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キットアライブ Research Memo(3):「Salesforce」の導入支援、製品開発支援を展開(2)


*15:03JST キットアライブ Research Memo(3):「Salesforce」の導入支援、製品開発支援を展開(2) ■事業概要

4. キットアライブ<5039>の強み
同社は、1)「Salesforce」における卓越した技術力・競争力、2)少人数・短納期プロジェクト、3)地方での社員育成システム、4)育成支援制度、5)優秀な人材の獲得などの強みを持ち、大企業にはできない小回りが利く体制づくりに特化している。

同社のITエンジニアは「Salesforce」のシステム開発の全工程に精通しているため、ITの専門部署がない企業や新規ビジネスを立ち上げて間もない企業、予算規模が小さい企業に対して強みを発揮することができる。一方、大企業であるAccenture(アクセンチュア)、テラスカイ、日本電気(NEC)<6701>、KDDI<9433>、NTTデータ<9613>などをターゲットとする「Salesforce」のコンサルティングパートナーとは事業領域において重複しない。

(1) 「Salesforce」における卓越した技術力・競争力
同社は、2008年からのSalesforceの方針である「エコシステム※の拡大」に寄与して、「Salesforce」のパートナーのビジネスを拡大する支援をしている。同社は、Salesforceの認知度が低かった時期から「Salesforce」に携わっているため、「Salesforce」に関しては長い経験と技術力を保持している。そのため、セールスフォース・ジャパンやテラスカイから顧客を紹介してもらうこともあり、技術的高度な案件を直接受注するケースが多い。加えて、地方に本拠地を置くことで首都圏に比べて人件費を抑えることができ、価格競争力にも強みを発揮している。

※企業同士が協業・連携してそれぞれの製品・サービスを補完し合う仕組みのこと。


Salesforceは成長戦略の1つとして、チャットツールのSlack Technologies、データ分析ソリューションのTableau Software、API総合ソリューションのMuleSoftなど数多くの企業を買収しており、CRM以外にも広い分野でのクラウドサービスを提供できるようになっている。これにより同社は、「Salesforce」に特化しながらもさらに幅広く製品を取り扱うことができるようになったため、技術力の強化にもつながり、既存顧客にも新しい提案をしやすい環境が整っている。

(2) 少人数・短納期プロジェクト
同社は一貫した業務を請け負うことのできるITエンジニアの育成により、小規模プロジェクトでも1人で複合的な役割を担うことができる。通常プロジェクトには顧客から多くのプロジェクトメンバーが参加するため、直接コミュニケーションを重ねることができる。これにより社員の業務への理解度が高まり、ITエンジニアとしての知識以外に企画力、提案力、コンサルティング力なども身につけることができる。

(3) 地方での社員育成システム
同社は、社員に早い段階から顧客とのコンサルティング・要件定義・設計といった上流工程における業務に関わることを推奨している。具体的には新入社員が担当のITエンジニアと一緒にWeb会議に参加し、直接顧客からの要望を聞く経験を繰り返すことでコミュニケーション能力やプランニング能力を習得する機会を設けている。こうした社員育成に基づいて、札幌を本拠地としながらも、リモートワークを駆使して日本全国の中小企業と直接取引を行う能力を身につけている。

(4) 育成支援制度
同社は、スキルと技術力の両面を公平に明瞭に評価する人事評価制度及び社員自身の意思で学習を促す自己啓発支援制度を運用している。自己啓発支援制度は、「Salesforce」の認定資格試験を全額会社負担で受験できる「Salesforce認定資格取得支援制度」と、1人当たりの年間最大60時間までの残業時間を利用して自習できる「もっとアライブ」という独自の制度から成り立っている。

こうして積極的に社員に資格取得を推進した結果、2023年2月1日現在、難関資格である「アプリケーションアーキテクト」「システムアーキテクト」をはじめ、「Salesforce」に関わるスペシャリストとしての認定資格を数多く取得しており、顧客に対する信頼度の向上にもつながっている。「もっとアライブ」では社員の学習意欲をあげるため、要約されたビジネス書を読めるサービス「flier」のライセンスを全社員に提供しており、2022年12月期において同制度の総利用時間数は788.5時間となった。そして、DXを推進する人材である「ビジネスデザイナー」への育成も積極的に推進している。

同社は、ビジネスパーソンとしてのスキルも重視しており、独自の45項目のコンピテンシー(個人の能力や行動における特性)について人事評価を行っている。社員は自分自身をコンピテンシーの項目に基づく評価を行い、3ヶ月に1回の頻度で行われる上長との面談を経て、コンピテンシーに基づいた目標を設定し、同社独自の評価基準による昇給を年1回行っている。また1ヶ月に1回はグループごとに社長との直接面談の時間も設けており、社員とのコミュニケーションに注力し社員の定着率アップに努めている。

(5) 優秀な人材の獲得
同社の本拠地である札幌は、IT企業やエンジニアが多く「サッポロバレー」と呼ばれ、首都圏よりも人材獲得の競争が少ない地域であることから優秀な人材を獲得できる機会が多い。札幌市には北海道大学をはじめとする教育機関が多く存在し、地元での就職を希望する学生が多いものの、産業や大企業が少ないことからIT分野に関わる理系の学生が思うように地元で就職できていない現状がある。一方で札幌市はさまざまなITビジネス支援にも取り組んでおり、AI関連人材の育成を目的とした「SAPPORO AI LAB」などを設立するなどITビジネスに適した環境が備わっている。こうした札幌市におけるITエンジニア採用のポテンシャルに同社も着目しており、同社代表が北海道大学出身であるメリットを生かし、積極的に地元の優秀な学生を採用している。

ワークバランスの面から見ても札幌市は有利で、自然と都市圏がほどよい距離にあり、生活と仕事をうまく切り分けられる豊かな地域性により、人材の定着にもつながる。同社では男性社員の育児休業・育児時短勤務取得実績があり、2017年11月には札幌市ワーク・ライフ・バランス認証のステップ3「先進取組企業」を取得している。また新卒者、第二新卒者の採用を2019年12月期から開始しており、今のところ2019年以降の新卒者、第二新卒者の退職者はゼロである。2023年12月期はITエンジニア14名と大きく採用目標を掲げている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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