明治:【5/29リリース】「運動+乳製品」による高齢女性の筋力増加効果炎症促進遺伝子の活性抑制効果を確認
株式会社 明治
「運動+乳製品」による高齢女性の筋力増加効果、
炎症促進遺伝子の活性抑制効果を確認
~国際科学雑誌PLOS ONEで発表~
信州大学大学院医学系研究科・スポーツ医科学、分子腫瘍学分野と同大学バイオメディカル研究所の能勢博教授ら、NPO法人・熟年体育大学リサーチセンター、徳島大学大学院・病態生理学分野および株式会社 明治(代表取締役社長:川村 和夫)の共同研究グループは、ミルクプロテイン(※1) の有用性を研究する中で、5ヶ月間のインターバル速歩トレーニング(※2) 中の乳製品(チーズおよびヨーグルト)摂取が、高齢女性の下肢筋力向上を促進し、体内の炎症促進遺伝子の活性を抑制することを明らかにしました。
本研究成果は、2017年5月17日に国際科学雑誌PLOS ONEオンライン版(※3) で公開されました。
【内容】
■論文タイトル:
Effects of milk product intake on thigh muscle strength and NFKB gene methylation during home-based interval walking training in older women: a randomized, controlled pilot study(高齢女性においてインターバル速歩トレーニング中の乳製品摂取が下肢筋力とNFKB遺伝子のメチル化に与える効果:無作為介入・パイロット研究)
■概要:
最近、生活習慣病の根本原因について、加齢に伴う筋萎縮に起因する体内の慢性炎症が有力視されています。すなわち、その炎症が、脂肪組織に起これば糖尿病、免疫細胞に起これば動脈硬化、脳細胞に起これば認知症、がんの抑制遺伝子に影響が及べばがんになるとされ、慢性炎症の抑制は、生活習慣病とそれに関連する疾患の予防に重要だと考えられています。
本研究では、6ヶ月以上インターバル速歩トレーニングを継続している、女性37名(平均年齢66歳)を対象としました。被験者を無作為に3つの群;インターバル速歩のみ(「運動」群)、インターバル速歩+低乳製品摂取(※4) (「運動+低乳製品」群、ミルクプロテイン 4.1g/日摂取)、インターバル速歩+高乳製品摂取(※5) (「運動+高乳製品」群、ミルクプロテイン 12.3g/日摂取)に分け、その後5ヶ月間インターバル速歩トレーニングを実施し、その前後で、筋力と炎症促進遺伝子のメチル化(※6) (不活性化)を測定しました。
その結果、トレーニング後、「運動+高乳製品」群で筋力が平均8%増加しましたが、「運動」群では増加せず、「運動+低乳製品」群はその中間の増加量を示しました(図-A)。また、炎症反応を引き起こすのに中心的な役割を担うとされているNFKB1、NFKB2遺伝子のメチル化(不活性化)は、「運動+高乳製品」群でトレーニング前に比べそれぞれ平均29%、44%増加しましたが、「運動」群では変化せず、「運動+低乳製品」群でその中間の増加量を示しました(図-B)。さらに、全遺伝子のメチル化をマイクロアレイ法(※7) で網羅的に測定した結果、「運動+高乳製品」群では「運動」群に比べ、NFKB遺伝子以外の炎症促進遺伝子群のメチル化(不活性化)も促進していました。
以上の結果から、「運動+乳製品」が「運動のみ」に比べ、筋力向上を促進し、体内の慢性炎症を抑制することが明らかとなりました。
(※1)ミルクプロテイン:
牛乳・乳製品に含まれる乳由来の良質なたんぱく質。
(※2)インターバル速歩トレーニング:
個人の最大体力の70%以上に相当する速歩と、40%に相当するゆっくり歩きを3分間ずつ交互に繰り返す歩き方を1セットとし、一日5セット以上、週4日以上、繰り返すウォーキング方法で、5ヶ月間実施すると、筋力、持久力が最大20%向上、それに伴い、生活習慣病の症状が20%改善し、医療費が20%抑制されることが明らかになっている。
(※3)PLOS ONEオンライン版のURL:
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0176757
(※4)低乳製品摂取:
市販の6Pプロセスチーズまたは4個パックヨーグルトを、どちらか1個摂取する。総エネルギー 60kcal、たんぱく質 4.1g、炭水化物 2.5g、脂質 3.7g を含有。
(※5)高乳製品摂取:
市販の6Pプロセスチーズ1個+4個パックヨーグルト2個摂取する。総エネルギー 171 kcal、たんぱく質 12.3g、炭水化物 9.4g、脂質 9.4g を含有。
(※6)メチル化:
DNAの塩基にメチル基が結合すること。これによって、RNAへの転写が困難となり遺伝子発現が阻害される。したがって、ある介入の前後に特定の遺伝子のメチル化の程度を調べれば、その遺伝子が活性化したか、不活性化したかがわかる。
(※7)マイクロアレイ法:
広範囲の遺伝子のメチル化などを網羅的に測定できる手法。
【画像: http://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M101996/201705292179/_prw_PI2im_abIDesEc.PNG 】
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