ポイント時代の現代においては、ポイントは一種の通貨です。
ポイントが多くもらえることを喜ぶ心理は当たり前ですが、その価値をちゃんと把握しているでしょうか、というのがこの記事のテーマです。
「ポイント10倍」と表示されていれば誰でもうれしいでしょうが、その金銭的価値はどのぐらいなのでしょうか。
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ポイント○倍の価値を把握しましょう
「ポイント10倍」で喜んでいながら、価値がわかっていないとしたらおかしな話です。
「いつもの10倍得」なのかと思うと、決してそうでもありません。
解きほぐします。
ポイント1倍はそもそもいくら?
お店で買い物したときに、日によってポイントアップがあるとうれしいものです。
ただ、ベースになる「ポイント1倍」はそもそもどれぐらいの価値でしょうか。
仮に、通常のポイントが還元率1.0%(200円の買い物に付き2ポイントなど)であれば、ポイント10倍だと還元率10.0%になります。
ですがそんな例は決して多くありません。
店舗のアプリやポイントカードを提示して付けてもらう一般的なポイントは、こうした性質です。
・ 還元率は0.5%(決済200円につき、1ポイント)
・ 税抜付与
クレジットカードのポイントは、大部分税込付与です。
5,500円の買い物をして、還元率1.0%のクレジットカードで支払ったとします。
大部分のクレジットカードは税込価格につきポイント付与ですので、55円分のポイントがたまります。
いっぽう、店舗のポイントは税抜が多数派です。
軽減税率が適用されない消費税10%の場合、税抜だと買い物の額は5,000円です.
この場合、通常のポイントは25円相当となります。
これが10倍になったとしても、250円です。
5,500円の買い物による店舗のポイントが250円相当になったときに、還元率を算出すると4.5%であり、「10倍」のイメージほど高い数字ではありません。
普段がポイント2倍かも?
イオンでしばしば「WAON POINT5倍」など実施されています。
ですがイオンの場合、WAON POINTの通常が「2倍」です。
イオングループでのイオン系決済は、常時ポイント2倍のためです。
ですからポイント5倍は、日頃の2.5倍に過ぎません。
しかも税抜を税込に直しておよその還元率を出すと、こうです(軽減税率8.0%の場合)。
・ ポイント1倍 … 0.4%程度
・ 通常のポイント(2倍) … 0.8%程度
・ ポイント5倍 … 2.0%程度
ポイント5倍といっても、2%程度のポイントが付与されるだけです。
調子に乗って買い過ぎていい数字ではないでしょう。
イオンだけではなく、日頃の数字がすでに2倍スタートという例はしばしば見受けられるので気を付けたいものです。
普段のポイントが高い例もある
ポイント5倍、ポイント10倍といっても、数字ほどのインパクトはないことが多いものです。
それでも、中には通常の店舗でのポイント付与が高率の例もあります。
・ マツモトキヨシ/ココカラファイン
・ トモズ
・ スーパーオオゼキ
いずれも税抜付与ではあるものの、「100円につき1ポイント」付与です。
これらの事例で「ポイント10倍」があるなら、還元率にして9.0%程度のなかなか大きな数字になります(税抜だと10.0%)。
マツモトキヨシ、ココカラファインはdポイントと、トモズはdポイントまたはPontaと両方のポイントを付けてもらえるメリットも大です。
ツルハのような、「医薬品は100円で1ポイント、雑貨は200円で1ポイント」という識別もありません。
トモズでは、「トモズポイント10倍」の日と、「dポイントまたはPonta10倍」の両方の日があります。
トモズポイント10倍の価値は、dポイントまたはPonta10倍の日の、倍の価値があるわけです。
スーパーオオゼキでは、ポイント5倍、ポイント10倍の日は現金払いが条件となっています。
ですが、キャッシュレス決済の還元率を犠牲にしても、現金で支払う価値があります。
10%オフと10%還元の違い
ポイントをためる人なら、その使いみちも理解しているはずです。
なので、ポイントが多めにたまる事例も、割引以上にうれしく感じることも多いのではないでしょうか。
しかし厳密には細かい数字を追うと、違いがあります。
10%オフとは
10%オフは、当然ですが割引です。
税抜5,000円、税込5,500円の商品が10%オフの場合、実質的価値を考えると次の通りです。
・ 税抜5,000円の10%オフで、4,500円
・ 改めて10%消費税を加え、4,950円
・ 税込価格で考えても、税込割引額10%オフとなる
・ たまるポイントは、値引き後が対象
10%還元とは
10%オフも10%還元も、その効果に大きな違いはありませんが、細かい部分に差が出ます。
同じ税込5,500円の条件で見てみます。税抜額は関係ありません。
・ ポイントが550円相当返ってくる
・ ただしすぐにではない。還元まで1か月以上かかるのが普通(例:PayPay)
・ なににでも使える550円相当のポイントが入手できる。
・ 商品購入にかかった費用を、還元額を引き算した4,950円と考えれば、割引と一緒
・ 実際には、割引とは異なり、5,500円の支出により6,050円の価値を得たことになる
・ すなわち割引率でみると「5,500÷6,050」で、0.909%。割引に換算すると9.1%であり、10%オフ(1割引き)より小さい
割引のほうが還元より価値が上とされるが
見てきた通り一般論としては、同じ数字で比べる場合「割引」のほうが「還元」よりも価値が上です。
とはいえ、これが絶対の指標でもありません。
次の理由によります。
・ PayPayポイントのように、決済へのポイント利用時でもポイントが付くケースもある(もらったポイントがさらにポイントを生む)
・ ポイントのほうが、割引額より利用時の価値が高いことがある(例:ウエル活、au PAYマーケットでのPonta1.5倍利用)
・ ポイントのほうが汎用性が高いことがある(例:マイル交換)
日曜日のマルエツでは、マルエツカードでの5%割引があります。
ただしマルエツカードをセットしたScan&Go(レジを通らないウォークスルー決済)で支払う際は、割引ができない代わりにWAON POINT10倍で埋め合わせてもらえます。
一般的なルールによればこう考えられます。
・ 5.0%割引 … 割引なので高価値
・ ポイント10倍付与(5.0%還元) … 定価の支払いで、ポイント分を上乗せする価値を得たことになるので、同じ価値ではない
すなわち、数字を追求すると
と言えます。
ですが、WAON POINTをウエル活(ドラッグストア・ウエルシアで毎月20日に支払いに充当し、1.5倍増し)に使うことを考えると、後者の価値は前者を簡単に逆転します。
「ウエル活に使うためにTポイントを買う」ことはできないからです。
筆者は、同じ数字の「割引」と「還元」で価値が異なるとはまったく考えていません。
マイルについても、ごく一般的には「マイル購入」制度がないため、マイルに替わるポイントのほうが高価値になることはざらです。
少なくともポイント○倍の意味は押さえておこう
「割引」と「還元」の違いについては、それほど神経質に考える必要はありません。
中身が違っているのは確かですが、数字のイメージ通りで間違ってはいません。
一方で、「ポイント10倍」は、ほとんどの場合「10%割引」「10%還元」の半分に満たない価値しかありません。
ひとまず2で割って、なお元の数字を疑う癖をつけておいた方が無難です。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)
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