じる人が多くいる一方で、殿下のことばかり放送される状況に不満を漏らす人もいる。中でも、公共放送のBBCに対する批判が強い。
 最近までBBCのニュースキャスターを務め、これまでも放送で王室を取り上げることに否定的だったサイモン・マッコイ氏は、複数のチャンネルで全面的に殿下の死について報じることに疑問を投げかけた。
 マッコイ氏はツイッターに、「BBC1とBBC2では同じ内容が放送されている。(24時間放送の)ニュースチャンネルも、おそらく同じ内容だろう。なぜだ? 大きな出来事なのは理解しているが、番組を選ぶ権利があるはずだ」と投稿した。

■王室とBBCの共通点
 主要王族が死去した際の放送の編集方針は、地上波チャンネルが三つしか無かった数十年前から、準備とリハーサルが進められてきた。
 しかし、デジタル化が進んだ上、女王と王室に対して無条件に敬意を持つという意識が薄れている現在、その編集方針は果たしてふさわしいのか問われている。
 英ウエストミンスター大学のジーン・シートン教授(メディア史)はAFPに対し、「(BBCが今回と)違うことをしていたら、別の人たちから批判されていただろう」と語る。
 実際、公共放送チャンネル4は、殿下の生涯に関する複数のドキュメンタリー番組を放送したものの、放送内容を通常の予定から大きく変更しなかったことで批判された。
 BBCの歴史について著書があり、BBCは「英国の国家機関」だと言うシートン氏は、「すべての英市民に対する義務があるという点で、(BBCは)王室といくつかの共通点がある」と指摘し、「常にすべての視聴者に、彼らが見たがっている内容を提供する必要はないが、英市民を代表すると共に、市民に仕える義務はある」との見解を示した。
 批判を受けてBBCは、殿下の死去にまつわる番組が多すぎるという苦情を受け付けるフォームをホームページに設けた。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/04/12-12:38)

情報提供元:時事ドットコム ワールドアイ
記事名:「フィリップ殿下死去、特別番組が多すぎ? 不満の視聴者も 英