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Jトラスト Research Memo(1):3Qに通期利益予想をほぼ達成したが、保守的な観点から通期予想を据え置き


■要約

Jトラスト<8508>は、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に資産規模を拡大してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による世界的な経済環境悪化に直面し、抜本的な事業ポートフォリオの再編に着手した。日本金融事業ではJトラストカード(株)(現 Nexus Card(株))、韓国及びモンゴル金融事業ではJT親愛貯蓄銀行(株)及びJTキャピタル(株)を売却し、その後は事業環境の落ち着きに伴い、利益拡大に向けて成長性が高いJT親愛貯蓄銀行及びNexus Cardを再グループ化するとともに、エイチ・エス証券(株)(2022年10月にJトラストグローバル証券(株)(以下、JTG証券)に商号変更)を子会社化した。今後は主力の金融3事業を中心に、成長を加速する計画だ。

1. 2022年12月期第3四半期の業績概要
2022年12月期第3四半期の営業収益は56,480百万円(前年同期比84.4%増)、営業利益は12,649百万円(同61.6%増)、税引前利益は15,738百万円(同88.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は11,985百万円(同398.2%増)と大幅な増収増益決算となった。セグメント別営業収益では、東南アジア金融事業が同8,452百万円増、韓国及びモンゴル金融事業もJT親愛貯蓄銀行の子会社化が寄与して同15,555百万円増となった。また、セグメント別営業損益では、東南アジア金融事業がJトラスト銀行インドネシア(以下、BJI)の業績改善により同3,719百万円増となり黒字化を実現したほか、韓国及びモンゴル金融事業が堅調な事業状況に加え、Nexus Bank(株)グループの子会社化に伴う負ののれん発生益7,576百万円の計上もあり、同9,075百万円増となった。負ののれん発生益を除く金融3事業のセグメント営業利益は82億円(同2.4倍)となり、恒常的な年間100億円のベース利益を上回るスピードで成長が加速している。また、事業基盤の強化が着実に進み、総資産は1,097,139百万円に拡大した。

2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期の連結業績予想については、営業収益79,000百万円(前期比86.7%増)、営業利益13,000百万円(同147.1%増)、税引前利益16,000百万円(同171.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益12,000百万円(同968.4%増)と、2022年8月に公表した2度目の上方修正値を据え置いた。金融3事業の通期予想に対する進捗率は好調に推移したほか、全体の利益項目は通期予想をほぼ達成しているものの、保守的な観点から通期予想を据え置いている。期末配当予想についても、期初予想(前期比9.0円増配の10.0円)を据え置いたが、業績が上振れて着地すれば、さらなる増配も期待できそうだ。

3. 成長戦略
同社グループでは、コロナ禍による世界的な経済環境の悪化に伴い、2020年12月期より抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めてきた結果、成長フェーズに転換した。2021年12月期は黒字化を実現し、中期業績予想として、最終年度である2024年12月期に営業収益1,152億円(2021年12月期比2.7倍)、営業利益177億円(同3.4倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益117億円(同10.4倍)を発表した。目標達成のために、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で利益拡大を目指すほか、東南アジア金融事業の黒字化等により持続的な成長を目指しており、初年度となる2022年12月期は計画を上回り好調に推移している。これにM&Aによるプラス要因が加われば、さらなる増収増益も期待される。事実、2022年4月に傘下に収めたJTG証券は新たな金融商品の提供を開始し、日本保証の保証残高の拡大を目指している。また、2023年2月には不動産事業のミライノベート<3528>を傘下に収める予定である。これらは同社グループの今後の成長に寄与すると見られる。

■Key Points
・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ
・2022年12月期第3四半期業績は計画を大幅に上回って着地。東南アジア金融事業が黒字化を実現したほか、韓国及びモンゴル金融事業や日本金融事業も順調に推移
・通期予想に対する進捗率は好調に推移しているものの、保守的な観点から2022年8月に公表した2度目の上方修正予想を据え置く
・日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で利益拡大を目指すほか、東南アジア金融事業の黒字拡大等により、グループの持続的な成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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