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【こぼれ話】ジャズバンドの新舞台 「麺料理店」で生まれるスイング 香港

  • 2021年03月18日 16:12:00

【香港AFP=時事】家賃が高いことで悪名高い過密都市・香港のミュージシャンは、窮屈なステージで演奏することに慣れている。しかし、創業47年の麺料理店「源興隆麺家」ほど狭苦しく、型破りなステージはめったにない。(写真は香港の源興隆麺家で行われたジャズ演奏会)
 ある平日の夜、300平方フィート(約28平方メートル)の店内には、ジャズバンドの本格的な演奏が響いていた。積み重ねたコーラのケースや食卓が譜面台代わりだ。コントラバス奏者は、普段は麺をゆでる調理スペースになんとか場所を確保した。
 この場に観客はいない。
 香港は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、厳格なソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を導入しており、多くのエンターテインメント産業と同様に、ライブ音楽業界は大打撃を受けた。
 源興隆麺家での演奏はインターネット配信されており、数百人の視聴者から寄付を募っている。
 さまざまなジャズ奏者を招いて2か月に1度開かれる演奏会は、コントラバス奏者のジャスティン・シウさんが思い付いたものだ。
 ここに集まるのは、この1年で仕事が激減した仲間だ。
 シウさんはAFPに「パーティーやバー、結婚式で演奏してきたが、全て無くなってしまった」と語った。
 店主のポール・ソーさん(61)は、飲食店は営業時間の短縮や複数回のロックダウン(都市封鎖)を乗り越えなければならなかったが、ミュージシャンはそれ以上に苦労しているのを知っていると語った。
 「音楽のことはよく分からないが、聞くのは大好きだ」とソーさん。ソーさんはまれに取る休みの日に、シウさんに無料で店を提供している。「私はクリエーションのひらめきがあればいいなと思って、場所を提供しただけだ」
 シウさんは、普段演奏してきた高級ホテルやジャズバーと異なり、源興隆麺家には独特の懐かしい雰囲気があると言う。店の内装の大部分は、1970年代から変わっていない。
 ライブ配信での寄付は、リアルのライブの出演料に比べるとわずかだが、今はなんでも助けになるとシウさんは話す。「最終的に、ライブ配信が香港のアーティストの生計を支えるようにしたい」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/03/18-16:12)
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