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ベルトラ Research Memo(7):ウィズコロナ時代の旅にテクノロジーで挑戦する(2)


■ベルトラ<7048>の事業戦略・トピックス

5. Product & Technology Divisionの設立
サービスのプランニングから設計、開発、QA(品質管理)まで一気通貫でのサービス開発を目的として、2020年7月にProduct & Technology Divisionを設立した。「常にステークホルダーの期待を超えるサービスを提供することにより、市場をリードするソリューションプロバイダーとなること」をミッションに掲げ、「ワールドクラスのサービスを創造できるような開発チーム」をビジョンとしている。

この新体制ではマトリックス型組織を採用し、かつて機能別・事業別であった組織を再編成。複数の指揮系統のもと柔軟に開発リソースの最適化を図るとともに、各プロジェクトのシナジー効果を高めることを目指す。また指揮系統を機能単位で定義することで、各ファンクションの役割と責任を明確にするとともに意思決定を迅速化させ、開発プロセスのスピードアップを目指す。

6. ツアー参加時の安全基準を策定
旅行者・事業者双方の取り組みで旅行への不安軽減を目指すことを目的に、現地ツアーやアクティビティの催行に当たり、旅行者が安心してツアーに参加するための5つの安全基準(健康管理、衛生管理、ソーシャルディスタンス、タッチレスソリューション、訪問先の選定)を、2020年6月に策定した。国内外の現地アクティビティ催行会社が行う衛生管理対策の基準を示し、顧客の旅行への不安要素をできる限り解消するほか、顧客自身にも衛生管理をお願いすることで、現地ガイドやドライバーの不安を軽減させるなど、双方向の安全基準を策定することで将来の旅行計画の一助となることを目指している。

7. 国内各地の商品開発、新常態に対応した、サステイナブルなサービス
(1) 「エコツーリズム」の販売開始
2020年8月に、日本の豊かな自然や文化を敬い、未来に引き継いでいく心を育むことを目的とした「エコツーリズム」の販売を開始した。エコツーリズムとは自然や歴史、文化を観光資源として生かしつつも、そのような固有の資源について学び環境保全にも責任を持つことで、地域の持続的な発展にもつながるサステイナブルな観光のあり方を指している。同社ではその土地を熟知した専門性を有するガイド(インタープリター/自然解説員)から丁寧な説明を受けることで、環境保全や地域文化についての関心を高め、理解を促進させる。コロナ禍によって学校という当たり前であった教育の場が制限されたことから、子供たちに学びの機会を提供する必要性が高まっていると判断した。「エコツーリズム」への参加を通じて、自然について学び発見できる機会を子供たちに提供することで、日常においても、環境への配慮や地域を支援する意識を育むことを目指している。

(2) 「農泊体験ツアー」の販売開始
2020年7月に、農山漁村に滞在しながら日本ならではの文化や自然を生かした体験や地域の人々との交流などを提供する「農泊体験ツアー」の販売を開始した。農林水産省によって推進され、高齢化や人口減少などの問題を抱える農山漁村と都市との共生・対流を促し、地方創生にも繋がる観光コンテンツとして、また持続可能なビジネスを創出する新たなライフスタイルとしても注目されている。同社が提供する「農泊体験ツアー」は単なる宿泊ではなく、地域の人との交流や収穫、薪割り、釜戸を使った料理など昔ながらの「体験」が含まれており、すべて1泊~2泊で気軽に参加できる。コロナ禍で生活様式が一変し、都会にとどまる必要性が減りつつあるなか、より本質的な体験を子供たちにも提供する機会を与えられる商品を取り扱えないか、という小さな子供を持つ同社社員のアイデアから始まった。

(3) 「貸切観光タクシー」特集ページの公開
コロナ禍による移動自粛が2020年6月に全国的に解除されたことを受け、リスクの少ない「貸切観光タクシー」を利用した国内旅行を提案する特集ページを公開した。日本国内48の地域、350もの観光タクシー商品を取り扱っているが、観光タクシーならではの「利便性」に加え、 「衛生管理」においても優れている点に注目し、リスクの少ない安心な観光手段として提案している。今後はアジアなど日本以外の周辺地域においても観光タクシーやチャーター等の取り扱いをさらに充実させ、 将来の海外旅行の需要回復に備えていくとしている。

8. 「ベルトラ・オンライン・アカデミー」を開始
ハワイやヨーロッパ、南米アマゾンなど世界各地の人気ガイドがライブ中継でオンライン体験を提供する「ベルトラ・オンライン・アカデミー」のサービスを2020年7月に開始した。同社が持つ世界150ヶ国のネットワークから厳選された人気ガイドが、オリジナルのオンライン体験を自宅に届けるサービスで、旅の体験を実際の移動部分に限定せず、旅行に出る前を含め総合的に捉えることで、「いつか実際に体験してみたい」「このガイドに会ってみたい」といった未来の旅へのモチベーションにつなげることを目指している。

このサービスのポイントとしては、講師のほとんどは将来のリアルな旅行の際に会いに行くことができる現地ガイドであることである。オンライン体験を通じてその土地の文化や人に興味を持ち、旅前でより深く理解することで、リアルな旅行の感動を増幅させる。また、リアルな旅行ではなかなか行くことができない場所など、オンラインだからこそできるサービスを提供する。さらに、オンラインの特性を生かし、何らかの理由でリアルな旅ができない人も自宅で気軽に旅を体験できるという特長もある。なお、体験コンテンツはほぼすべてオリジナルとしている。

ラインナップを増強し、2020年末までに日本国内を含め100種類のオンライン体験の提供を目指している。また、初級・中級コースなど異なるレベルの体験を設け、同じ講師でもテーマごとにシリーズ化した講座を複数用意するなど、体験のバリエーションを増やしていくとしている。

9.「マリンプロジェクト」の発足
マリンアクティビティの安全性向上と海洋環境の保全を促進する「マリンプロジェクト」を、7月23日の「海の日」に合わせて発足させた。本プロジェクトにおいて、アクティビティ体験を通じて海洋環境を守る大切さを伝える機会を創出するとともに、誰もが安全にマリンアクティビティを継続的に楽しめる環境の整備に努め、楽しむだけに留まらない、社会課題の解決にも寄与するサステイナブルな旅行スタイルの実現を目指す。ツアーの参加をきっかけに、海洋環境汚染などの社会課題に興味を持つような体験を現地催行会社と共同で企画・開発するほか、海の事故や衛生面に配慮した安全・安心な体験の提供に努める。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)




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