ベネトクラクス/アザシチジン併用療法、急性骨髄性白血病患者において、全生存期間と寛解率の改善を示す
アッヴィ合同会社
ベネトクラクス/アザシチジン併用療法が、未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者さんにおいて、統計学的に有意な全生存期間および寛解率の改善を示す
●強力な化学療法が適応とならないAML患者さんを対象とした第III相VIALE-A試験において、アザシチジン/プラセボ投与と比較して、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法が死亡リスクを34%減少
●全生存期間(OS)中央値は、プラセボ群の9.6カ月に対し、ベネトクラクス群では14.7カ月
●ベネトクラクス群における複合完全寛解(CR+CRi)率(66.4%)は、アザシチジン単剤投与群(28.3%)の2倍以上
●AMLは世界で最も多い急性白血病で、推定罹患者数は16万人
イリノイ州ノースシカゴ、2020年6月13日(米国時間)―グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、強力な化学療法が適応とならない、未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者さんを対象とするVIALE-A(M15-656)試験において、アザシチジン/プラセボ投与との比較で、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法が死亡リスクを34%減少[ハザード比(HR)0.66(95%CI 0.52~0.85)、p=0.001]させたことを示す、良好な結果を発表しました。ベネトクラクス/アザシチジン併用療法における全生存期間(OS)の中央値は改善し(14.7ヵ月対プラセボ群の9.6ヵ月)、複合完全寛解(CR+CRi)率はアザシチジン/プラセボ投与群の28.3%に対し、ベネトクラクス/アザシチジン併用群は66.4%でした。
本データは、オンライン開催された第25回欧州血液学会(EHA)年次総会にて、最新データとして本日初めて発表されました(抄録番号LB2601)。
アッヴィの最高医学責任者ニール・ギャラガー医学博士(M.D.、Ph.D.)は次のように述べています。「AML患者さんは、重い病状により化学療法に耐えられないことがあります。AMLは、最も悪性度の高い血液がんの1つです。VIALE-A試験で得られた良好な結果は、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法が未治療のAML患者さんにおける生存期間と完全奏効率の改善に有意な影響を与え得ることを強く示すものです」
無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第III相VIALE-A試験では、標準的な導入療法を選択できないAML患者さんを対象に、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法の有効性と安全性が評価されました。本試験では主要評価項目であるOSと複合完全寛解(CR+CRi)率の統計学的に有意な改善が達成されました。米国および米国参照国ではOSが唯一の主要評価項目、中国、日本、欧州連合(EU)およびEU参照国ではOSとCR+CRiの2つが主要評価項目でした。
治験総括医師のMDアンダーソンがんセンターがん治療部門白血病科のコートニー・D・ディナルド医師(M.D.、MSCE)は以下のように述べています。「AMLは、強力な導入化学療法が適応とならない高齢の患者さんにおいては特に、生存率が低く、治療困難な血液がんです。化学療法が適応とならないため、治療選択肢は極めて少なくなります。アザシチジン単剤と比較したVIALE-A試験では、ベネトクラクス投与が全生存期間を有意に延長し、奏効率を改善させることを示すさらなる知見が得られました。化学療法に耐えられない未治療のAML患者さんへの治療アプローチとして、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法は効果的です」
本試験ではベネトクラクス併用療法群において副次評価項目も達成され、CR率は36.7%、部分的な血液学的回復を伴うCR(CRh)率は64.7%、複合完全寛解(CR+CRi)率は66.4%であったのに対し、プラセボ群ではCR率は17.9%、CRh率は22.8%、CR+CRi率は28.3%でした。
本試験における安全性プロファイルは、これまでに報告されたベネトクラクス/アザシチジン併用療法、および各単剤投与における安全性情報と概ね一致していました。ベネトクラクス/アザシチジン併用療法群で頻繁にみられた(10%を超える患者さんで発現)グレード3または4の有害事象は、血小板減少症(45%)、好中球減少症(42%)、発熱性好中球減少症(42%)、貧血(26%)、白血球減少症(21%)、肺炎(20%)および低カリウム血症(11%)でした。
AMLは世界で最も多い急性白血病です。現在、全世界で16万人がAMLを有し、10万人当たりの新規発症数は103人と推定されています2。さらに、AMLは治療が最も困難な血液がんの1つです。治療法やケアの進歩にもかかわらず、AMLと診断された患者さんの5年生存率は約28%にとどまっています。AMLは急速に悪化することが多く、年齢や併存疾患により強力な化学療法に対する忍容性のない患者さんもいます。
