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リソー教育 Research Memo(10):2025年2月期に売上高400億円、営業利益45億円を目指す(2)


■今後の見通し

c) Kids Smile Holdingsとの提携について
リソー教育<4714>及び伸芽会は、2022年3月に認可保育園を東京都、神奈川県、愛知県を中心に展開するKids Smile Holdings及びその子会社のKids Smile Projectとの間で業務提携を締結した。2015年に伸芽会とKids Smile Projectの間で、オリジナル教育プログラム「KID’S PREP.PROGRAM」の共同開発を目的に業務提携を行っていたが、さらなる関係強化を目的に親会社も含めた業務提携に発展した。

業務提携の概要は、伸芽会とKids Smile Projectで相互に役員を派遣し、それぞれのサービスの相互支援を実効的に行うとともに、本業務提携にて構築する事業スキームを全国にある保育園や認定こども園等へ展開、また、保育士の確保を目的とした採用システムや研修制度の確立によって優秀な人材を確保し、コンテンツ力、ブランド力、集客力を強化することで今後の成長基盤の強化を図ることにしている。また、「KID’S PREP.PROGRAM」を全国の保育園や幼稚園等に拡販する取り組みも2023年以降、両社で進めていくことにしている。

加えて、Kids Smile Projectが運営する保育園等の会員(約4千人)及び上記事業の顧客(小学校受験及び中学校受験を希望する顧客層)へ同社グループのサービス(「伸芽会」「TOMAS」「名門会」等)を紹介することで、同社は「囲い込み戦略」を全国規模で推進する考えだ。Kids Smile Project経由で生徒を受け入れた際には紹介料を支払うスキームとなっており、今後のグループ生徒数の増加につながる取り組みとして注目される。なお、今回の業務提携の効果については中期経営計画の中には織り込んでおらず、上振れ要因となる可能性がある。

d) 学習塾事業
学習塾事業は個別進学指導塾「TOMAS」のほか、英会話スクールの「インターTOMAS」、医学部受験専門の個別指導塾となる「メディックTOMAS」に加えて、2020年2月より最難関中学受験個別指導塾の「Spec. TOMAS」を開始した。2023年2月期以降は校舎数・生徒数の拡大によって年率1ケタ台後半の売上成長を目指している。

「TOMAS」の教室展開については、2018年2月期から取り組んでいる「首都圏サテライト校戦略」を継続する方針だ。「首都圏サテライト校戦略」とは、従来ターミナル駅において150~200坪の広さで200~400名規模で教室を展開していたのに対して、周辺の中堅駅において50~60坪の広さに100~150名の規模で教室を展開する戦略を言う。2022年8月末時点で首都圏に91校を展開しているが、年間5~10校のペースでサテライト校を展開し、150~180校体制にすることを当面の目標としている。また既存校についても生徒数の増加により手狭となった教室は、順次増床または移転リニューアルを進めていく。

「インターTOMAS」や「メディックTOMAS」については「TOMAS」が進出しているエリアで、需要が見込めると判断すれば出校を進めていく。また新規ブランドとして立ち上げた「Spec. TOMAS」については、コロナ禍の影響もあって当面は既存校(自由が丘校)での収益化に取り組む方針となっている。

e) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業のうち家庭教師派遣の「名門会」については、首都圏のほか大阪、名古屋などの大都市並びに地方の主要都市にも展開を進めてきたことで2022年8月末時点の校舎数は35校となっている。今後は増床や移転リニューアルによって生徒数の増加に対応していくほか、需要が見込める地域で新規開校を進める方針となっている。また、2022年からスタートした「メディック名門会」については、今後3年間で10校以上の展開を目指す。

一方、「TOMEIKAI」については首都圏以外の主要都市において年間数校ペースで新規開校を進める予定にしている。なかでも、京阪神エリアや名古屋、福岡、北関東エリアを重点エリアとする方針だ。今後の課題としては、「TOMEIKAI」のブランド力向上が挙げられるが、同社では「TOMAS」と同様に高品質の教育サービスで高い合格実績を積み重ねることでブランド力の向上を図っていくことにしている。このため、これら重点エリアにおいて優秀な人材を確保することに注力している。

f) 学校内個別指導事業
「スクールTOMAS」は将来的に成長ポテンシャルの大きい事業として注目される。少子化が進行するなかで、私立学校では生徒獲得が経営課題となっているほか、教師の長時間労働も問題となっており、これらの課題を解決するソリューションとして「スクールTOMAS」の需要が今後も拡大していくと見られるためだ。同サービスに関しては、不動産経費や生徒募集のための広告宣伝費がかからない点がメリットとして挙げられる。

2022年8月末時点の導入契約校数は110校と2019年2月時点の35校から順調に増加している。特にKDDIまとめてオフィスとの協業効果や政府のGIGAスクール構想のもと学校のICT化が進んだこともあり、ここ1~2年で導入契約校数が拡大している。人員体制の強化が課題となるが、2019年に駿河台学園と資本業務提携を締結以降、駿台予備学校の卒業生をアルバイト講師として採用し、これら契約校へ派遣できる体制を整備したことで、北海道から九州まで広い範囲をカバーできるようになった。潜在需要としては私立学校を中心に300校程度まで拡大余地があると見られ、人材体制のさらなる強化を図りつつ中期的に高成長を目指す考えだ。

g) 講師の採用育成戦略
グループ各社で校舎数を拡大していくためには、質の高い講師の採用・育成が重要なカギを握る。このため、同社はグループ会社の講師の採用・育成及び紹介を行う子会社として、2020年8月に(株)ココカラTチャーズを設立した。同子会社で講師の採用及び研修を一括して行い、適正に応じて各グループ会社に配置している。「TOMAS」については現状独自でも講師採用を行っており、当面は同時並行で採用を進める予定である。グループ全体の採用・育成を一括して行うことで、採用費や育成費の効率化を図る効果も期待され、グループ全体の成長加速につながる取り組みとして注目される。なお、アルバイト講師の採用については業界の中でも好条件で募集を行っているため、比較的順調に採用できているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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