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霞ヶ関キャピタル Research Memo(1):2022年8月期は売上高・利益ともに過去最高。中期経営計画の出足順調


■要約

霞ヶ関キャピタル<3498>は、「不動産コンサルティング事業」と「自然エネルギー事業」を主軸に展開する企業である。オフバランス化することで不動産を保有しない「戦略的コンサルティング型デベロッパー」と、ストック収入による安定収益基盤に成果報酬によるアップサイドを加えた「成果報酬志向型ファンドマネージャー」という、独自のビジネスモデルを構築している。同社の強みは、激動期を乗り切る柔軟な戦略と、それを実現する豊富な人材や資金を有していることであると言えよう。なお、東京証券取引所(以下、東証)市場再編に伴いグロース市場へ移行したが、2022年8月期にはプライム市場への昇格基準をクリアした。

1. 2022年8月期の業績概要
2022年8月期の連結業績は、売上高20,780百万円(前期比45.4%増)、営業利益2,141百万円(同61.2%増)の大幅増収増益となり、過去最高の売上高・利益を達成した。2022年4月発表の修正予想比では、売上高は1,719百万円下回ったが、営業利益は291百万円上回って着地した。売上高が計画を下回ったことについては、建築コスト見直しにより利益改善に成功し、当初見込み利益を確保したことから、一部案件を2023年8月期案件としたことによる。一方、営業利益段階では、事業規模の拡大や移動制限の解除に合わせた積極的な営業活動の展開に伴い販管費が増加したものの、新規案件や新規取引先、投資家などの開拓・獲得に成功したことで、大幅な増益を達成した。また、自己資本比率は30.2%と、引き続き東証1部不動産業平均並みの高い安全性を確保しているほか、ROAは7.6%、ROEも14.5%と、収益性でも東証1部不動産業平均を大きく上回っている。株主還元にも十分に配慮しており、1株当たり配当金は同10.0円増配の30.0円とし、株主優待制度も継続している。

2. 事業別の取り組み
同社は独自のビジネスモデルを展開するとともに、注力する事業分野を機動的に変更してきた。具体的には、今後の企業活動や人々の生活様式の変化を見据えて、2020年6月より物流施設開発事業を立ち上げた。2022年1月には、三菱HCキャピタル<8593>と共に合弁会社のロジフラッグ・デベロプメント(株)(以下、LFD)による物流施設開発の合弁事業を開始し、着工予定/竣工予定のプロジェクトは14件に達するなど急成長しており、2022年8月期業績をけん引した。ホテル開発事業では、2022年8月期にFAV HOTELを4件開業し、2023年8月期に12件の開発を計画するなど、順調に事業拡大している。ヘルスケア関連施設開発事業では、参入1号案件として札幌市の開発用地を竣工・運用開始しており、2号案件も既に着手済みである。また、ファンド事業として、三井物産デジタル・アセットマネジメント(株)と共同アセットマネジメントに関する基本合意を締結し、都心や地方の賃貸マンションに投資する私募ファンドを4件組成している。物流施設開発事業の進捗、ホテル開発事業の拡大に、ヘルスケア関連施設開発事業とファンド事業が加わったことで、プロジェクトパイプラインは急速に拡大し、着実なAUM(運用残高)の増加につながっていることから、今後の収益貢献が期待される。

3. 2023年8月期の業績見通し
2023年8月期の連結業績予想は、売上高26,500百万円(前期比27.5%増)、営業利益3,200百万円(同49.4%増)としている。引き続き大幅な増収増益により、過去最高の売上高・利益の更新を見込んでいる。物流施設開発事業では、EC(Electronic Commerce:電子商取引)市場の拡大や冷凍冷蔵倉庫に対する高い需要に支えられ、物流施設開発は活況を呈しており、中期的にもこのトレンドは継続すると見込まれる。同社では、パートナー企業との協業施策等の戦略を活用することで、今後も物流関連市場での活動に注力する方針だ。ホテル関連市場においては、入国規制撤廃や全国旅行支援実施など需要回帰の動きが期待されているものの、短期的には新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響からの急激な回復は難しいと見られる。一方、新たに立ち上げたヘルスケア関連施設開発事業やファンド事業は順調に拡大しており、ヘルスケア関連施設開発事業については2023年8月期から収益貢献する見通しだ。以上から、1株当たり配当金は同20.0円増配の50.0円を計画している。同社は例年期初には保守的な業績予想を発表していることから、予想を達成する可能性は高いと弊社では見ている。

4. 中期経営計画
同社は、中期経営計画(2022年8月期~2026年8月期)「霞ヶ関キャピタル2.0計画(KC2.0)」を発表し、最終年度の2026年8月期に営業利益200億円(2021年8月期は13.2億円)、親会社株主に帰属する当期純利益100億円(同7.9億円)を掲げている。新たな収益モデル「パートナーシップ型(KC2.0)」を物流施設開発事業で採用することで、2025年8月期以降に利益の飛躍的な拡大を目指す。パートナーと合弁会社(以下、JV)を設立することで同社事業へのリスクを限定的にする一方、開発利益の66%を得られることから、収益化のタイミングは遅くなるが総額は大きくなる見込みだ。そのほか、物流施設を中心に、ホテル及び再生可能エネルギー発電施設の3本柱でAUM(着工済・竣工済アセット)を積み上げ、安定収益の拡充を加速させる。意欲的な数値目標であるものの、計画策定時の収益材料に基づいた保守的な計画であり、計画期間中に新たな収益材料が現れる可能性もあることから、十分に達成可能な数値であると弊社では考えている。実際、2022年8月期にはレジデンスファンドの組成やヘルスケア関連施設開発事業への参入など、計画発表時には織り込んでいなかった新規事業を立ち上げており、順調な進捗となっている。2022年8月期実績に続き2023年8月期も中期経営計画を上回る業績を予想しており、4年後の目標達成に邁進している。

■Key Points
・「戦略的コンサルティング型デベロッパー」と「成果報酬志向型ファンドマネージャー」という独自のビジネスモデルを構築し、「成長性のある事業分野」で「社会的意義のある事業」を展開
・2022年8月期業績は売上高・利益ともに過去最高を更新。物流施設開発用地や賃貸マンションの売却が収益に寄与
・2023年8月期業績も大幅増収増益を予想。物流施設開発事業を軸としつつ、他セグメントも成長力を強化
・中期経営計画では、新たな収益モデルによる利益成長により、2026年8月期に営業利益200億円を目指す。計画発表時には織り込んでいなかった新規事業も加わり、計画を上回る順調な進捗

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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