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上海で億ションを購入したら… 日本と違ってなかなか弾けない中国不動産バブルのリアル



上海の知人の話である


年齢は30代後半、独身女性だ。2年ぐらい交際している相手がいるので遠からず結婚するのだろうな、という風情。優秀な人でベンチャーキャピタル系で出来高制の仕事をしており収入も高い。



彼女は一昨年の2014年、母親と一緒に長年暮らしていた自宅のアパートを売却した。



そのアパートは親の時代に政府から支給された「弄堂」と呼ばれる家(興味ある人はGoogle画像検索で「弄堂」を検索してほしい)が都市再開発で取り壊しにかかったときに代わりとして用意された旧式のアパートである。





≪画像元:http://wasedakikaku.co.jp/2015/01/12/2168≫




売却したお金を資金にして億ションを購入したら…


売却して手にした300万元(約4,800万円※)を頭金にローンを組んで900万元(約1億4,400万円※)のマンションをプレビルド(建築前販売)で購入。母親との共同名義で登記をした。



昨年引き渡しを受けて2人で普通に住んで暮らしていたら、そのマンションの価格が今年の始めぐらいから猛然と上昇をはじめて現在価格で1,500万元(約2億4,000万円)になった。これは私も自分の目で確認している。



数か月でマンションの価格が40%上昇!


ほんの数か月で不動産屋の店頭の価格が40%程度上がっているのを見て、本気で目をこすって改めて見直した記憶がある。とにかくこれまで見たこともないような急激な上昇だった。



不動産取引税を減税したとかローン比率が70%から80%になったとか、理由はいろいろあるだろう



中国の地方自治体の収入が国有土地使用権の民間への払い下げに大きく依存しており、不景気による税収減もあいまって国家ぐるみで不動産価格を下支えする政策を打ち出したというところに原因を求めることもできる



政府としては減税やローン条件の緩和はもともと地方都市の不動産価格を浮揚させる意図があったが、実際の不動産購入の波は全国で最も高いレベルにある上海に集中してしまったというストーリーも信憑性が高い。



いずれにしても上海の不動産価格が暴騰したという現実があるのは確かだ。



彼女は素早くもう一つマンションを購入して資産を増大させていた


その最中、彼女は素早くもうひとつマンションを購入していた。先に買った物件のローンが残っていたら次の融資が下りないのでまず手持ちの貯蓄で残債を完済した。



また現在、独身の人間が同時に複数の不動産の名義人となることは規制があってできないので共同名義だった住居を母親の単独名義に登記しなおして、自分はもう一件購入できるような段取りもした。



仕事柄、良質な融資の情報にもアクセスが可能だった



2件目に手に入れたマンションは1,600万元(約2億5,600万円※)、それも現在では2,000万元(3億2,000万円※)になっているという。ざっくり1億5,000万円程度だった資産を約3年で6億円近くまで増大させたというところだろう。



この時期に潤沢な貯蓄を持っていたことや職業面の優位性も大きいが、判断力と行動力をもって短期間にこれだけのことを達成したわけだ。ある年齢以上の人には既視感のある風景ではないだろうか。



※2016年11月時点のレートで換算







日本にもバブルがあったので忠告したくなるが


30年近く前の日本にもこういう人たちが結構いた。今彼女のような人に「完全にバブルだ、早く売った方が良い!」と言うのは簡単である。



「以前の日本でも同じようなことがあったのでオレにはわかる」と自分の見てきたことを語りたくもなる。



しかし記憶を辿ってみればこの凄まじい高騰のあった2016年までに上海の不動産は十数年間に渡って10倍以上の価値になっているのである。



2000年代初頭に100万元だったマンションが2015年には1,000万元になりそれが今年1,500万元に急上昇したというイメージだ



実際これでほぼ間違っていないことは上海にゆかりの深い人なら知っているだろう。



10年ぐらい前からすでにバブル状態であると言われつづけてきたし、私も少なからずそう思ってきた。



しかしそんな経験や感覚は3年で資産を4倍に殖やした人の前では沈黙するしかないむしろあのとき「早く売った方が良い」と言わなくてよかった



仮に自分のその言葉を信じて上海の知人の誰かが不動産を売却していたら取り返しのつかない損をさせていたことになる。正直今もバブルだと感じている。



だが破裂する前にその泡がどれだけ大きくなるのかはわからない



未来に向かって新たに刻まれる出来事をわずか数十年の自分の人生経験に鑑みて断じることの危険性をひしひしと感じた。(執筆者:玉利 将彦)



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