【ニューヨークAFP=時事】メキシコの麻薬王「エル・チャポ」ことホアキン・グスマン受刑者の妻、エマ・コロネル・アイスプロ容疑者(31)の経歴は、濃密だ。17歳で小さな町のミス・コンテストで優勝し、その1年後に32歳年上の麻薬王と結婚。モデル、インフルエンサー、ファッションデザイナーとして活躍してきた。(写真はメキシコの麻薬王「エル・チャポ」ことホアキン・グスマン受刑者の妻エマ・コロネル・アイスプロ容疑者)
 今週、麻薬密輸の共謀容疑で米首都ワシントンの空港で逮捕されたコロネル容疑者には、グスマン受刑者が最高幹部を務めていた麻薬組織「シナロア・カルテル」の取引に関与した疑いがかけられている。
 グスマン受刑者に終身刑が言い渡された2年前の裁判では、すらりと背の高いコロネル容疑者が3か月間ほぼ毎日、体の線を強調した服装にしっかり化粧をし、長い黒髪をなびかせて傍聴に訪れては夫にほほ笑みかけたり、投げキスを送ったりする姿が注目を集めた。当時7歳の双子の娘たちを傍聴席に連れて行き、父親に一目会わせようとしたこともあった。
 それが、コロネル容疑者にとっては夫に近づける限界だった。米当局はコロネル容疑者に勾留中の夫との面会や電話を禁止し、判事は裁判終了時に2人が抱き合って別れを惜しむことすら認めなかった。
 このときの裁判の証人によるとコロネル容疑者は、2015年にグスマン受刑者がメキシコの刑務所から脱獄した際、独房内のシャワースペースの下に掘られた長さ1.5キロのトンネルをバイクで駆け抜けて夫の逃亡を助けた。さらに1年後にも、再拘束された夫の脱獄計画を支援したという。

■多くのファン
 コロネル容疑者は、シナロア・カルテルの幹部の一人で通称「ナチョ」こと故イグナシオ・コロネルのめいで、米カリフォルニア州に生まれ、メキシコで育った。メキシコと米国の国籍を保有する。
 判決後には、麻薬組織幹部らの血縁者の生活を追ったテレビ番組「クルー・カルテル」に出演し、物議を醸した。
 コロネル容疑者には大勢のファンがいる。ユーチューブには化粧や髪形をまねしたい人たち向けの指南動画が幾つも投稿され、インスタグラムにも彼女の写真を掲載するアカウントが複数ある。ファンが作ったアカウントの一つは、「どんな女性も女王にはかなわない」をうたい文句にしている。
 公の場では、たびたび浮気を繰り返す夫にさえ忠実な妻に徹してきたコロネル容疑者は、麻薬について話したことは一切ないが、夫への称賛を隠したことはない。裏社会では冷酷さで知られたグスマン受刑者のことを、コロネル容疑者は裁判の際「素晴らしい父親であり、友人であり、兄弟であり、息子であり、パートナーだ」と語っていた。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/02/26-12:43)

情報提供元:時事ドットコム ワールドアイ
記事名:「17歳でミスコン優勝、麻薬王「エル・チャポ」の妻 濃密なその人生