【パリAFP=時事】ビデオゲームは芸術作品か、それとも単なるコンピューター製品か。フランスでは新たに始まった限定的なロックダウン(都市封鎖)をめぐる混乱の中、このおなじみの論争が再燃している。(写真はフランス・パリで閉店しているビデオゲーム販売店)
 今月20日からパリを含む16地域で新たなロックダウンを開始したフランスは、書店やレコード店を必要不可欠な業種のリストに加え、営業継続を許可した。長らく文化のとりでを自負してきた国ならではと言えよう。
 ならば、ビデオゲーム販売店はどうか。ビデオゲームはフランスでもすでに巨大ビジネスと化し、新型コロナウイルスの流行で多くの人が外出を控える中、人気が急上昇している。
 閣僚間の協議を経て仏政府は20日、「コンピューター、周辺機器、およびソフトウエアの専門店での小売り販売」を許可すると発表した。
 だが、週明けの22日、開店時間になっても、一部のビデオゲーム店の経営者や従業員は新規則をのみ込めずにいた。
 パリ中心部に店を持つウーリ・ザゴーリーさんは、オンラインでゲームを購入して引き取りに来た客、もしくは修理が必要なゲーム機を預けに来た客だけに店を開けた。「店内に入れないし、その場で支払いをお願いすることさえしません」

■「文化財の一種」
 近くにある別の店の販売員は、営業継続を許可される店舗にビデオゲーム店が加わったことを、ニュースを読んだガールフレンドから聞いた。「今回の再封鎖は何が何だか分かりません」と、この販売員はこぼした。
 新規則の解釈に悩まされているのは、個人営業の店だけではない。仏総合小売りチェーンのフナックも当初、躊躇(ちゅうちょ)していた。
 ユーチューブのビデオゲームアナリスト、ジュリアン・シェーズさんは、フナックの各店舗のビデオゲームコーナーが週末に閉まっていたとツイートしていた。
 しかし、フナック幹部のオリビエ・ガルシア氏は22日、政令を引用しながらシェーズさんのツイートに応じ、ゲームコーナーはすでに再開していると述べた。
 フランス小売業連盟(FCD)のジャック・クレイセル氏は「確かに、今までビデオゲームの件については若干、不明な点がありました」と認めた。
 シェーズさんは政府の決定を歓迎し、「まさしく、ビデオゲームは書籍やレコードと同じように文化財の一種」だと喜んだ。

■パリに欧州最大のビデオゲームセンター
 ジャン・カステックス仏首相は18日、書店とレコード店を必要不可欠な業種に分類すると発表した。以来、ビデオゲーム業界は同様の扱いを求めてロビー活動を行っていた。
 仏・娯楽ソフトウエア出版組合(SELL)のニコラ・ビニョル氏はその間、数多くの電話をかけたとAFPに述べた。そして「ロックダウン中の文化活動、特に若者を何かに打ち込ませるには、ビデオゲームが一番」だと訴えた。「今の規則では、ビデオゲームの販売は可能です」
 SELLによると、フランス人は昨年、過去最高の53億ユーロ(約6860億円)をビデオゲームに費やした。一方、独マーケティングリサーチ会社GfKによると、フランス人が昨年書籍に費やした金額は40億ユーロ(約5170億円)にとどまった。
 フランスは世界有数のビデオゲームメーカー、ユービーアイソフトの本拠地で、eスポーツへの関心も高まっている。
 仏サッカークラブ、パリ・サンジェルマンの元会長ロビン・レプルー氏は22日、欧州最大のビデオゲームセンターを立ち上げると発表。パリ中心部に位置する2000平方メートルの施設は、150席のアリーナ、コンピューター100台、ゲーム機40台を備え、すでに一部のプロゲーマーが使用している。
 「Eスポット」と名付けられたこのゲームセンターは「保健当局の許可が下り次第」オープンすると、レプルー氏はAFPに語った。【翻訳編集AFPBBNews】

〔AFP=時事〕(2021/03/31-14:11)

情報提供元:時事ドットコム ワールドアイ
記事名:「ビデオゲームは「必要不可欠」? コロナ封鎖のフランスで文化論争