【ロンドンAFP=時事】ふさふさの体毛や、こっそり隠した成人用玩具、タブーを犯したいという願望──。英国首都ロンドンにある文具店に届く数百枚のはがきには、人々の心の奥底にしまい込まれた秘密がつづられている。(写真は英ロンドンの文具店「マービー&エルム」に届いたはがき。それぞれに「秘密」がつづられている)
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて英国で今年1月に始まった3回目のロックダウン(都市封鎖)を機に、エレノア・タターズフィールドさんの家族経営の文具店「マービー&エルム」は、切手の貼られたはがきに「ロックダウン中の秘密」とだけ記し、客に配布した。
 この試みについて、カードデザイナーのタターズフィールドさんは、空いた時間を埋める手段、さらには人々が心の内を打ち明ける機会になると考えた。
 活版印刷デザインを手掛ける小さな店舗には数多くのはがきが届き、今では店のテーブルを覆いつくすまでになった。
 人気のテーマはいくつかある。性行為や自慰行為、義理の家族、イエティような体毛、などだ。
 他方で、ロックダウンが長引くなか、人々はそこから出ることに不安を募らせているとも指摘する。「開放に対する恐怖が生まれている」
 あるはがきには「解き放たれたくない」とあった。また別のはがきには「申し訳ないけど、あなたたちの誰も恋しくない」と書かれていた。

■恋、片思い、破局
 ロックダウンは恋の芽生えを一部にもたらした。ある人は新型コロナウイルスのドキュメンタリーで見つけた「とてもすてきな医師」にカードを送ったと言い、また別の人は「ロックダウン中、私の大家さんは家賃以上のものを私から受け取った」と打ち明けた。
 なかには、コロナについての状況報告で英首相としばしば同席するパトリック・バランス政府首席科学顧問に「不適切なロックダウン中の片思い」をしたと白状した人もいた。
 その一方で破局も目立つ。
 あるはがきには、派手な成人用玩具の写真と共に、離婚によって「自己快楽オプションの性能をアップグレードする必要があった」とのメッセージが書かれていた。

■タブー
 重大なタブーを犯す内容や法に触れる内容は見る者を不安にさせる。「数千ポンド相当の列車の切符」の偽造について書かれたものもその一つだ。
 あるはがきには、国のヘルスケアワーカー支援の象徴である虹が描かれ、「父は新型コロナを生き延びた」とのメッセージがあった。しかし、その下には小さな字で「そうならなければ良かったのに…」と書かれていた。
 聖書の十戒を記した明るいピンク色のカードには、それぞれの項目にチェックボックスがあり、一つを除いてすべてにマークが付けられていた。マークがなかったのは6番目の「汝(なんじ)、殺すなかれ」だった。
 タターズフィールドさんは、これらのはがきを展覧会の形で公開したいと考えており、1冊の本にまとめるアイデアもある。展覧会については、すでにいくつかのギャラリーからオファーが届いているという。
 「社会史の一片として説得力があるコレクションです」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/04/12-12:15)

情報提供元:時事ドットコム ワールドアイ
記事名:「片思い、殺意…数百枚のはがきにつづられたロックダウン中の秘密