2018年11月、アッヴィは米国において、75歳以上または強力な導入化学療法を選択できない併存疾患を有する初発のAML成人患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビン(LDAC)との併用療法として、ベネトクラクスの迅速承認を取得しました。ベネトクラクスは、メキシコ、イスラエル、プエルトリコ、ペルー、ブラジル、ロシア、アルゼンチン、グアテマラ、ウルグアイ、レバノン、バーレーン、カザフスタン、パナマ、サウジアラビア、台湾、オーストラリア、カタール、アラブ首長国連邦およびベラルーシでも承認されています。
ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。
VIALE-A(M15-656)第III相試験について
二重盲検、プラセボ対照第III相VIALE-A試験では、強力な化学療法が適応とならない未治療のAML患者さん433名が無作為に割り付けられました。本試験では、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法群(n=286)の有効性と安全性をプラセボ/アザシチジン群(n=145)と比較評価しました6。
ベネトクラクスについて
ベネトクラクスはB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。一部の血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用があります。
ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社が共同でBCL-2研究に取り組んでおり、種々の血液がんおよび他のがんを対象に、複数の臨床試験でベネトクラクスを評価しています。ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。
ベネトクラクスの使用および米国における重要な安全性情報7
使用
ベネトクラクスは、以下を適応とする処方薬です。
・成人の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さん
・以下に該当する初発のAML成人患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンとの併用療法
○75歳以上、または
○AML以外に、標準的な化学療法が適応とならない医学的状態にあること
上記の適応症は奏効率に基づき迅速承認されました。これらの適応症の承認は、検証的試験において臨床的有用性が確認され、詳細が明らかになった場合に継続される可能性があります。
ベネトクラクスの小児に対する安全性および有効性は明らかになっていません。
重要な安全性情報
ベネトクラクスについて認識しておくべき最も重要な情報とはどのようなものでしょうか。
ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こす可能性があります。以下に例を示します。
腫瘍崩壊症候群(TLS):TLSはがん細胞が短時間に崩壊することにより起こります。TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性がある他、死に至ることもあります。担当の医療従事者は、ベネトクラクス投与開始前に検査を行い、TLSのリスクを調べます。TLSのリスクを低減させるため、ベネトクラクス投与開始前と投与中に他の薬剤が投与されます。補液の静脈内(IV)投与が必要になることもあります。TLSの有無を調べるため、担当の医療従事者はベネトクラクス投与開始時と投与中に血液検査を行います。
予定通りに検査を受けることが重要です。ベネトクラクス投与中に、発熱、悪寒、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ、痙攣発作、不整脈、暗色尿、混濁尿、異常な疲労、筋肉痛、関節痛など、TLSの症状が現れた場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
TLSのリスクを低減するため、ベネトクラクス 投与時は水分を多くとってください。ベネトクラクス初回投与の2日前から毎日コップ6~8杯(合計で約56オンス)の水を飲み始め、ベネトクラクス初回投与当日や用量が増量されたときも毎回飲んでください。
副作用が認められた場合、担当の医療従事者はベネトクラクス投与を延期したり、用量を減らしたり、投与を中止したりすることがあります。
ベネトクラクスを服用すべきでないのは、どのような患者さんですか。
ベネトクラクスの服用を開始し、徐々に増量している間はTLSが増えるリスクがあるため、特定の薬剤を服用しないでください。
・処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤をすべて担当の医療従事者に伝えてください。ベネトクラクスと他剤が互いに影響し合い、重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。
・担当の医療従事者に相談することなく、ベネトクラクス投与中に新たな薬剤の服用を開始しないでください。
ベネトクラクスを服用する前に、あなたの医学的情報をすべて担当の医療従事者に伝えてください。例えば、次のような場合です。
・腎障害または肝障害がある。
・塩分または電解質(カリウム、リン、カルシウムなど)に問題がある。
