【トリノAFP=時事】イタリア人のアウグスト・グリーリさん(80)は、75年近く前のクリスマスプレゼントを思い返し、今も目を輝かせる。プレゼントとしてもらったのは、小さな舞台のセットと12体のマリオネット(糸操り人形)だった。それがきっかけで、グリーリさんは操り人形師としてのキャリアを積み、生涯、人形劇に情熱を傾けてきた。(写真はイタリア・トリノにある劇場のステージで自身のマリオネットをチェックするアウグスト・グリーリさん)
 「あれは1946年、第2次世界大戦が終わって最初のクリスマスで、祝福と喜びに包まれ、とても特別な雰囲気でした」とグリーリさんは振り返った。
 「クリスマスプレゼントの中に大きな箱があり、舞台セットと操り人形が入っていた。一目で大好きになりました」
 グリーリさんは、人形師としての才能を発揮。通っていたイタリア北部トリノの学校でたちまち人気者になった。
 「人形劇をよくやりましたよ」とグリーリさんはAFPに話した。子どもたちが大喜びするからと、小学校の全クラスに呼ばれて人形劇を披露した。
 金色と白色の小さな舞台は現在、プラスチック製の箱の中に丁寧に保管され、新設されるインターナショナル・パペット・ミュージアムに運ばれるのを待っている。そうした箱が他にもたくさんある。
 グリーリさんと妻のマリアローザさん(78)がずっと夢見ていたミュージアムは、2023年にトリノでオープンを予定している。資金は、官民さまざまな機関や団体から支援を受けて調達した。
 グリーリさん一家は、世界中から集めた人形劇関連のアイテムを2万点以上コレクションしている。劇場で使用されるアイテムから、マリオネット、手を入れて動かすパペット、影絵人形劇の人形までさまざまだ。
 初めは単なる趣味で、グリーリさんは「父親から言われるがままに」機械工学の分野に進学し、操り人形は友人に披露する程度だった。しかし1978年に思い切ってプロに転向。ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトの「魔笛」やジョアキーノ・ロッシーニの「セビリアの理髪師」などの叙情的なオペラ作品を含め、子どもから大人まで楽しめる人形劇を上演してきた。
 「ステージに立っているときの気持ちは説明しにくい。奥深くて。操り人形師は人形の一部で、人形もまた人形師の一部なんです」とグリーリさんは熱く語った。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2020/12/25-12:50)

情報提供元:時事ドットコム ワールドアイ
記事名:「クリスマスプレゼントがもたらした人生の情熱 伊の操り人形師