・血中の尿酸値が高かったことがある、または痛風の既往歴がある。
・ワクチン接種を予定している。ベネトクラクス投与前、投与中または投与後は担当の医療従事者が接種を認めるまで「生ワクチン」は接種しないでください。予防接種またはワクチンの種類について不確かな場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。ベネトクラクス投与中は、このようなワクチンを安全に接種できない、または接種しても効果が得られないことがあります。
・妊娠している、または妊娠を計画している。ベネトクラクスは胎児に害を及ぼすおそれがあります。妊娠可能な場合、担当の医療従事者がベネトクラクス投与開始前に妊娠検査を行います。ベネトクラクス投与期間中と最終投与後30日間は、効果的な避妊を行ってください。妊娠した、または妊娠したと思われる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
・授乳中または授乳を計画している。ベネトクラクスが母乳に移行するかどうかは不明です。ベネトクラクス投与期間中は授乳しないでください。
ベネトクラクス服用中は、どのようなことを避けるべきですか。
ベネトクラクスを服用している間は、グレープフルーツジュースを飲まないでください。また、グレープフルーツ、セビリヤオレンジ(マーマレードに使用されることが多い)またはスターフルーツを食べないでください。これらの製品や産物は血中のベネトクラクスの量を増加させる可能性があります。
ベネトクラクスの副作用は、どのようなものですか。
ベネトクラクス重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。例えば、次のような副作用です。
・白血球数低値(好中球減少症):白血球数低値はベネトクラクスでよくみられますが、重度になることもあります。担当の医療従事者は、血球数を調べるためベネトクラクス投与期間中に血液検査を行います。
・感染症:ベネトクラクス投与期間中に死亡に至った例や、肺炎や血液感染(敗血症)などの重篤な感染症が報告されています。担当の医療従事者が綿密な観察を行い、ベネトクラクス投与期間中に発熱などの感染の徴候が認められた場合は直ちに治療を行います。
ベネトクラクスを服用している間に発熱や感染症の徴候がみられる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
CLL患者さんまたはSLL患者さんに、ベネトクラクスをオビヌツズマブまたはリツキシマブと併用したとき、もしくは単剤で投与したときの主な副作用は、白血球数低値、血小板数低値、赤血球数低値、下痢、悪心、上気道感染、咳嗽、筋肉痛、関節痛、疲労、腕、脚、手および足の腫脹などです。
AML患者さんにベネトクラクスとアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンをそれぞれ併用したときの主な副作用は、白血球数低値、悪心、下痢、血小板数低値、便秘、白血球数低値を伴う発熱、赤血球数低値、血液の感染、発疹、浮動性めまい、低血圧、発熱、腕、脚、手および足の腫脹、嘔吐、疲労、息切れ、出血、肺の感染、胃(腹部)の痛み、筋肉または背部の痛み、咳嗽、ならびに咽喉痛などです。
ベネトクラクスにより、男性の受精能に問題が生じることがあります。子どもをもうける能力に影響を及ぼす可能性があります。受精能について心配な場合は、担当の医療従事者にご相談ください。
上記は、ベネトクラクスによって生じる可能性がある副作用をすべて示したものではありません。詳細については、担当の医療従事者か薬剤師にお尋ねください。
処方薬の副作用をFDAに報告することが推奨されています。ウェブサイトwww.fda.gov/medwatchにアクセスするか、1-800-FDA-1088に電話してください。
薬剤の購入が経済的に難しい場合は、www.medicineassistancetool.orgに問い合わせて支援を受けてください。
米国でのベネトクラクスの処方情報(投薬ガイドを含む)の全文はこちらでご確認いただけます。
EUにおけるベネトクラクスの適応症および重要な安全性情報8
適応症
ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用療法の適応は、未治療の成人CLL患者さんの治療です。
ベネトクラクス/リツキシマブ併用療法の適応は、1つ以上のレジメンによる治療歴がある成人CLL患者さんの治療です。
ベネトクラクス単剤療法の適応は、以下に該当するCLL患者さんの治療です。
・B細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤が適していないか無効で、染色体17p欠失またはTP53変異が認められる成人患者さん、または
・化学免疫療法およびB細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤がいずれも無効で、染色体17p欠失またはTP53変異が認められない成人患者さん
禁忌
有効成分またはいずれかの添加物に対する過敏症は禁忌です。また、腫瘍崩壊症候群(TLS)のリスクが高まるため、投与開始時および用量漸増期間中の強力なCYP3A阻害剤との併用も禁忌です。ベネトクラクスの効果が弱まる可能性があるため、セントジョーンズワート含有製品との併用も禁忌です。
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